The Road to Paris

OBUコーチ

パリオリンピックに向けた日本代表選考大会が開かれました。

パリ五輪日本代表選考会TOP32という大会です。

3月5日、6日の2日間、アリーナ立川立飛で熱戦が繰り広げられました。

東京オリンピックがついこの間終わったと思ったら、もうパリに向けてスタートです。

私はネット配信で、この大会の試合を沢山観ていました。

今号では、この大会について感じたことをお話します。

まずは大会結果から

大会の結果は、以下の通りです。

男子
優勝  張本智和(木下グループ)
準優勝 及川瑞基(木下グループ)
3位   横谷 晟(愛知工業大学)
4位   丹羽孝希(スヴェンソン)
5位   有延大夢(琉球アスティーダ)
6位   篠塚大登(愛工大名電高校)
7位   曽根 翔(愛知工業大学)
8位   上田 仁(T.T彩たま)

女子
優勝  早田ひな(日本生命)
準優勝 長﨑美柚(日本生命)
3位   木原美悠(JOCエリートアカデミー)
4位   佐藤 瞳(ミキハウス)
5位   伊藤美誠(スターツ)
6位   石川佳純(全農)
7位   橋本帆乃香(ミキハウス)
8位   平野美宇(日本生命)

ベスト4に入った選手と、前回の全日本選手権優勝者が、世界選手権2022の日本代表となります。(おめでとうございます!)

大きく変わった選考基準

パリ五輪より、代表を決める選考基準が大きく変わりました。

このTOP32から2024年1月の全日本選手権まで、各主要大会にポイントが付与されています。

その合計ポイントで代表が決まるのです。

世界ランキングは関係なくなりました。

東京五輪の選考も熾烈な争いでしたが、パリ五輪も非常に厳しい戦いになります。

何故ならパリ五輪を目指す選手は、2年弱続くサバイバルレースに、コンスタントに勝ち続けなくてはならないからです。

一発勝負ではなく、コツコツと勝利を積み重ねた選手が最終的に代表の座を掴み取ることでしょう。

途中で怪我がなどのアクシデントが無いとも限りません。

苦手なタイプと緒戦で対戦するケースもあることでしょう。

そういった運も含めて、真に実力がないと日本代表になることが出来ません。

一方で、世界ランキングで下位に甘んじていて代表には遠かった選手が、巻き返しを図るチャンスが開けてきました。

女子では東京五輪代表3選手が、いずれもベスト4入りを逃したところから、下克上の可能性が大いにあり得ます。

Tリーグの充実で日本選手のレベルが上がりましたし、コロナの影響で海外での試合が開催しづらくなっている状況もあります。

日本選手同士で切磋琢磨することで、世界に通用する選手を送り出すことも十分可能である。

日本卓球協会はそう判断したのでしょう。

熱戦に次ぐ熱戦

試合は、熱戦に次ぐ熱戦でした。

全ての試合を観たわけではありません。

しかし、どの試合もハイレベルで熱い試合が多かった様に思います。

私が印象に残った試合は、

・伊藤美誠 VS 張本美和
・早田ひな VS 石川佳純
・早田ひな VS 木原美悠
・早田ひな VS 長﨑美柚
・木原美悠 VS 佐藤 瞳
・石川佳純 VS 平野美宇
・張本智和 VS 及川瑞基
・横谷 晟 VS 丹羽孝希

です(結構ありますねー、笑)。※左側が勝者です。

たまたまライブ配信で流れていたものを片っ端から観た結果、こうなった訳ですが、どれも見応えのある内容でした。

・伊藤美誠 VS 張本美和

は、全てのゲームで張本選手が序盤リードし伊藤選手が追いかける展開でした。

4-1で伊藤選手が勝つのですが、張本選手のチキータやバックハンドが冴え、伊藤危うしの印象を私は持ちました。

伊藤選手は次の試合で、長崎選手に2-4で敗れてしまいました。

・早田ひな VS 石川佳純

は、勝った方がベスト4でどちらの選手にとっても、負けられない一戦でした。

試合はフルゲームにもつれ込む大熱戦。

豪打の早田と要所を締める石川、という展開でどちらが勝ってもおかしくない内容でした。

高速ラリーのなかにも、攻めては守り、守っては攻めという攻守の切り替えがあり、とても見応えがありました。

早田選手のフォアクロスのドライブをカウンタースマッシュする「カスミパンチ」が1本入ったのですが。

惜しかったなぁ、石川選手!

