【OBUコーチ】カットマンにオススメのラバー
一口にカットマンと言っても、色々なスタイルのカットマンがいます。
あなたが、どんなカットマンを目指すのか、また技術レベルや筋力により、使う道具も変わってきます。
とりわけラバーは、道具の中でも最もプレースタイルに影響してくるので、自分のスタイルに合ったものを探すのが重要です。
カットマンが抱えるラバー選びの矛盾
カット重視で行くのか、攻撃重視で行くのか、大きくこの二択になります。
カットマンがカットを本当に覚えるのは、至難の業です。
何故なら、ドライブに代表される攻撃技術は自らが打っていくものですが、カットは相手の打球を受ける技術だからです。
昔からカットマンが「人の3倍練習しないと大成しない」と言われるのは、そのためです。
現在のカットマンはカットだけでは勝てず、攻撃も覚えなくてはなりません。
しっかりしたカット技術をベースに練習し、破壊力のある攻撃を加えていく必要があります。
ところが、「カットがやり易いラバーは、攻撃がしにくく、逆に攻撃がやり易いラバーはカットに向かない」のです。
この矛盾をどう解決するかが、全てのカットマンの悩みどころというワケです。
矛盾の解決方法
私OBUが経験的に思うのは、
- まずは弾みを抑えたラバーでカット技術をしっかり覚える。
- カット技術が上達していく中で、だんだんラバーを弾みのあるものに変えていく。
方法が良いです。それも長いスパンでの話です。
例えば、小学校から卓球を始めたとして、カットマンとして育てるのであれば、中学卒業くらいまではカット重視で、徹底してカットの基本をマスターさせます。
もちろん、3球目攻撃やカットからの反撃など攻撃技術も並行して練習させます。
高校入学と同時に、ラバーも弾みのあるものに変え、より攻撃的になれるようにしていきます。
ちょうど筋力がついてきて、スイングスピードも速くなるので、カットと攻撃が飛躍的に上達することが期待出来ます。
小中学時代は両面裏ソフトでカットの基本をマスターし、高校時代にバック面を粒高ラバーに変えて大成した選手がいます。
渋谷浩選手や松下浩二選手の二人です。
ご存知の通り、彼らは全日本を制したカットマンで、日本代表選手としてプレーしました。
基本のカットのレベルが高く、攻撃マン顔負けの攻撃力があり、しかも粒高ラバーによる回転の変化もあったので長い間、大活躍しました。
裏ソフトラバーの構造
裏ソフトラバーは、表面のシート部分とその下のスポンジ部分の2層構造になっています。
シート部分の摩擦がどの程度かは、ラバーの種類によって千差万別です。
同じ裏ソフトでも表面がつるりとして回転の掛かりにくいものから、もの凄く回転の掛かる粘着性のものまであります。
スポンジも柔らかいものから硬いものまで多種多様です。さらにスポンジの場合、極薄から特厚まで4~5段階の厚さがあります。
この様に、シート・スポンジ共に多種多様なので裏ソフトラバーは無限の組合せがあると言っても過言ではありません。
より硬く、より厚い方がボールが飛びます。
威力は出ますが、カットはやりにくくなります。
カットがやり易いラバーとは、相手の回転の影響を受けにくく飛びにくいものとなりますので、ラバーの厚みは薄く柔らかいものになります。
どんなに強く打たれたボールでも、勢いを吸収して自分のボールにしてカットで返球する事が出来ます。
しかも、しっかりラバーにボールを食い込ませることが出来れば、猛烈に切れたカットを送り出せます。
逆にレシーブ時には、相手の回転の影響を受けにくいので楽にレシーブが出来ます。
上記を前提に、具体的なラバーを紹介します。
YASAKA オリジナル
ロングセラーの裏ソフトラバー。
安価。
裏ソフトの中でもシートの摩擦力は低い。
スポンジが非常に柔らかいのが特徴。
攻撃型、カット型を問わずコントロール重視で自分のボールにして返球するには最も適したラバー。
ベテラン選手に今でも愛されている。
初心者がカットを初めてマスターするには最も適しているラバーと言えよう。
YASAKA WALLIE(ウォーリー)
ウォーリーがあなたを壁にする、とはYASAKAの謳い文句。
オリジナルと同様スポンジが非常に柔らかく、コントロール重視のタイプに向く。
安価。
オリジナルとの違いは、シートの摩擦力があること。
これにより自ら回転を掛ける(カットを切る)ことも容易にできる。
カットをマスターするのには適している。
YASAKA マークV 特注(オリジナルスポンジ)
マークVは、もともと回転重視のドライブをするために開発された攻撃型用のラバー。
シートの摩擦力は高い。
このマークVのシートにオリジナルの柔らかいスポンジを貼ったものが、マークV特注ラバー。
カットがやり易く、回転を掛けたドライブ攻撃がやり易い攻守兼備のラバー。
カットマンの中級者以上に好んで使われている。
ロングセラーのラバー。
カタログには載っていないので、発注の際にオリジナルのスポンジを貼ったものという旨を伝える必要がある。
値段は中程度。
バタフライ ディグニクス09C
テナジーの後継ラバーとして開発された、テンション系の粘着ラバー。
高価。
飛ばないけど飛ぶ、回転が掛からないけど掛かる、という矛盾を解決した現代では理想のラバー。
ちょっと当てただけでは粘着系ラバーの様に全く弾まないのに、スポンジに食い込ませると恐ろしいほど威力あるボールが打てる。
回転も同様で、相手の回転の影響は受けにくいのに、自分が回転を掛ける時にはよく掛かる。
シェーク攻撃型でバック面にこのラバーを貼っている一流選手が多い。
引退したカットマンのトップ選手がこのラバーがもう少し早く世に出ていれば、もう少し長く現役を続けられたかもと嘆くほど。
カットがやり易く、攻撃の威力も抜群。
但し、上級者向け。初心者には向かない。
あなたは、今どの位置にいるか
あなたの現在地を知ることはとても大切です。
- どこまで行きたいのか。
- どんなプレーがしたいのか。
- 実現の可能性は何パーセントくらいか。
- そのために今何が出来るのか。
- そもそも何故カットマンを目指したのか。
王道を行くのが全て正解というわけではなく、体力不足を用具(ラバー)で補う考え方もあります。
おまけ
今はインターネット販売が主流ですが、お店でラバーを買う時には是非やって欲しいことがあります。
袋入りのラバーの表面右下に、この字型の切り込みがあってラバーの一部が見えていますが、これは何のためにあるか分かりますか?
これは、ラバーの厚みを確かめたり、スポンジの弾力を確かめるためのものです。
ですので、親指と人差し指でここをつまんで、是非、この感触を確かめて欲しいのです。
実は、同じラバー、同じ厚さとして梱包されていても、微妙に厚みや弾力が違うものなのです。
自分のベストのプレーが出来た時のラバーの厚みと弾力を知っておくと、購入の際に、このラバーは「勝負ラバー(大切な試合の前に貼るラバー)」としてとっておくことが出来ます。
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)