高島先生の指導

OBUコーチ バックハンド フォア

ご縁があって、高島規郎先生が卓球の指導をされているところを見学させて頂く機会に恵まれました。

私は高島先生の大ファンです。

現役時代ミスターカットマンと呼ばれた高島先生のプレーは私の憧れでした。

一体、どんな指導をされるのか。

私は興味津々で会場に向かいました。

最新の理論

私が朝の仕事を終えてから会場に到着すると既に指導は始まっていました。

場所は静岡市にあるS高校です。

S高校の卒業生であるY先生の伝手で今回の高島先生の指導が実現したとのことでした。

最初はホワイトボードを使っての座学でした。

今までの卓球の技術指導は間違いではない、間違いではないがルール変更や時代の流れに応じて変えて行かなくてはならない。

高島先生はそうおっしゃっていました。

あ、あの事を言っているのだな、先生の著書「卓球 戦術ノート」を何度も読んでいた私はピンと来ました。

詳細は著書を読んで頂きたいですが、ポイントを述べますと以下の通りです。

・現代はプラスチックボールであること。
・継ぎ目がなくイレギュラーバウンドしないので、バウンド後の軌道が読める。
・回転よりも速さ重視。ピッチ、切り替え、思考や戦術。
・ライジングをカウンターする戦術が中心。
・フォアで無理に回り込まず両ハンドによる速いドライブが良い。

などなど。

そして現代の卓球では、ボールのどこを捉えどう振るのが良いかを解説してくれました。

すなわち、ボールが飛来する時の先端部を(仮にA点と呼ぶ)捉えて、A点を赤道と見た時の北極点に当たる部分(仮にB点と呼ぶ)に向けて振ると良いのです。

相手のボールが上回転でも下回転でも、A点で捉えてB点を目指して振るのです。

上回転に対しては楕円打法、下回転に対しては八の字打法を使います。

上回転に対してオーバーミスしない、下回転に対してネットミスしない、最小限の力をスイングで使ったら、後の力はスピードを出すために使うのです。

座学では、ホワイトボードにボールの絵を描いてスイングの軌道を説明していました。

台にバウンド後は放物線を描くので、それに連れてA点も変わるのだと、図示して下さいました。

ここは「なるほど!」と私も思いました。

現代の高速度カメラでは12,000分の1秒まで撮れるらしいのですが、卓球では5,000分の1秒の映像で充分とのことです。

誰もが納得するためのエビデンス(証拠)を集めているところで、このカメラの映像を使って、科学的にアプローチをしたいとおっしゃっていました。

S高校の生徒たちも、高島先生の話を熱心にメモを取っていました。

頭で理解し身体で覚える

午前中の座学が終われば、午後は実際の練習です。

頭で理解したはずの事を、今度は身体に覚え込ませる作業です。

下回転のボールに対する八の字打法が練習の中心でした。

▼八の字打法のポイント(フォア)

・ラケット面は被せる。
・バックスイングは大きく取らない。バック面が視界に入る程度に抑える。
・両足均等に体重を乗せる。
・肩甲骨の開閉で打つ。
・ミートした瞬間にトップスピンに切り替える。

高島先生が見本を見せて、何人かの生徒にやらせるのですが、最初はなかなか上手く出来ませんでした。

やはり今までの癖で、右膝を曲げて右肩を落とし、下から上へ擦り上げるスイングが染みついているからでしょう。

先生の指導を受けながら何球か続けているうちに、次第に八の字打法らしく打つ様になりだんだん良くなってきました。

すると、どうでしょうか。

明らかにボールのスピードが速いのです。

飛距離も伸びていました。

それはそうです。

八の字打法はスイングの力のうち、最小限をネットミスしないための擦り上げる力に利用したら、後は全て前進回転に使うからです。

今までの打ち方は、下回転を持ち上げることにスイングの力の大半を用いていたため、ボールの速さや飛距離が伸びないのです。

フォアの練習の次はバックの八の字打法です。

▼八の字打法のポイント(バック)

・ラケットヘッドを下げてバックスイングする。これでラケット角度が出る。
・膝を曲げてしゃがむ様な動作はしない。
・台を舐める様にスイングする。
・ミートした瞬間にトップスピンに切り替える。(フォアと同じ)
・相手のボールが深く入ってきても下がらずにバウンド直後を捉える。むしろ迎え撃つ気持ちで打つくらいでちょうど良い。
・ゆっくり当てて速く振るイメージ。

実技の見本は英田理志選手でした。

英田選手は全日本でベスト8に入った超攻撃型カットマンです。

バックハンドのドライブがとても上手い選手です。

スタンスはやや広めで、腹筋(腰)の力と腕の振りだけで振っている様に見えました。

膝は曲がらないし、頭の位置は全くブレません。

それでいて球威が半端ないのです。

一見したところ八の字打法に見えないのですが、それは素人目にはそう映るだけの様です。

高島先生が言うには立派な八の字打法で、コンパクトなスイングでリストがもの凄く強いのであれだけの威力が出る、最初は対戦相手はみんなオーバーミスするとのことです。

フォア・バック共に、高島先生が強調して言っていたことがあります。

それは、スイングを止めないという事です。

スイングの終点で急ブレーキを掛けてスイングを止めるのではなくて、スイングの勢いをそのまま利用して戻るのです。

スイングが一番速いのは、振り終わって戻る時だとも言っていました。

ボクシングのパンチを例に挙げて、戻りの速さの大切さを強調していました。

私が印象に残った事

体育館のフロアには全部で7台の卓球台が出ていて、それぞれの台に3~4人生徒がついて練習していました。

高島先生は生徒たちにやらせながら、1台ずつ台を回って、分け隔てなく熱心に指導されていました。

生徒同士の切り替えフットワークが各台で始まると、フロア全体がにわかに活気を帯びてきました。

ピッチの速い打球音、床を踏むシューズの擦れる音、打球時に生徒が吐く声などが各台から響き渡りました。

高島先生も楽しそうに、ニコニコして観ておられました。

真剣な雰囲気のなかにも、何か楽しいムードがあり、フロアの端で観ていた私も身体を動かしたくなりました。(#^^#)

もう一つ印象に残ったのは、実技の合間に高島先生も英田選手も台のエンドラインにボールを静止させて置き、それを八の字打法でドライブしていたことです。

私はボールを転がしてもらい、エンドラインから出たところをドライブする練習なら、やったことがありました。

その練習でさえ、転がるスピードがゆっくりになれば上手く打てませんでした。

しかし、お二人は完全に静止した状態のボールを難なくドライブ出来るのです。

お二人ともフィーリングが半端ないです。

私は夕方から仕事があったので、途中退席しましたが、あっという間に時間が経ってしまいました。

S高校の生徒も熱心に練習していたし、私自身とても充実した時間でした。

見学を許可してくれたT先生とY先生に感謝致します。

 

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この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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