自分に合ったラバー

道具

自分に合ったラバーを見つけるのは、大変難しいです。

40年以上卓球をやっていますが、私は未だに今の自分に合ったラバーを見つけられずにいます。

「当面、今はこのラバーを使おう」とその都度自分を納得させながら使ってきたというのが本当のところです。

お勧めのラバーは?などと聞かれますと、私は大変困ります。

その時々でどんどん変わるからです。

今日は私の苦悩をお話しますので、「自分に合ったラバーを選ぶとはこういうことなんだ」とぼんやりと掴んで頂けたらと思います。

ラバーには特徴がある

まず最初に知っておいて頂きたいのは、ラバーには特徴(コンセプト)がある、ということです。

特徴を知って使うことがとても大切です。

それは初心者も上級者も変わりません。

ラバーには豊富な種類があり、回転が掛け易いもの、スピード重視のもの、変化幅が大きいものなどそれぞれです。

回転を掛けるのならば、裏ソフトラバー、

スピード重視ならば、表ソフトラバー、

変化幅を大きくしたいなら、粒高ラバー。

この程度の情報ならば、卓球をやっている人ならば一般常識ですね。

因みに、伊藤美誠選手はバックの表ソフトで回転を掛け、フォアの裏ソフトで弾くプレーをします。

常識と逆のことをして成功した例ですが、これは超一流選手の話です。

さらに各ラバーにはスポンジの厚みがあり、ラバーによるのですが、極薄、薄、中、厚、特厚と種類が選べます。

厚い方がスピードが出ますがコントロールが難しく、薄い方がコントロールし易いですがスピードが出ません。

知っておいて欲しいのは、どんなラバーにも特徴があり、長所は短所の裏返しであることです。万能なラバーは無いということです。

今はその裏ソフトラバーにも、高摩擦・高弾性・その両方を兼ね備えたものなど、細かく種類が分かれています。

各メーカーも数種類のラバーを発売していて選手はどれを使って良いか分からないような状態です。

今は一枚が非常に高価ですし、自分で試そうにも試せないのが現状です。

こうなると深い森に迷い込んだような途方もない気持ちになります。

よく、私はこういうラバーを使っていますがどう思われますか?と質問を受けることがあります。

私は使ったことが無いので分かりませんと正直に答えています。

私は、ラバーをはじめ用具というものは、使って使って使い込んではじめてその良さや特徴が自分なりに分かるものだと思ってます。

私が、使ってすぐに良さが分かる時は、今まで何らかの不便・窮屈さを感じていた時以外はありませんでした。

私の周囲で少し打ってみた感じで、そのラバーのことをあれこれ語る人が結構大勢います。

しかし語っていることは、その人独特のフィーリングなので「ふーん、そうなんだ」という程度に受け止めています。

押さえておいて欲しいことの3つ目は、ラバーについて語られることは、メーカーが謳う宣伝文句も含めて、参考情報に過ぎないということです。

自分にとって本当にそうであるかは、使い込んでみて初めて分かる事です。

私はそう考えているのです。

私の使用していたラバー

私OBUが本格的にカットマンを始めた頃に使ったラバーは、YASAKAのオリジナルという裏ソフトラバーでした。厚さは極薄です。

当時は一枚1,000円で、今では信じられないくらいの値段ですが、当時でも一番安い裏ソフトラバーでした。

このラバーは、スポンジが大変柔らかく、シートが回転が掛かりにくいという特徴がありました。

シートは回転が掛かる方が良いのでは?と思う人もいると思います。

決してそうとも限らないのです。シートが回転が掛かるという事は、相手の回転の影響も受けるという事だからです。

オリジナルは相手の回転の影響を受けにくいのでレシーブが大変やり易いラバーでした。

逆にスポンジに食い込ませると回転が掛かりそれがカットプレーの回転の変化に繋がりました。

回転量で相手の予測を上回ることが出来、相手のミスを誘う事が出来ました。

例えば、フォア前のストップ処理ですが、ラケットを寝かせて撫で切る様なツッツキをするのですが、実際はナックルを送ります。

同じフォームで少し切るボールも送る様にしたので、この変化がとても効きました。

相手のオーバーミスを誘う事が出来ました。

またカットから飛び込んでバックハンドスマッシュを打つ時に、通常はネットより高いネット際のボールを上から叩きますが、その時はネットとほぼ同じ高さでした。

咄嗟に後ろから前へラケットを振り、ラバーに食い込ませてネットより上に持って行きながら相手コートに払いました。

話には聞いていましたが、なるほどラバーに食い込ませるとはこの感覚の事を言うのかと、その時に初めて「よく」分かりました。

因みに同じYASAKAのマークV極薄に、一瞬だけ変えたことがありました。攻撃力を上げようと考えたのでした。

しかしカットが飛び過ぎると感じて、すぐに止めて元に戻してしまいました。

上記の体験は私が学生時代の話です。

今よりも時間的に余裕があったし、体力的にも今よりも十分に余力があり、練習をやり込めたからこそ掴めた感覚だったと思います。

