祝男子団体銅メダル

OBUコーチ

東京オリンピック卓球競技で、男子団体が銅メダルを獲得しました。

選手の皆さん、スタッフの皆さん、本当におめでとうございます。

そして、お疲れ様でした。

今までの団体戦では、女子の試合から感動を頂くことが多かったです。

しかし、今回のオリンピックでは、私は男子の試合に非常に感動しました。

逆境を乗り越えて、掴んだメダルです。

皆さんと感動をシェアしたいと思います。

3選手、みんながヒーロー

ご存知の通り、今回の代表選手は、

  • 水谷隼選手
  • 丹羽孝希選手
  • 張本智和選手

の3名でした。

オリンピックが始まる前までは、私はエース張本選手を中心に戦い、丹羽選手・水谷選手がそれを支える展開だと予想していました。

でも、オリンピックが始まって1試合1試合観戦するごとに、それは間違いだったと気付きました。

3選手みんながエースで、みんなが他の選手を支えていました。

その点に、私は今までにはない、感動を頂いたのです。

最初のヒーロー、丹羽選手

準々決勝の対スウェーデン戦。

この試合でのヒーローは、丹羽選手でした。

シングルスで敗戦を喫し、今一つ調子の上がらない張本選手を気遣って、倉嶋監督はオーダーを組み替えました。

おそらく、悩みに悩んだ結果の決断だったと思います。

倉嶋監督がよく思い切った、そして3選手がよく応えたと思います。

1番のダブルスに、張本・丹羽ペアを持って来ました。

水谷選手がエース起用で、シングルス2本です。

このペアでの練習は、殆どしていなかったそうです。

そんな状態でよく勝ったと思いますが、二人の実力を考えれば当然の結果だったのかも知れません。

2番のエース対決では、2019世界選手権で準優勝の実績のあるファルク選手に日本の水谷選手が負けてしまいました。

ファルク選手は、フォア面に表ソフトを貼っている珍しい選手。

対戦相手は、このフォアハンドに苦しめられます。

水谷選手は何か攻略法を掴んでいた様に見えましたが、押し切られてしまいました。

3番の張本選手は、順当に勝ちました。

この試合の辺りから、ようやく張本選手が自信を取り戻し、本来の「攻めの卓球」が見られました。

圧巻だったのは、4番の丹羽選手でした。

水谷選手でさえ敵わなかったファルク選手を、ストレートで倒してしまったのです。

ファルク選手のフォアハンドを、台から下がらずに逆にカウンターで応戦し、ファルク選手を崩しました。

最後は、ファルク選手が戦意喪失するくらい、切れ味鋭い丹羽選手の攻撃でした。

難敵スウェーデンに勝てたのは、この1勝が大きかったのだと私は思います。

二人目のヒーロー、張本選手

準決勝のドイツ戦を迎えて、張本選手は「やってやるぞ」と胸に期するものがあったに違いありません。

今までの戦いぶりを一番不甲斐ないと思っていたのは、他でもない張本選手本人だろうと思うからです。

1番のダブルスでは、水谷・丹羽ペアがボル・フランチスカのペアにフルゲームまで食い下がりましたが、負けてしまいます。

そして迎えた、2番のエース対決。

相手はドイツのエース、オフチャロフ。

今大会でシングルス3位です。

絶好調のオフチャロフに対して、張本選手はこれ以上ない気迫で挑んで打ち勝ちました。

今回のオリンピックで日本選手の好試合が沢山ありましたが、その中でも1、2を争う良い試合だったと私は思います。

3番の水谷選手対ボル選手は、レジェンド対決で見所充分でした。

水谷選手はボル選手に負け越していますが、勝った時の試合と似た展開が続きました。

台から下がらず、速攻で勝負していました。

しかし、ボル選手はそれさえも対応して、水谷選手に無理をさせるような展開に持ち込み、勝ち切りました。

ボル選手の、冷静でクレバーさが印象に残りました。

これで後が無くなった日本、4番で再び張本選手の登場です。

この試合の出足で、フランチスカ選手の思い切りの良い攻撃の前に、張本選手は2ゲーム先取されてしまいます。

ここからフォア前を中心に攻めを展開し、3ゲーム連取の逆転勝ちをします。

2番でオフチャロフ選手との死闘を演じた後だったので、気持ちの切り替えが難しかったと思います。

