ウォーミングアップ技術編
先日、ウォーミングアップでやりたいメニューというテーマでお伝えしました。
その時は、身体(フィジカル)のことが中心でした。
しかし、ウォーミングアップは、身体だけではありません。
技術的なウォーミングアップもあるのです。
今号ではその点についてご紹介します。
ちょっとした隙間時間を利用する
準備体操、練習場の整備も終わり、いよいよ練習に入ろうとした時、練習相手が用事で抜けることがあります。
そんな、ちょっとした隙間時間が出来た時、あなたは何をして過ごしますか。
あなたはすでに準備体操もしているので、充分身体は温まっています。
卓球台も、ボールもラケットもあります。
いないのは練習相手だけです。
こういう時に、ただぼーっと相手を待っているだけでは、非常にもったいないです。
こういう時にこそ、1人でも出来る、技術的なウォーミングアップをやるべきだと私は思います。
私がお勧めしたいのは、以下の3つです。
1.卓球台を使った感覚練習
2.サーブ練習
3.イメージトレーニング
では、それぞれのやり方や注意点などをご紹介します。
卓球台を使った感覚練習
感覚練習には色々な種類がありますが、せっかく卓球台があるので、卓球台を使った感覚練習をやりましょう。
1.ニュートン
台にボールをツーバウンドさせて、ラケットでボールをスッと受け止めます。
この時、膝の屈伸を使って、ラケット上で出来るだけボールをバウンドさせない様にします。
ボールをよく見て、ボールの落下速度にラケットの速度を合わせてやると、上手くバウンドせずに受け止めることが出来ます。
ボールがラバーに吸い付くように乗れば、百点満点と言ったところでしょうか。
ラケット表面を時計の文字盤に見立てると、フォアハンドの場合、ちょうど10時半から11時の辺りでキャッチします。
バックハンドの場合、その逆ですから、1時半から2時の辺りです。
こうやって、わざとスイートスポットを外してやるのです。
もうお分かりかと思いますが、これはストップのための感覚練習です。
台にツーバウンドさせるのも、相手のサーブをイメージするためです。
ニュートンとは万有引力を発見した、歴史上の偉人の名前ですよね。
ちなみにこの練習の命名は、私の卓球の練習仲間のKさんです。
ですので、どの卓球本にも、このネーミングは載っていませんよ。(笑)
2.セルフコロコロ
コロコロ練習を自分一人でやります。
コロコロ練習とは、卓球台の上をネット方向からエンドライン方向にボールとコロコロと転がし、エンドラインから出たところを、ドライブを掛ける練習です。
パートナーに転がしてもらうところを自分で転がします。
ネット付近の台上にボールを置き、ラケットを被せて手前に引く感じで転がします。
上手くドライブするコツは、ラケット面をエンドラインと平行になる様に開くことです。
腕だけで打つのではなく、膝の曲げ伸ばしも使ってスイングすることを、忘れない様にしましょう。
この練習は、2バウンドで台から出るか出ないかの、ぎりぎりのボールをドライブする練習になります。
8の字打法をマスターするには、とても良い練習になると思っています。
サーブ練習
隙間時間こそ、サーブ練習のチャンスです。
練習相手がいると、時間を取ってサーブ練習することがなかなかやりづらいです。
しかし試合で一番使う技術がサーブです。
ですので、常日頃から隙を見つけてはサーブ練習をする気持ちでいましょう。
ボールを3~5個くらい用意します。
1個ではサーブを出しては球拾いをする形になるので好ましくありません。
試合と同じ様にしっかり構えてから、同じサーブを続けて出す様にします。
何球かに一回だけ同じモーションから違う種類のサーブを出します。
要するに、試合と同じ配球の割合を意識するという事です。
ボールが散らかるので無くさない様に、また隣の台で練習している方に迷惑にならない様に気を付けましょう。
私が意識しているのはコントロールです。
第一バウンド、第二バウンドが狙ったところに行くかがポイントです。
ハーフロングの場合、第三バウンドがエンドラインから出るか出ないかをチェックします。
回転を掛けて、コントロール出来れば、まずは良しとしています。
私はスピードは重視していませんが、何を重視するかは戦型によるものだと思います。
イメージトレーニング
プレー領域をくまなくチェックします。
具体的には、
・ネットに一番近づいた時に、どんな体勢でどんな打ち方をするか
・逆にネットから一番離れた時に、どんな体勢でどんな打ち方をするか
を、フォアサイドとバックサイドのそれぞれで確かめます。
ゆっくりとスローモーションで、正確にフットワークすることを意識しながら頭の中で線を引くイメージです。
その時、どんな景色が見えるのかを、よく確かめましょう。
ある位置から相手コートを見た時に、相手はどこに立っていて、あなたはどのコースを狙うのかを考えます。
1.相手が打ったこんなボールを
2.自分はこの様にスイングして
3.あのコースへ入れる。
こうやってプレー領域をくまなく歩き、時には立ち止まって打球をイメージし、どんどん線を引いて行きます。
こうして蜘蛛の巣の様に出来上がった領域があなたのプレー領域です。
逆に言えば、この領域内でしか、あなたはプレー出来ないはずです。
ここまで述べたことはほぼ平面のイメージですが、これに高さの要素を加えて行きます。
こうすることでイメージが立体になります。
例えば、
・床すれすれで打球する。
・高いロビングを入れる。(あるいは高いロビングを打つ)
・サポートの外から横入れする。
などです。
人間は頭で思考することしか、行動できないと言われています。
イメージすることで新しいことが出来るようになったり、試合中にファインプレーが飛び出したりします。
思考がいかに大切か、ということです。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)