・早田ひな VS 木原美悠

は、目指す頂きは同じでも登るルートが全く違う両者の対戦でした。(戦型が全く違うという意味です)

世界に通用する近道は、木原選手の様な変化+速攻だと私は思っているのですが、この試合では早田選手が上回りました。

・早田ひな VS 長﨑美柚

は、決勝戦です。

長崎選手がゲームカウント3-0でリードした時はこのまま優勝すると思いました。

ここから逆転する早田選手は見事です。

長崎選手の戦い方は間違ってはいなかったはずです。一体どこがいけなかったのか。

私はそう考えてしまうのです。

4,5,6ゲームにおけるサーブの配球か。

あるいはチキータレシーブでもっと早田選手のフォアを突けば良かったか。

・木原美悠 VS 佐藤 瞳

は、3位決定戦です。

激戦の後は体力的にも精神的にも疲れるものですが、この二人はどう戦うのかを興味を持って観ました。

日本女子でNo.1カットマンの佐藤選手の前に中盤から木原選手が崩れていくのではないかと予想しましたが見事に予想が外れました。

木原選手は多少疲れた様子は見せたものの最後まで軸が崩れませんでした。回転の変化コース取り、緩急が上手かったです。

・石川佳純 VS 平野美宇

は、5位-6位決定戦でした。

平野選手が3ゲーム連取した時は、このまま平野選手が勝つと思いました。

石川選手の粘りが見事でした。

右足首を捻った様ですが、最後まで頑張り、勝ち切りました。

・張本智和 VS 及川瑞基

は、男子の決勝戦。

これはもう「張本選手、覚醒!」でした。

久しぶりに強い張本選手を観ました。

同じチームで、しかも選球眼の良い及川選手が、張本選手のサーブに対してレシーブミスを連発していました。

一流選手はこんなことが出来るのかと思いますが、相手にそれと分からない様にいつもより回転を増やした様です。

優勝インタビューは感動しました。

本人も語っていましたが、ここ数年間で一番の試合内容ではなかったでしょうか。

スランプが続いて非常に苦しかったのだと思われます。良い時も悪い時も応援してくれる人が居た、と涙ながらに話しました。

早田選手も同じことを話していました。

支えてくれた誰かに感謝する気持ち、誰かにして頂いた恩に報いる気持ちは、どんなに強くなろうと忘れずにいたいです。

・横谷 晟 VS 丹羽孝希

も、3位決定戦です。

私は横谷選手のプレーを初めて観ました。

日本にもこんな選手がいるのかと、軽い衝撃を受けました。

ドライブの回転量が多いのでしょうか。

中国の梁靖崑選手やドイツのオフチャロフ選手を彷彿させる重たいドライブなのです。

それでいて、丹羽選手の猛烈に切れたカットブロックを台の横から返球してしまう柔らかいボールタッチも持ち合わせているのです。

横谷選手は今回のベスト4入りで、世界選手権日本代表選手に選ばれましたが、今後も常連になるような可能性を私は予感しました。

・・・・・

いかがでしたでしょうか?

試合を観た人は「あ、あのシーンだ」と思い当たるかも知れません。

まだ観ていない方は、是非ネットで試合を観戦してください。

全日本選手権と同じくらい面白いです。

男子も女子も今度の世界選手権団体戦が非常に楽しみになって来ました。

どんなチーム、どんな選手起用になるのでしょうか。

今からワクワクしますね。(^^)

 

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この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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