世界卓球2021ヒューストンを観て

OBUコーチ 戦術

世界卓球2021ヒューストンが終わりました。

東京オリンピックが終わり、どんな大会になるかと思いながら観ました。

全ての試合を観たわけではないので、私の知らない好試合もあったと思います。

私が観た試合の中で印象に残った事や、改めて感じたことを今号では皆さんとシェアしたいと思います。

大会の結果

まず日本選手の大会の結果からですが、ニュースでご存知かと思いますが、シングルスはメダルに届きませんでした。

張本智和選手は2回戦で敗退し、男子の最高は戸上隼輔選手の3回戦進出で、ここで中国の次世代エースの王楚欽(ワンチューチン)選手にストレートで敗退しました。

伊藤美誠選手は準々決勝で中国の王芸迪(ワンイーディ)選手に1-4で敗れてベスト8でした。

石川佳純選手も準々決勝で中国の陳夢(チェンムン)選手に0-4で敗れてベスト8でした。

しかしながら、

女子ダブルスで、伊藤美誠選手と早田ひな選手が銀メダル

混合ダブルスで、張本智和選手と早田ひな選手が銀メダル

男子ダブルスで、戸上隼輔選手と宇田幸矢選手が銅メダル

とダブルスで3つのメダルを獲得しました。

東京オリンピックの混合ダブルスで金メダルを獲った日本ですので、これらの結果は

「ダブルスに強い日本」

を印象付けた形になりました。

伊藤美誠選手の進化

オリンピックが終わってから4ヶ月ほどしか経っていないにも関わらず、伊藤美誠選手はまたしても進化を遂げていました。

私が気付いた点は、以下の3点です。

・サーブがまた新しくなっていたこと
・レシーブの構えが変わっていたこと
・台からの距離が少し離れていたこと

サーブに関しては、以前とは別の独特のモーションからしゃがみ込みサーブと同じ様なラケットワークをしていました。

レシーブする相手にとっては、何をしてくるのか読みづらい、とても嫌なサーブだと思われます。

レシーブの構えは以前は並行足で正対する形でしたが、今回はやや半身に構え腰を落とす様な形に変わっていました。

一見フォア偏重の構えに思えますが、実際は今まで通り両ハンドによるレシーブをします。

狙いは不明ですが、レシーブの体勢に入り易いことをより追求した結果、この形になったのだと思われます。

台からの距離に関しては、サーブを出す時と打ち合いのラリーになった時に、顕著に出ていたと思います。

サーブを出す時に、以前はもっと台にぴったりとついていました。

この狙いは少し台から距離を取り、スイングし易い様にしたのかも知れません。

フォアハンドは少し台から下がって、ドライブを使う様になりました。

プレーに粘り強さが出て、特にダブルスで良さが発揮されました。

伊藤美誠選手対策の進化

伊藤選手自身が進化しているのと同様に、伊藤対策も進化していました。

伊藤選手に強打を打たれるのは、ある程度仕方がないがそれを凌ぎラリーに持ち込んで勝機を見出す戦術です。

3回戦の芝田沙季選手や、準々決勝の王芸迪選手がこの戦術でした。

伊藤選手側としても相手がこの戦術を採ることは想定していて、だからこそフォア側をドライブを打てるようにしたのではないでしょうか。

伊藤選手のバック面の表ソフトによるミート打ち強打についても、対策が練られていたように思いました。

以前は伊藤選手にバックで強打されるとドライブ返球するのがやっとで、伊藤選手の連続攻撃を浴びていましたが、今回はそれを待ってカウンターを仕掛けていました。

女子ダブルス決勝の相手の王曼昱選手は、伊藤選手の強打に怯むことなく、カウンターを仕掛けていました。

伊藤選手側としては、今まで以上により厳しいコースに打たないと決まらなくなってきました。

先制攻撃が得意の伊藤選手ですが、わざと相手に打たせてカウンターを狙う戦術も採り入れる時期なのかも知れません。

相手が攻撃している時が、一番守備が手薄だからです。

かすみうペアの充実

石川佳純選手と平野美宇選手のダブルス、かすみうペアは、準々決勝で中国の王曼昱・孫穎莎ペアに敗れたとはいえ、互角の勝負をしました。

スコアは2-3でしたから、スコア上は優勝したペアを一番苦しめたペアでした。

さすがは東京オリンピックを通してずっと組んでいたペアです。

特に石川選手のレシーブに私は驚きました。以前は入れに行く感じのチキータが、完全に決めに行くチキータになっていました。

さらにはフォアハンドの逆モーションでのフリックレシーブを決めていました。それは、まるで水谷選手の様でした。

密かに水谷選手に教わっていたのではないかと思うくらい似ていました。(笑)

動画に上げられていると思いますので、是非、探してみてください。(^^)

もう一つは、お互いのコンビネーションがとても良かったことです。

2人とも前陣でコースを突くことが出来て、さらにカウンターが打てることが強みです。

石川選手はさらに中陣でのラリーにも強い。

上手くハマった時は、片方がチャンスを作りもう片方がカウンターを決めるパターンがしっかりと出来ていました。

それがお互いに出来るところが凄いです。

シングルスでカウンターを何本も決めるのは見たことがあるのですが、ダブルスではそうそうには無いシーンです。

かすみうペアは、それをやったのです。

恐るべし、中国次世代エース

たまたま彼の試合を2つ観たからかも知れませんが、王楚欽(ワンチューチン)選手が強烈に印象に残りました。彼は強い!

男子シングルスで唯一勝ち残っていた、日本のホープの戸上隼輔選手を、完全に打ち負かしていました。

とても悔しいのですが、戸上選手よりも彼の方が数段強く見えました。

あの強い戸上選手が全く歯が立たないとは!

そして混合ダブルスの決勝の第一ゲームの最初のレシーブで見せたチキータ。

クロスにノータッチで抜けましたが、あの一球で試合の流れを引き寄せました。

それほど日本の張本・早田ペアに与えたダメージは大きかったです。

王楚欽選手は、きっと近い将来に世界のトップに立つような気がします。

日本にとってはまた一つ大きな壁が立ちはだかりました。うーむ。

・・・・・

冒頭で書きました通り、私が観ていない好試合もまだまだあったと思います。

ですが、今回はここまでとさせて頂きます。

 

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この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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