カットで拾いまくる卓球でしたが、その主戦技術を活かすのには最適でした。攻撃の威力は身体で出すと決めていました。

この当時は、YASAkAのオリジナルが自分にとってぴったりのラバーでした。

ラバーの特徴をよく活かす卓球をしていましたし、使いこなせていたのだと今となっては思います。

そういう体験があるので、ラバーは使い込んでみて初めて特徴が分かるものだと思うのです。

初心者に向くラバー

初心者が最初に使うラバーは、コントロール重視のものが良いと思います。

よく一流選手と同じかそれと同レベルのラバーを勧める人もいますが、私は、弾みが良過ぎるラバーは、初心者は使いこなせないと思います。

指導者がどれくらいその選手に時間を割いて指導できるかにもよりますが、まずは基本をみっちりやった方が良いです。

ですので、やや弾みを抑えたラバーでコントロールのし易いものを選ぶべきです。

ラバーが飛躍のきっかけになることもある

私はラバーを変更して飛躍的に伸びた経験もあります。

20代の終わりから30代前半くらいの事です。

それまで両面裏ソフトのカットマンをずっと続けていましたが、フォアもバックも同じ種類のラバーを使っていました。

YASAKAのウォーリーというラバーで、コントロールが良いラバーです。

指導経験の長いベテランの指導者の方から、両面裏ソフトを使うとしてもフォアとバックで性質の違うラバーを使った方が良いとのアドバイスを受けました。

カットを基調としつつも、

・フォアは攻撃をミックスする
・バックは変化と安定を求める

路線で行くべきだと言うのです。

長年使い慣れたラバーを変えるのは、勇気が要りましたが、全く別の場所で、やはりカットマンを育てた実績のある別の指導者からも全く同じことをアドバイスされて決心しました。

フォアはYASAKAのマークVの特注、バックはNittakuのPF4-CS(廃版後はキョウヒョウ2に変更)、厚さは中でした。

マークVの特注は、マークVのシートにオリジナルのスポンジを貼ったものです。

スポンジが柔らかく、ラバーに食い込み易いのが特徴です。カットもドライブも出来ます。

PF4-CS(及びキョウヒョウ2)は、所謂中国ラバーで表面の摩擦係数が高い回転の掛かるラバーです。

弾みはとても悪く、ドライブボールを抑え込むのには適したラバーでした。

特徴的なのは、その打球音でした。切る時の打球音と当てる時の打球音がほぼ同じ音なのです。

これで変化を付けることが出来ました。

またバックカットが大変切れるようになり、ナックルカットとの回転差を利用して、数年間、私の武器となりました。

フォアハンドによるドライブ攻撃も覚えて、カット・変化・攻撃の各レベルが上がり、試合でも好成績を残すようになりました。

全体的なイメージで言うと、両面裏ソフトでありながら、違う性質のラバーを使うことで粒高カットマンの様な効果を出したということです。

経験のある指導者の方にアドバイスを頂いたお陰で、試合で勝てる様になりました。大変感謝をしております。

自分のスタイルとラバーの特徴が噛み合った効果だと思います。

時代と共に変わる常識

しかし、そのスタイルも長くは続かず、通用しなくなりました。

プラスチックボールへのルール変更です。これにより回転の要素が少なくなったのです。

これまでの様にカットをいくら切っても、少し上手な相手には全く通用せず、簡単に打ち込まれる様になりました。

ならば、ナックルカットとの相対性の変化に活路を見出そうとしましたが、11本制という短期決戦には向かない戦法だと悟りました。

そこで今は、最初に両ハンドで攻撃ボールを入れて、その後に初めてカットを引くという超攻撃的なカットマンを目指しています。

使用しているラバーは両面テナジー19です。

まだ理想のプレースタイルには程遠く、模索の日々が続いています。

まとめ

これまで述べてきましたことを、補足を加えながらまとめると、以下の様になります。

・自分に合ったラバーを探そうとすると、なかなか見つけるのは難しい。時間と費用と労力がかかってしまう。
・あまたある情報は発信者本人の感覚であるので、自分に当てはまるとは限らない。しかし参考情報にはなる。
・もしその情報が今の自分の目指すスタイルに合うのなら、試してみる価値はある。
・ラバーの変更が飛躍的進歩に繋がることもある。経験豊富な指導者のアドバイスはそういう意味で聞く価値が非常にある。
・時代の流れに即し、使うラバーだけでなく、自らのプレースタイルも変えて行く必要があると私は思う。
・いずれにしてもラバーの特徴を知った上で自分のプレーに活かす事が重要である。
・ラバーを活かし、ラバーに活かされる事が最終的にそれが自分に合ったラバーだったと言えるのではないだろうか。

 

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この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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