【OBUコーチ】カットを切るとは その2
こんにちは。
静岡のOBUです。(^o^)
いつも私の記事を読んでくださって、ありがとうございます。
カットを切るとは その2
今回は、前号の続きになります。
ラージボールを通じて、相手の予想を少しだけも上回る回転のカットを出せれば、相手はネットミスやオーバーミスをしてくれることを学びました。
また、自分本位でなく相手本位で自分がプレーしていくべきだと気付きました。
では、”この学びや気付きを硬式のプレーにどうやって活かすのか”、が次の課題になりました。
プラスチックボールへの対応
そんな中、大きなルール改正がありました。
プラスチックボールへの移行です。
今までの歴史の中でも沢山のルール改正がありましたが、その中でも極めて影響のあるルール改正ではなかったでしょうか。
プラスチックボールは、セルロイドに比べて回転が掛かりにくいのです。
卓球の3要素
- 回転
- コース
- スピード
の中の、回転の要素が小さくなったのです。
回転で勝負していた選手は、軒並み苦境に立たされました。
TVでお馴染みの、ロンドンオリンピック銀メダリストの平野早矢香選手も、番組の中でこう言っていました。
「これで私の卓球も終わったな」
と。
平野選手は、
- 豊富な練習量に裏打ちされたミスのない卓球
- 人一倍強いメンタル面
が印象的ですが、彼女の卓球を支えていたものは「回転」でした。
平野選手の様な一流選手を引退に追い込む程、大きなルール改正だったのです。
プラスチックボールに変わった直後は、メーカーにより弾みが全然違うなど、選手の立場からは大混乱の時期が続きました。
現在は、メーカーによる弾みの違いは依然としてあるものの、ボールの品質は安定して、随分落ち着いたと感じています。(^^;;
カットマンの立場からすれば、カットが切りづらくなり、また1つカットマンにとって不利なルール改正となったと感じていました。
私にとって、もう1つ衝撃的だったのは、長年バック面に使っていた粘着性ラバーが廃版になったことです。
これで猛烈に切るカットはもう出来ない、と暗澹たる気持ちに一時的になりました。
後継のラバーも見つからず、カットマンとしての自分のプレースタイルを見直さざるを得ませんでした。
そこで、ラージボールの経験が活きたのです。
きっかけは長年の友人のAMEさんが
「プラスチックボールは、まるでミディアムボールだね」※ラージボールとセルロイドボールの中間の大きさという意味
と言ったことです。
なるほど、そうか。
上手い表現だな。
ならば、ラージボールと同じ戦術で行こう。
と私は決心したのです。
バック面をコントロール系のラバーに変え、切らないカットと少しだけ切るカットを主体とするスタイルに変更しました。
現在このスタイルで道を模索中ですが、やはり変化の幅が少ないのは、相手にやり易い印象を与えて不利となります。
その不利をどう補うかが、工夫のやりがいがあるところです。(^^)
今、改めて思うこと
- 使う用具
- 自分の目指すスタイル
が決まれば、その長所を最大限に活かすことが大切だと改めて思います。
せっかくその用具を使うのであれば、短所を補う目的だけでなく、積極的に長所を伸ばす目的で使用したいものです。
私の場合ですと、せっかくコントロール系のラバーにしたわけですから、
- もっと厳しいコーナーぎりぎりを突く
- 両面裏ソフトなのでバック系の攻撃力をアップする
とかですね。
自分本位でなく相手本位でプレーするということに関しても、自分があってこそ初めて相手本位でプレーすることが出来るわけで、まずは自分のスタイルを磨くことが大切です。
最も上手く行ったときは、自分の試合のペースに相手を引きずり込み、私の変化カットを相手が打ちあぐんだ時でした。
そうなるための伏線・布石があり、私はもっとそこを磨くべきではないか、と思うのです。
なんとなく上手くいったではなく、意識的に(かつ自然な流れで)上手く行く様にするのです。
もちろん、主戦技術とそれを支えるフィジカルを同時に磨いていくことも大事です。
自分のスタイルを再構築中で、とても練習やトレーニングが楽しいです。
自分にしか出来ないこと、その時の年齢的・体力的な制限を考えながら、自分の卓球を作り変えていく柔軟性が大切だと思います。
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)