しかし、私はこの4番の勝利こそが、張本選手・日本にとって、大きい1勝だったと思うのです。

エースには、2つの事が期待されます。

  • 相手のエースを倒すこと
  • 苦しい試合でも簡単に負けないこと

です。

5番で丹羽選手がオフチャロフ選手に敗れ、2-3で日本は準決勝で敗退しました。

が、世界2位のドイツ相手に一人で2勝を挙げた張本選手は、この試合で真の日本のエースになったと言っても過言ではないでしょう。

この試合のヒーローは、間違いなく爆発力を発揮した張本選手でした。

最後のヒーロー、水谷選手

3位決定戦の対韓国戦。

この試合でのヒーローは、水谷選手でした。

1番のダブルス。

丹羽選手とのダブルスは、左利き同士で難しいコンビネーションでしたが、見事に勝利しました。

台上で先手を取り、相手のフォアを攻める戦術が光っていました。

相手のチョン・ヨンシク/イ・サンスのペアはラリー戦に強く、大きい展開になると日本ペアの方が不利でした。

水谷選手が、丹羽選手に何かを話している様子が見られました。

戦術や作戦についての確認・アドバイスだと思われます。

2番で張本選手が韓国のエース、チャン・ウジン選手に勝ち、3番で丹羽選手がチョン・ヨンシク選手に負けました。

そして、4番で再び水谷選手の出番です。

相手はチャン・ウジン選手で、今までの対戦成績では分が悪い相手でした。

こういうところで出番が回って来る水谷選手は、やはり「持っています」ね。(^^)

水谷選手の良いところが随所に発揮され、水谷選手がストレートで勝ちました。

  • 自分から打って決める得点
  • 相手に打たせてカウンターで決める得点

のバランスがとても良かったです。

張本選手の真っ向勝負の勝ち方とは、また一味違う種類の勝ち方でした。

オリンピック全体を通じて、水谷選手に言えることがあります。

それは、団体戦でベンチにいる時は選手を応援し、ダブルスの時はパートナーを鼓舞し、ここぞという時は自分が頑張る背中を見せるという姿勢です。

スウェーデン戦では、ファルク選手の攻略法を次の丹羽選手に伝えていたと言います。

張本選手の試合中は、張本選手が乗って行けるように、得点毎に丹羽選手と共に「チョレイ」と叫んでいたと聞きます。

丹羽選手とのダブルスでは、「強気で行け」と声掛けしていた(丹羽選手談)そうです。

混合ダブルスのドイツ戦のピンチの場面でも、伊藤選手に「大丈夫、大丈夫!」と言っていたそうです。

最初の競技の混合ダブルスで金メダルを獲り、最後の団体戦で銅メダルを確定させる・

まさに、水谷選手で始まり水谷選手で終わった東京オリンピックでしたね。(#^o^#)

忘れてはいけないヒーロー

3人のヒーローがそれぞれの場面で頑張ったからこそ、銅メダルを獲れました。

しかし、もう一人忘れてはいけないヒーローがいます。

それは、倉嶋監督です。

選手一人一人の個性をよく理解し、選手としての彼らをよく信頼し、ベストの選択をしてきました。

選手起用について、ダブルスなどは相当悩んだと思います。

最後の銅メダルを決めた直後に、

  • 4人で抱き合っている姿
  • ガッツポーズで写真に納まっている姿

は、とても感動しました。

あまり報道はされないし本人もそれを望まないでしょうが、きっと「男泣き」していたと思います。

リオに続き連続でメダルを獲ったのは、倉嶋監督の力があってこそですし、その手腕は高く評価されても良いのではないでしょうか。

残念ながら、東京オリンピックを最後に倉嶋監督は退任されるそうです。

後任は、田勢コーチです。

ダブルスのベンチコーチに入られているので、その姿を観ている人は多いと思います。

現役時代はダブルスの名手で、この方も「人を活かす」ことが得意です。

倉嶋監督の精神を引き継ぎ、きっと日本を良い方向に導いてくれることでしょう。

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この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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