【OBUコーチ】カットマンが強い下回転を出すために意識したいことは?
カットマンには、強い下回転が必要です。
強い下回転の出せるカットマンは、それだけで相手に与える恐怖感が違います。
逆に、「このカットマンの回転量は大したことないな」と思われしまうと、大変苦しくなります。
カットマンが不利な時代に、強い下回転を出せることは必須技術と言えましょう。
相手に「あれっ!?」と思わせる程の、強い下回転を出せるようになりましょう!
2つのアプローチ
強い下回転を出すためには、2つのアプローチがあります。
- 物理的アプローチ
- 相対的アプローチ
です。
物理的アプローチとは、回転量そのものを上げて行くやり方です。
相対的アプローチとは、相手の予想を上回る工夫をするやり方です。
これはどちらか一方出来れば良いという類のものではなく、両方ともレベルアップして行かなくてはならないものです。
一流選手は例外なく、両方ともレベルの高い技術を持っています。
物理的アプローチ
どうやったら「強い下回転を出せるか」には、いくつかのポイントがあります。
以下の5つです。
- ボールを薄く捉える。
- ラケットの端にボールを当てる。
- スイングを速くする。
- 相手の回転を利用する。
- 相手の回転の軸を外す。
1~3は、自分から下回転を掛けるためのポイントで、この技術の基本となります。
4と5は、相手が回転を掛けてきた時に、それを強い下回転で切り返すにはどうすれば良いかということです。
前者を基本とするなら、後者は応用というところでしょうか。
では、それぞれを詳しく説明します。
1.ボールを薄く捉える
ボールの飛来方向に対して垂直の角度でラケットを当てると、強く反発してボールが弾みます。
垂直(つまり90°)は、ボールを最も「厚く」捉えた状態です。
スマッシュに代表されるミート打ちは、逆に出来るだけ厚く捉えるのがコツです。
水平(つまり0°)は、空振りです。(笑)
ボールが、ラケットに当たりません!
薄く捉えるとは、その中間の角度です。
45°くらいから始めて、40°、30°、20°・・・と、どこまで行けるか挑戦してみてください。
強い下回転を出すために、まず最初に意識することは「ボールを薄く捉える」ことです。
2.ラケットの端にボールを当てる
シェークハンドのラケットのフォア面を上にして、台の上に置いてみてください。
グリップは、手前にします。
ラケット表面を、十字に切ったとします。
これで4つの領域に分かれますが、左上から時計回りにA、B、C、Dと名前を付けます。
フォアハンドで強い下回転を掛けるには、Aの部分でボールを捉えるようにします。
今度はバック面を上にして、台の上に置いてください。
グリップは、手前にします。
同様に、左上から時計回りにA、B、C、Dと名前を付けます。
バックハンドで強い下回転を掛けるには、Bの部分でボールを捉えるようにします。
強い下回転を出すために、2番目に意識することは「ラケットの端にボールを当てる」ことなのです。
3.スイングを速くする
この説明をする前に、ラバーの話をしなくてはいけません。
裏ソフトラバーを例にします。
ご存知の通り、裏ソフトラバーは
- 表面のシート
- スポンジ
の2層からなります。
シート表面の摩擦係数が高いほど、下回転が掛かります。
これは、誰でも分かり易いと思います。
ボールがラバーに食い込んだ状態を思い浮かべて欲しいのですが、シートとスポンジがボールに押されてくぼみます。
この状態のまま表面をぐりぐりとボールが移動すると、恐ろしく回転が掛かります。
禁止になった「ぶっつけサービス」が回転が掛かるのは、この理屈です。
現在のルール内でこの状態を作り出すには、
- ラケットにボールが当たる衝撃を大きくする
- ラケットスイングを速くする
しかないです。
強い下回転を出すために、3番目に意識することは「スイングを速くする」です。
4.相手の回転を利用する
特に、レシーブの時に相手の回転を利用して返球すると、回転を掛け返すことが出来ます。
レシーブ時には「鏡の法則」に従って、ラケット角度を相手のサービスのインパクトの時の角度と対称になるようにします。
その角度を保ちつつカットスイングをすると、思いのほか下回転の掛かったカットレシーブが出来ます。
