【OBUコーチ】感動の全日本選手権
2021年1月11日~17日まで、大阪で全日本卓球選手権が開催されました。
シングルスのみですが、このコロナ禍でよくぞ試合を開催したと思います。
関係者の皆様のご努力に感謝致します。
私は、インターネットのライブ配信や、テレビ放映をじっくり観ていました。
昨年「楽しみな全日本選手権」という記事を書きました。
記事に書いた通り、色々なドラマがありとても感動しました。
張本選手と伊藤選手が優勝するという予測は見事に外れましたが。(笑)
最も感動した試合
それは、女子シングルスの決勝戦です。
結果はご存知の通り、石川佳純選手が伊藤美誠選手を4-3で破りました。
5年ぶり5回目の優勝です。
石川選手が17歳で初優勝した時から、10年の歳月が経ちました。
4回目の優勝の後は、当時10代の伊藤選手の世代の選手が台頭し、石川選手は勢いに押される形で優勝から遠ざかっていました。
石川選手はもう優勝は無理ではないか。
多くの人がそう思っていたのではないでしょうか。
それでも彼女は自分の可能性を信じ、技を磨き、コツコツ頑張っていたのです。
その努力が実を結んだのです。
試合後の彼女の涙が語る様に、苦労が多かった分、今までの優勝の中で一番嬉しかったのだろうと思います。
なんと幸せな選手でしょうか。
石川選手には、もっと幸せな瞬間を味わってもらいたいと私は思いました。
中国には、石川選手よりももっと強い選手が沢山います。
今までもそうだったように、今後もそういう選手に対して彼女は挑んでいかなくてはなりません。
厳しい戦いはこれからも続くと思いますが、今回の決勝戦のような最後まであきらめず勇気を振り絞る試合をして欲しいです。
控えめな及川選手の優勝
誰がこの選手の優勝を予測したでしょうか。
ドイツのリーグでプロ選手として腕を磨き、Tリーグでも活躍しているのは存じ上げていました。
しかし、まさか及川選手が優勝するとは、私は正直思っていませんでした。(及川選手ファンの方、ごめんなさい)
彼が張本選手に準々決勝で勝った時も、張本選手の方が万全でなかったのだろうと思っていました。
腰を痛めていたと聞いていましたし、前日の御内健太郎選手と大激戦の後には疲労困憊の様子でしたから。
因みに、御内選手はカットマンです。
ナニワのチョッパーの異名をとります。
初戦から御内選手の試合を観ていましたが、カットが冴え渡り素晴らしいプレーの連続で、際どい試合をくぐり抜けて来ました。
先に3ゲームを獲ったのは御内選手の方で、張本選手が負けていてもおかしくない内容でした。
逆に張本選手がよく勝ちました。
及川選手の話に戻ります。
ベスト4の選手が出揃った時も、他の3選手の方が優勝の可能性が高いと私は思ってしまいました。(私の目が節穴でした。笑)
身長160㎝という比較的小柄な、及川選手の強さはどこにあるのでしょうか。
それは、
- 相手のプレーに応じて戦い方を修正出来る知力
- 試合が続いても動き切ることが出来る体力
- どんな時にも負けない精神力
ではないでしょうか。
決勝は森薗選手。
青森山田高校の、2つ上の先輩にあたります。
インターハイ決勝の再現で、その時は森薗選手が勝ちました。
圧巻だったのが第6ゲーム。
10-9で森薗選手がリード。
後1本取れば、森薗選手が優勝する、次のラリーでした。
強気で攻めてくる森薗選手の攻撃を、及川選手はそれまでより前陣でプレーし、それ以上の気力で跳ね返したのです。
その後の横入れレシーブも決まって、ゲームカウント3-3のタイになりました。
最終ゲームで、及川選手は、巻き込みサービスを有効に使いました。(この辺りも及川選手の知力を感じます)
これが森薗選手のチキータを狂わせ、及川選手が押し切りました。
初優勝が決まった瞬間、雄叫びを上げるでもなく、派手なガッツポーズをするでもなく、床に寝転ぶでもなく、静かに天を仰いだだけでした。
なんて控え目な新チャンピオンなんだろう!
私は思わず及川選手のファンになりました。
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)