【OBUコーチ】カットを切るとは その1

OBUコーチ カット

こんにちは。

静岡のOBUです。(^o^)

いつも私の記事を読んでくださって、ありがとうございます。

カットを切るとは その1

カットマンにとって、カットを切る事はとても大切な技術です。

切るカットがないカットマンは、攻撃マンにとって怖くない印象を与えます。

切るカットを見せておくだけでも、試合中に相手に与える印象は変わります。

しかし、「カットを切る」とはどういうことでしょうか。

40年以上カットマンをやってきて、私自身、考え方が時代と共に変わりました。

何をきっかけに、どう変わってきたのか。

私の体験を、今回はご紹介します。

読者の皆さんの、何か気付きに繋がれば幸いに思います。

以前の私の考え方

まだボールがセルロイド製の頃、私はバック面に粘着性のラバーを使用しておりました。

このラバーは打球音が鈍く、カットを切った時の音と、ナックルを出した時の音がほぼ同じ、という特徴がありました。

粘着性ラバーだったこともあり、私はバックカットもバックのツッツキも切るボールを主体としておりました。

そして、たまにナックルを送る、というやり方で勝ちに繋げていました。

ツッツキやカットを切れば切るほど、相手は回転に負けないようにループドライブを入れてきました。

当時の私はこのループドライブが取れず、大変苦労しておりました。

私の課題でした。

相手がどんなタイプであろうとも、自分中心の考え方をしていた私は、依然として切るカットで勝負をしていました。

そのスタイルで、ある程度は試合に勝てていました。

勝てているものだから、自分のやり方を変える気はしませんでした。

課題は抱えたまま、自分のスタイルを変えられずにいたのです。

本当に切れたカットとは

話は少し外れますが、「本当に切れたカット」とは、どんなものかご存知でしょうか。

ツッツキで返そうとしてネットミスする?

いえ、違います。

ネットミスではなく、オーバーミスするのです。

切れ過ぎていてツッツキのコントロールが出来ないので、飛んで行ってしまうのです。

全日本選手権に出場していたカットマンのH選手と静岡県予選で対戦した時に、私は受けたことがあります。

今から思えばH選手は、次の試合を見据えて私を練習台にしていたのだと思います。

これから使うであろう技を、次々と私相手に繰り出して来ました。

その中の1つが、この猛烈に切れたカットでした。

私も数年にわずか1、2回ですが、試合で出すことが出来た経験があります。

H選手の様に、日常的に出せるレベルには、ついに到達しませんでした。

ラージボールとの出会い

そんな私に、転機が訪れました。

それが「ラージボールとの出会い」でした。

今でこそラージボールは、競技スポーツとして定着していますが、当時はレクリエーションが目的でした。

ご年配の方がゆっくりボールを打ち合うスポーツで、卓球(硬式)とは似て非なるものだ、と私は捉えていました。

どうせボールはゆっくりだし、そんなに練習しなくても試合はなんとかなるだろう。

と高をくくって試合に参加しました。

結果は散々なものでした。

まず、裏ソフトで切るツッツキ専門でやっていたクセが抜けず、表ソフトでのツッツキが全く安定しませんでした。

最もショックだったのは、切れたカットをいくら送っても相手が軽く持ち上げてくることです。

そしてナックルカットを送っても、やはり軽く返されるのでした。

  • 切ったカットをネットミスしてくれない
  • ナックルカットをオーバーミスしてくれない

私としては大変困りました。

硬式で通用していた私の戦術が、ラージボールでは全く通用しないのです。

自滅するような形で、私は負けたのです。

ラージボールから学んだこと

そんなことがあって、どうやったら勝てるようになるのかを懸命に模索しました。

ラージボール用に、自分の卓球を作り変える必要があると感じていました。

ラージボールの特徴を改めて考えると、

  1. 44㎜とボールが大きいので、回転もスピードもすぐに減衰する。
  2. 表ソフトを使用している。回転の影響は受けにくい。
  3. しかしラージボールにも回転の要素は依然としてある。

ということです。

  • 3.の回転の要素はあるはず。
  • なのに、どうして私は勝てないのだろう。
  • 自分のスタイルが通用しないのは何故だろう。

と悩みました。

そこで私は硬式のスタイルとは違い、ナックルカットを主体にし、時々切ったカットを送る様に変えました。

するとラリーが続くようになり、簡単に負けなくなってきました。

次に、いつ切るカットを送るかを研究しました。

相手が強打してきた時だけ猛烈に切る様にしたところ、効果があることが分かりました。

すると、

  • カットそのもので得点出来る
  • 攻撃も仕掛けられる

ようになってきたので、強い相手にもかなり良い勝負が出来るようになってきました。

さらに研究を進め、ナックルカットと同じフォームで、少しだけ切るカットを混ぜられる様になりました。

猛烈に切るカットは、そのスイングから相手にも分かってしまうものでしたが、この少しだけ切るカットは目立ちません。

このカットが出来るようになってから、相手がネットミス、オーバーミスをしてくれるようになりました。

格下の相手には簡単に勝てる様になり、格上の相手にも競るようになってきました。

ここで、私はやっと気付きました。

ラージボールが私に教えてくれたのです。

いくらカットを切ろうとも、いくらナックルを送ろうとも、相手に分かってしまえば簡単に返球される。

しかしながら、相手の予想より少しだけ上の回転のカットを送れば、その差はたとえ小さくても、相手はネットミスやオーバーミスをしてくれる。

ということなのです。

さらに言うと、今まで私は自分本位の(自己中心的な)変化カットをしてきましたが、これからは相手本位で自分がプレーしていくべきだ。

と気付いたのです。

(次号へ続く)

この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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