【OBUコーチ】卓球は用具?腕?『恐るべし、テナジー19』
私は、用具信奉者ではありません。
基本的に、卓球は用具ではなく腕だと思っています。
一方、私の先輩のAさんは、卓球は用具が全てだと言います。
常に、用具の研究に余念がありません。
最近、私の信念が揺らぐ衝撃的な出来事がありました。
それは、Aさんの私設卓球場にて、Aさん使用のラケットで試打させて頂いた時のことでした。
Aさんのラケットで打つ
Aさんは、スティガのラケットを使用しています。
形状は中国式ペンホルダーで、裏面に裏ソフトを貼っています。
その裏ソフトというのが、2021年3月発売の「テナジー19」なのです。
厚さは特厚。
普段は、Aさんに球出しをしてもらい、私が打ち返す多球練習をよくやります。
その日は話題がラバーに及び、「ちょっとコレで打ってみい」とAさんのラケットを貸してくれたのです。
衝撃的でした。
普段私が打っている感覚との違いに、愕然としました。
まず行ったのは、台から1.5メートルくらい離れた位置に立ってフォアハンドの強打です。
強いミートを意識して、スマッシュします。
とても気持ちよく打てました。
特厚なのに、「柔らかい」印象を受けました。
他のテナジーは、もっと固くて弾むイメージでしたので意外でした。
他のテナジーに比べて、ボールの食い込みと反発力が増したということらしいのですが、このグリップ力の影響か、かなり低いボールでもスマッシュすることが出来ました。
打ち始めこそ、オーバーミスなどのコントロールミスが出ましたが、慣れてしまえば狙ったところに打てました。
次にもう少しだけ台から離れ、打点も4番に落としてドライブを打ちました。
すると、どうでしょう!
軽く擦り上げたボールが、普段思い切りドライブしたボールと同じくらいの威力なのです。
台についてからの弾み方が、全然違うのが分かりました。
回転が減衰しないのです。
固いプラスチックボールなのに、セルロイドボールの様に回転を掛けることが出来ました。
しかも、意外にコントロールしやすいのです。
- 弾く打ち方
- 擦る打ち方
の2つの打ち方を試しただけですが、「使う用具によって、こんなにも感覚が違うのか。攻撃型の選手は打球に威力が出るわけだ」と、大変ショックを受けました。
テナジー19の特徴
ここで、テナジー19の特徴を簡単にまとめますと以下の様になります。
これらの特徴はAさんに教わったり、卓球雑誌から入手したものです。
- テナジーシリーズの5番目のラバー。
- 粒の径が1.5ミリと最も細い。
05、64、80は、1.7ミリ。 - 粒の間隔が狭い。
単位面積当たりの粒数がルールの限界。密集している。 - このためボールの食い込みと反発力がアップ。
ボールをよく掴む。 - スポンジ硬度は36。
他のシリーズ(05、25、64、80)と同じ。 - スポンジは単独気泡。
一つずつ分かれているため打球時に空気が抜けない。
弾みが良い。バタフライの特許である。 - 総じて回転とスピードの両方に対して、高性能である。
今までのテナジーシリーズの特徴を一言でまとめると、以下の様になります。
- テナジー05
回転性能が高い「回転の05」 - テナジー25
台上プレー向き「前陣の25」 - テナジー64
スピード性能が高い「スピードの64」 - テナジー80
05と64の中間の粒間隔の「バランスの80」 - テナジー19
ボールをよく掴みパワーを生みだす「パワーの19」
因みに、テナジーの後継とされているディグニクス09Cは、スポンジ硬度44と固く粘着性の高いラバーとのことです。
- フォア側にディグニクス09C
- バック側にテナジー19
を貼る組合せが、今後増えるような気が私はしています。
私が思ったこと
普段私が使っている用具は、カットマン用に弾みを抑えたラケットで、ラバーは回転重視のマークV(厚さは中)です。
この組合せに変えた時、それまでにはもっと弾みを抑えたものだったので、攻撃する球に威力が出たのを感じました。
しかし、今回攻撃型の多くの選手が使う用具を使って実際に打ってみて、大袈裟に言うと同じ卓球とは思えないくらい全く違う世界を感じました。
攻撃型の用具は、こんなにも進化しているのかと驚きました。
どうりで、球に威力が出るはずです。
「卓球は用具だ」と言い切るAさんの主張が、分かる気がしました。
Aさんは身体にハンデのある選手の指導をしていますが、彼らも同じ弾むラバーを使用しているため、球威は私達と遜色ないです。
身体の不自由さを用具でカバーする考え方ですが、これもアリだと私は思いました。
私の周りには、カットマンでテナジーを使っている選手が数名います。
共通して、攻撃が上手だという特徴があります。
私はカットを重視してきたので、今までは弾みを抑えた用具を選択して来ました。
攻撃の球威は身体で出す、としてきました。
しかし、今は攻撃を重視するスタイルに変えようとしている最中なので、徐々に弾む用具を選択しても良い頃合いだと思いました。
カットとのバランスがあるので、いきなりは無理ですが、いつかはこのラバー「テナジー19」を使用してみたいと思います。
しかし、私の信念は変わりません!(笑)
いかに用具が進化しても、それを使いこなす腕があってこそです。
Aさんとの論争は、まだまだ続きそうです。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)