因みに「鏡の法則」とは、「ネットを挟んで、自分のラケットの角度を相手のサービスのインパクトの時の角度と対象にすればレシーブが返る」というものです。
相手のサービスの回転が掛かれば掛かるほど、強い下回転で返すことが出来ます。
しかも、相手の回転が少し残って返りますので、それが変化になります。
逆に、相手のサービスの回転がそれほど掛かっていない場合は、強い下回転で返すことは難しくなります。
極端な例で言うと、ナックルサービスに対しては、強い下回転で返すのはほぼ無理です。(どうしても弱めの下回転になります)
ならば、下回転で返すよりも
- ナックルでプッシュして返す
- 横回転を掛けて流しレシーブをする
- 思い切ってフリックする
とかの選択をした方が、良いかも知れません。
回転の掛かったサービスは取りにくいですが、見切ってしまえばこちらが変化を付けるチャンスです。
強い下回転を出すために、4番目に意識することは
- 回転系サービスが来た時はチャンスと思え
- 相手の回転を利用して、さらに変化を付けて返せ
です。
5.相手の回転の軸を外す
これは、カットする時に意識したいことです。
相手のドライブに対して、ボールが回転する方向に当ててしまうと、回転の影響をまともに受けてしまいます。
ですので、回転の軸を外し、少し斜めの角度でカットスイングをします。
それでも回転の影響を受けますが、影響の度合いはかなり下がります。
ドライブを抑えやすくなりますし、カットがカーブしながら相手コートに入るので、これも1つの変化となります。(相手の回転も利用していますね!)
強い下回転を出すために、5番目に意識することは「回転量のあるドライブが来た時は回転の軸を外して変化をつけろ」です。
相対的アプローチ
物理的アプローチが回転量そのものを上げて行くやり方なのに対して、相対的アプローチとは相手の予想をいかに上回るかを工夫することです。
そのためには、
- 強い下回転
- 真逆の性質を持つナックル
- 上回転
を出せる必要があります。
所謂、「見せ球」というものです。
豪速球ピッチャーが、チェンジアップやフォークボールを投げるようなものです。
相対的に直球がより速く感じられて、バッターは振り遅れます。
相対的アプローチとは、これと全く同じ考え方です。
具体的に、説明します。
例1)カット
最初に、少し大げさに切るカットを送ります。
相手に、それと分かっても構いません。
相手がネットミスしてくれれば、ラッキーだくらいに気楽に構えます。
次に、似せたフォームでナックルカットを送ります。
最初に切るカットを見せて、次にナックルを送ると相乗効果で効きます。
オーバーミスも期待出来ます。
しかし、この2種類だけでは次第に相手に慣れられます。
そこで、第3のカットを送ります。
ナックルカットと全く同じフォームで、少しだけ切れたカットを送ります。
相手は、このフォームはナックルカットだと意識に刷り込まれているので、ネットミスをするという展開を期待出来ます。
この様に、必ずしも強い下回転でなくても、ネットミスをするという同じ現象を起こすことが可能なのです。
私の経験では、この3種類を上手に組合せて戦うと、バリエーションが増えて勝負になるケースが多かったです。
2種類だけだと相手がアジャストしてくるので、苦しい展開に追い込まれました。
例2)サービス
あなたが猛烈に切れた横下回転サービスが、得意だったとします。
やらなくてはならないことは、得意のサービスを活かす見せ球を作ることです。
- バックスイング
- フォロースルー
は同じで、インパクトの角度だけが違う横上回転のサービスを覚えるべきです。
さらには、
- ボールの軌道
- 相手コートへの落下点
も、ほぼ同じになる様に練習します。
私の住んでいる静岡市には、Nさんという全国大会で何度も優勝しているベテランの選手がいて、このサービスを出します。
何回も試合をして頂いていますが、私は変化がさっぱり分からず、ネットミスとオーバーミスのオンパレードです。
私もNさんの様なサービスの使い手になりたいと、密かに思っています。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)