卓球でカットマンを行うメリットとは

OBUコーチ カット

カットマンという戦型は、大成するまでに時間がかかり、勝ちにくい性質を持ちます。

ここ40年間で卓球のルール改正が何度もありましたが、そのたびにカットマンは不利な状況になりました。

私は卓球を始めて40年以上経過しましたが、ずっとカットマンを続けてきました。

ルール改正では本当に苦労しましたし、なかなか勝てない時期がずっと続きました。

初心者が「カットマンをやりたい」と言うと、内心「苦労するから止めておいた方がいい」と思うくらいです。(笑)

しかし、今はカットマンをやって本当に良かったと思っています。(#^.^#)

カットマンをやっていたからこそ出来た、素晴らしい体験や分かった事があるのです。

今号では、カットマンを行うメリットについてお話します。

精神力が鍛えられる

絶対に負けられない試合。

そんな試合を、経験したことはありますか?

私はあります。

私は粘るタイプのカットマンだったので、団体戦のラストによく起用されました。

私の勝敗がチームの勝敗が決するので、責任重大で大変緊張しました。

それは、私が大学一年生の時でした。

リーグ戦の入れ替え戦で、私は初めて団体戦メンバーに起用されました。

  • 勝てばチームは残留
  • 負ければ降格

という試合でした。

6番に出たのですが、ラストの7番が早く決着が着いたので、私の勝敗でチームの勝敗が決まる状況になりました。

相手も一年生カットマンで、両者粘り合いの長い試合になりました。

最後は促進ルールに入り、相手選手のミスにも助けられ、私は辛くも勝つことが出来たのです。

当時の2学年上のキャプテンのN先輩に、「あのプレッシャーのかかる状況で一年生ながらよく頑張った」と褒めてもらえたことが嬉しかったです。

他の先輩方も口々に褒めてくれましたし、チームの勝利を喜んでくれました。

後で伝え聞いた女子の先輩方までもが、私の勝利を喜んでくれました。

当時私は、入学してすぐに母親を亡くし、そのショックでふさぎ込むことが多く、どうしても周囲に心を開くことが出来ずにいたのです。

他の同級生たちの様に、はしゃぐ気持ちになれず、黙々と練習に打ち込むしかなかったのです。

もしかしたら、そんな私を元気付けようとしていたのかも知れません。

しかし、それ以来、こんな自分の試合でもこんなに応援してくれ、喜んでくれる人がいるのなら、その人たちのためにも頑張ろうと思えるようになりました。

カットマンは私だけだったこともあり、後半の大事な場面に起用されることが多く、精神的に苦しい試合がその後も続きました。

勝てる試合ばかりでもなかったのですが、それでもプレッシャーに耐えて最後まで頑張り抜く精神力はかなり鍛えられました。

因みに、個人戦ではそこまで頑張ることは出来ませんでした。

自分では頑張っているつもりですが、何故か途中であきらめてしまう面がどこかであった気がするのです。

そんな体験から、「人は自分のためだけでは限界があるが、応援してくれる誰かのためには、最後まで頑張ることが出来るものだ」と思いました。

後に、社会人となりチームで仕事をする様になった時に、この時の経験が活きました。

守備の素晴らしさが分かる

卓球初心者が技術を覚える過程で、攻撃マンは攻撃から始めるのに対して、カットマンは守備から始めます。

つまり、攻撃マンが自ら打つことから始めるのに対して、カットマンは相手に打たれた球を受けることから始めるのです。

どちらが上達が早いかというと、断然攻撃マンの方です。

しかも、攻撃技術は、決まればスカッとして楽しいです。

ところがカットマンは、相手が打ってくる様々な攻撃球に対して、1つ1つ正確な対処法を覚えて行かなくてはなりません。

それは得点に結びつきにくく、地味で気の遠くなる作業です。

ところが、ある程度のレベルにまで達すると俄然カットマンが輝き出すのです。

相手の攻撃が怖くなくなり、大抵のボールは返球できるという自信が付いてきます。

それこそ団体戦のラストで起用されるようになったり、観客を魅了するプレーが出来るようになったりするのもこの頃でしょうか。

もっとレベルが上がって来ると、自分では普通にプレーしているつもりでも、相手の方が勝手に崩れていくという試合展開が出来るようになります。

相手からすれば何をやっても返されるので焦りから無理して攻撃をせざるを得ず、その結果、ミスを繰り返すのです。

このレベルに達する頃には、カットマンの攻撃技術も上がっていることでしょうから、「打って良し、守って良し」のオールラウンドプレーが出来ています。

相手の攻撃マンの心理も読めて、真綿で首を絞めるようにじわじわと追い詰め相手を自滅へと導く展開が出来るのです。

これも卓球を始めた当初から、

  • 相手の球を受ける
  • 受け切る

という守備からスタートした修練の賜物です。

こういう守備の素晴らしさが分かるのが、カットマンのメリットの1つなのです。

攻撃の上手い攻撃マンは沢山いますが、守備の上手い攻撃マンはそうはいません。

日本では、水谷隼選手が例外的に守備が上手い攻撃マンです。

だからこそ、全日本選手権で10回も優勝できたり、オリンピックでメダルを獲れたのだと私は思います。

攻撃の上手い攻撃マン同士の試合は、先手の奪い合いになりがちですが、守備の上手い攻撃マンは「後の先の戦術」も取れるのが強みです。

もう一人。

2021年1月に全日本選手権で優勝した及川瑞基選手も、水谷選手に似ていると私は思います。

他の攻撃マンとはタイプが違うので、密かに応援しているのです。(#^^#)

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この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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