求道の心

メンタル

一流の人の話を聴くのが、私は好きです。

先日、ある空手家の講話を聴く機会に恵まれました。

私はその話にとても感動しました。

卓球には直接関係ありませんが、せっかくの良い話ですので、今号ではその一部をご紹介します。

空手家、Sさん

その人を仮にSさんと呼ぶことにします。

Sさんは極真空手の有段者で、現在は静岡のある場所で道場を任され、小学生の子供たちを指導しています。

Sさんの話は、空手を始めた頃のことから、20代の頃の試合の話、30代の昇段試験の話、そして40代の現在に至るまででした。

門外漢の私でも、極真空手と言えば、空手の中でとても厳しくハードな部類に属するのを知っています。

私が子供の頃「空手バカ一代」というアニメが放映されていて私も観ました。

極真空手の創始者は大山倍達先生。

Sさんも強いものに憧れて、空手の道に足を踏み入れたそうです。

向かうところ敵なし、しかし・・・

Sさんはめきめきと力をつけ、20代の頃にはかなりの実力者になっていました。

27歳の時、「静岡県でSに敵うものはいないだろう」と言われるほどになっていました。

その時に出場した静岡県大会では、優勝候補筆頭に挙げられていました。

自信満々で大会に臨んだSさん。

ところが準々決勝で、思わぬ伏兵に敗れてしまうのです。

Sさんの渾身のパンチは、何度も対戦相手に入ったはずでした。

ところが、対戦相手は顔色一つ変えないのです。

「おかしい、俺のパンチが効かないなんて」

「踏み込みが浅かったか」

Sさんの中に迷いと焦りが次第に生じ始めたそうです。

結局、状況を打開できず、Sさんは試合に敗れてしまいました。

試合後、控室にいる対戦相手に挨拶に行ったのですが、その人は腰を下ろしたままの状態だったそうです。

後で分かったのですが、その人は肋骨が折れていて、座ったまま立てなかったそうです。

そんな満身創痍の状況だったにも関わらず、Sさんとの死闘を続けていたのでした。

3段の昇格試験に臨む

「極真空手の昇段は、自分から受けたいと言っても受けさせてもらえず、先生が頃合いを判断して受けさせるのです」と、Sさんはそう話します。

Sさんは30代の時に、ついに3段への昇段試験を受けることになりました。

待ち受けているのは、超難関の「30人組手」でした。

これは、実力がほぼ同じ相手と30人連続で戦うという、とんでもない内容なのです。

もちろん、手加減は一切許されません。

実力が同じであれば、たとえ1人が相手でも体力の消耗は半端ないのです。

それを30人連続で対戦するのですから、鬼の体力と共に、弱い己に打ち勝つ強靭な精神力が求められます。

Sさんにとっては未知の領域です。

「果たして自分に出来るのであろうか」

「体力には自信があるが、自分の体はどうなってしまうのだろうか」

「3段の昇格試験など、自分には時期尚早だったのではないか」

さすがのSさんも、怖くなったそうです。

迷ったSさんは、木村拓哉主演の映画「武士の一分」を観たり、知覧特攻隊の本を読んだりしました。

なるほど覚悟を決めるとはこういうことか。今までの自分は何と甘い考えであったか。

Sさんは深く反省しました。

ふと27歳の時の敗戦が思い出されました。

技術面を言えば、彼と自分は同じ位だった。いや自分の方が上だったかも知れない。

しかし試合に臨む覚悟に関しては、自分よりも彼の方が数段上だったのだ。

そうでなければ、骨折しているにも関わらず顔色一つ変えず立ち向かってくることなど、到底出来なかったはずだ。

こうして覚悟を決めて「30人組手」に臨んだSさんは、見事最後まで戦い抜いたのです。

その時の様子を撮影した動画を拝見しましたが、フラフラになりながらも戦い抜くSさんの姿に涙が出るほど感動致しました。

子供たちが教えてくれる

「礼儀正しく、元気よく」

これは40代になったSさんが、自身の道場で掲げている理念です。

子供たちは道場内でも元気いっぱいですが、礼儀から外れた行いにはS先生から厳しく叱られます。

「空手を学ぶ楽しさと厳しさを子供たちに教えたい」とSさんは言います。

「過去の自分を振り返ると、自分の中の空手をどこか競技として捉えていたと思います。しかし、子供たちに空手を教えることで、初めて「武道」になった気がします。子供たちに空手を伝えることで、子供たちからそのことを伝えられたのです」

現在のSさんは、極真空手四段です。指導者としても歩み始めたSさん。

Sさんの空手の道を極める修行の旅は、これからもまだまだ続く様です。(^^)

「一流の人は一流の心を持つ。一流の心でもって、自ら一流にのし上がるのである」

私の大好きなこの言葉をSさんは地で行っているのだと思いました。

 

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この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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