【OBUコーチ】負ける時の心理と勝つ時の心理とは?①
先日の試合で、私は貴重な体験をしました。
心理状態が試合にどう影響するかを、同じ一日の中で負け試合と勝ち試合の両方について体感したのです。
- どういう心理状態になった時に試合に負けるのか
- こんな心理状態だったからこそ試合に勝つことが出来たのか
この2つの側面を、2回にわたってお話します。
目標にしていた大会
それは、2021年5月8日に袋井で行われた、全日本選手権マスターズの部の静岡県予選でした。
ちょうど3年ほど前に一度参加して、会場で試合する選手の皆さんの雰囲気がとても真剣なのが印象に残りました。
その時、私は1回戦で負けてしまいましたが、緊張した雰囲気の中で真剣勝負をする楽しさを味わい、また出たいと思いました。
今年はコロナ禍であったものの、この試合は是非挑戦したいと思っていて、試合に向けて練習をしてきました。
ちょうど自分の卓球を変えている最中で、試合中に自分の中でどこまで出来るかを試してみたい気持ちも強く持っていました。
課題として練習してきたのは、
- サービスと3球目攻撃
- カットプレーからの反撃
- 前陣でのカウンター攻撃
でした。
これらを試合の中でどれだけ発揮できるか、試そうと思っていたのです。
もちろん、本戦に行きたいとも考えてました。
力を出し切れば行けるのではないかという自信も、少しだけありました。
初戦を接戦で制しベスト4へ
私と同じ年代は、18名のエントリーでした。
1回戦はとても強いカットマンの方で、バック面の表ソフトの変化が激しくてとても苦戦しました。
第4ゲームを16-18で落とし、最終第5ゲームは促進ルールとなりました。
この試合でも積極的に攻撃したのは、私の方でその差が最終ゲームに出たのだと思います。
5ゲーム目でいきなり攻撃しようとしても、相手のボールに慣れるまでには、やはり何本かミスが出るものです。
そんな相手のミスにも助けられて、総力戦でしたが何とか勝ち切りました。
試合後、チームの監督に言われたのは、3球目攻撃のミスが多いことでした。
この一言が後の試合に影響するとは、その時は思ってもみませんでした。
次の試合は無難に勝ち、私はベスト4に進出しました。
魔が差すとはこのことか
コロナ禍ということで、直前に代表枠が5から3に減らされました。
つまりベスト4に入っても、もう1つ勝たなくては代表にはなれません。
準決勝の相手は同じチームのFさんでした。
私はFさんには分が良くて、直前の公式試合でも3-0で勝っていました。
「よしFさんに勝って、代表になるぞ」
こう自分に言い聞かせて気を引き締め、しっかりアップして試合に臨みました。
いや、臨んだつもりでした。
試合が始まりました。
不思議なことに、私は自分が思う様に身体が動かないのです。
Fさんもカットマンですが、普段よく一緒に練習をしていて、お互いの手の内は分かっています
私は、自分でも信じられないくらいの凡ミスを、何故か連発するのです。
一方のFさんは、全く普段通りに見えました。
Fさんも練習とは違うコースに打ってきたりしたのですが、私にはFさんのやることがよく見えていました。
にも関わらず、私は対応出来ずに凡ミスを繰り返してしまいました。
- 分かっていても対応できない
- 普段通りやればいいのに身体が動かない
結果的に、凡ミスを繰り返し焦りが出ました。
特に自分がドライブを打とうとした時に、第一試合のことが頭の中でフラッシュバックされるのには自分でも困りました。
- ああ(第一試合の時は)ここで打ってミスをしたっけ
- 監督には攻撃ミスをするくらいなら打つなと言われたっけ
- そうだ、ミスをしてはいけないのだ
そんなことが、頭をよぎるのです。
思い切り打つ攻撃が影を潜め、中途半端なスイングになってしまいました。
攻撃しようとすると、どうしても心にブレーキがかかるのです。
いつも以上に、攻撃にミスが出ました。
たとえドライブが入ったところで、恐々と打ったボールは威力がありません。
簡単にカットで拾われてしまい、「こんなはずではない」と、私はますます焦りが募りました。
あれよあれよと言う間に、1,2ゲームを落としました。
3ゲーム目は取り返したものの、余裕の微笑さえ浮かべるFさんの前に、私はほぼ自滅の形で1-3で敗れたのでした。
負ける時の心理
ある種の緊張が原因で、身体が思う様に動かなくなる・・・
これは、「イップス」という現象です。
おそらく私は、第一試合の後の監督の一言に対して、本当に言いたいことや自分の感情を押し殺してしまったのです。
正直な気持ちを言うと、「攻撃に関してあれこれと口出しするのは止めて欲しい。こっちだってミスは承知の上だ。最初から全て上手くいくとは思っていない」ということでした。
この試合に向けて陰でどれだけ努力をし、どんな思いで迎えたのかも知らないくせに、現象だけを見てとやかく言って欲しくないと思っていました。
監督と胸襟を開いて話し合い、信頼関係を築くのは今後の課題です。
口下手で内向的な私にとっては、気の重い課題ではあります。
しかし、時間がかかってもやっておかないと、大切なところで同じ過ちを繰り返すことになってしまうでしょう。
・・・・・
さて、試合に負ける時は、およそ同じ心理状態になるものです。
私の場合、以下の通りです。
- 「自分の思う様なプレーが出来ない」
↓ - 「焦る気持ちが募って来る」
↓ - 「自分でも信じられないミスをする」
↓ - 「こんなはずではない、とますます焦る」という悪循環に陥り、「何をやっても上手く行かない」と半ば自暴自棄の様な悲しい気持ちになる。
↓ - 気がつくと「負ける試合のシナリオ」を自分で勝手に作ってその通りに演じている。
のです。
負け試合のパターンに陥っている自分に気付くことは、なかなか難しいことです。
しかし、どこかで気持ちを切り替えて、この悪い流れを断ち切って行かなくてはならないのです。
そして、3位決定戦へ
代表になるチャンスを逃してしまった私は、気分的にかなり落ち込みました。
観覧席にいるチームメイトの元に戻っても、あまり皆と話をしませんでした。
チームメイトも、Fさんは代表を決めて私は逃したので、気を遣っていたと思います。(^^;;
「お疲れ!」と先輩やチームメイトが私に声を掛け、あとはそっとしておいてくれたのは有難いことでした。
何とか気持ちを切り替えなくては、と自分でも分かっていたのですが、それが出来ずにいました。
早めにフロアに降りた方が良いだろうと、「行ってきます」と小声で声を掛けて、私が早々に観覧席を発った時です。
私に気付いた何人かのチームメイトが口々に、「頑張れよ」と言ってくれたのです。
これには、孤独な気持ちが少し救われました。
不安な気持ちを抱えたまま、私は3位決定戦に臨んだのでした。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)