卓球初心者の戦術の立て方とは?
卓球初心者が試合に臨んだ時に、どう戦ったら良いかが分かりません。
分からないまま試合に臨むから、あまり良い結果が得られません。
試合に臨む前に作戦(戦術)を立てなくては上手く行くはずがありません。
今号では卓球初心者の戦術の立て方について掘り下げていきます。
試合の前に自己分析をしておく
コーチや監督と一緒に、試合の前に今の自分の技術的な長所と短所を洗い出します。
試合の直前ではなく、1~2ヶ月前が良いです。
例えば長所(良い所)があれば、それを試合で使えるレベルにまで高めます。
試合で使えるレベルというのは、
・その技で得点が狙える
・一定のボールに対してだけでなく、多少ポイントがずれてもその技が使える(その技のストライクゾーンを広げる)
ということです。
長所を創り出す
もしかしたら、初心者ですからその長所さえ見当たらないケースもあるかも知れません。
その場合は、長所を創り出すしかないです。
初心者が自分で見つけるのは大変ですから監督やコーチが選手に色々な技術を試しにやらせる中で見つけるしかありません。
かけらでも良いので、何か伸びる可能性を見つけることが出来れば、そこを中心に集中して練習させるのです。
どんな時に初心者が卓球楽しいと思うか、を考えると意外に見つけやすいものです。
・スマッシュ(強打)が決まったとき
・ラリーが長く続いたとき
・ドキドキするようなファインプレーが偶発的に出来たとき
に、初心者は「楽しい!」と感じます。
初心者だけではなく卓球をやっている人はみんな、こういう時に楽しく感じますよね。
初心者ならば尚更感じるということです。
例えば、バック対バックのラリーは、現代卓球では必須技術で基本中の基本です。
・このラリーを何回続けられるか(長さ)
・1分間に何回続けられるか(ピッチ)
・コースの正確性
などゲーム性を持たせて練習します。
ラリーが続く選手はどうして続くのか。
続かない選手は何故続かないのか。
単調なバック対バックのラリーの中でも実はボールは一球一球違うのです。
そのことに気付けるかどうかがポイント。
ラリーが続く選手は、その違いを感じる感度が高く、一つ一つに対してちゃんと対応しているからミスが少ないのです。
続いている選手同士は何が違うのか。
それはお互いが一定のコースに一定の深さとタイミングで送っているからです。
一度にすべてをやるのは難しくても、例えばコースをもう少し絞るだけでもラリーは続くようになります。
ある時はミドル寄りにボールが寄ったり、ある時はサイドを切るボールを送る様では受ける相手は大変です。(より実戦的と言える側面もありますが)
これがバックサイドの一定の幅に収まれば対処が楽ですよね。
何が言いたいかというと、一見アバウトに捉えがちな一つの練習の中身を細分化して精度を上げて行くことが大事だという事です。
そんな練習の過程の中で、長所が見つかることがあるのです。
指導者は、選手の少しの変化も見逃さず、例えば以前出来なかったことが出来る様になったことを褒めて伸ばしたいところです。
指導者に自分が頑張ったことを褒められれば選手はもっと褒められようと頑張るからです。
初心者の戦術の立て方
さて、ここからが本題です。
その選手の長所(この技で得点する!)が分かれば、それを如何に試合で発揮するかがポイントになります。基本戦術ですね。
自分の得意な展開に持って行くためのサーブが重要になります。
例えば、両ハンドのブロックで相手を振り回すのが長所な選手ならば、ロング系のサーブを出して長所を活かします。
これがカット系から入ると、活かすためにツッツキやツッツキ打ちなど数ステップを踏まねばならず長所が活かされにくいです。
長所を活かすためには、「準備打」が必要になるわけです。
この場合はロング系のサーブなのです。
チャンスを作った上で攻撃すれば、決まる確率がグンと上がります。
この様にして自分の攻撃パターンが出来上がったとします。
後は、これが試合でどこまで通用するかを試せば良いのです。
少なくとも「試合の最初から何をして良いか分からない」という状況はこれで無くなると思います。
ベンチコーチの役割
しかし試合はそんなに単純ではありません。
レシーブ番の時もあり、相手に攻められるシーンもあるからです。
そこで必要になって来るのが、ベンチコーチの試合分析と適切なアドバイスです。
まず、こちらがやろうとしていること、つまり長所を活かすためのサーブからの展開が上手く出来ているか、です。
上手く出来ていないのならば、どうすれば上手く行くのかを助言します。
試合の緊張を解くことが一番の鍵でしょう。
次に相手も同様にやってこようとしていますから、どうすれば威力を半減することが出来るかを助言します。
その上で、相手の攻撃が入ってきた時にどう対処するのかを助言します。
例えば、バックサイドから攻撃するのが上手な相手ならば、フォアサイドから打たせるように仕向ける、とかです。
もしそれでミスが出るのならば良し、威力が半減するのなら攻撃を止める確率も上がるというものです。
相手が弱気になったのを見計らって、得意のバックサイドにも送ってやります。
すると喜んで飛びついて来るので、しかし弱気になっているので威力はなく、その攻撃を待って速いタイミングで相手のフォアへブロックします。
自分の得意のボールまでもブロックされて、相手はさらに気分的に落ち込みます。
こうやって守備で相手を崩すわけです。
精神的に優位に立てれば、こちらの攻撃の決まる確率も上がり、一石二鳥です。
また相手の弱点を推理することも大切です。
フォアハンドで回り込んでくることが多いのは、フォアハンドが得意という証拠です。
フォアハンドが得意ということは、バック技術が下手である可能性が高いです。
バックへ速攻をかける作戦を試す価値は充分にあると思います。
もし弱点だと判れば、自分の長所を相手の弱点にぶつける様に仕向けます。
「自分の長所 対 相手の短所」の構図を作ってしまうのです。
試合の後で
試合に勝った時は、
「(作戦が)上手く行ったな。(試合に)勝てて良かったな。次の試合も頑張れよ」
の一言で良いと思います。
大抵の試合はトーナメント戦で、次の試合もあるから、いつまでも勝利の余韻に浸ってばかりもいられません。
次の目の前の試合に向けて準備して行かなくてはならないからです。
問題は試合に負けた時です。
試合慣れしていない選手は、精神的にも落ち込むことが多いから、まずは労いの言葉をかけるところからでしょう。
その上で、せっかくの経験を糧にして、指導者は選手を次へ向かわせなくてはなりません。
やろうとしていたことがどれくらい試合で出来たのか、を主眼に反省すれば良いと思います。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)