【OBUコーチ】初心者でも打てるようになるカット打ちのやり方

OBUコーチ カット


カットマンのカットを打つことを、カット打ちと言います。

カットマンは、攻撃型をミスさせようとして、色々な変化球を打ってきます。

試合中にカットマンの変化にハマると、ワケが分からなくなり本当に嫌なものです。

カット打ちの初心者が、カットマンの変化球に翻弄されずに、どうすればカット打ちが出来るようになるか。

今号はそこを掘り下げたいと思います。

基本のカット打ち

カット打ちをマスターするには、とにかくカットマンのボールを打つしかありません。

理屈無く実践する事です。

通常の切れ具合のカットを、カットマンに何本も送ってもらって、それをひたすら打ち続けます。

通常の切れ具合というのは、ブチ切れでもなく、ナックルでもなく、少し切れたカットという意味です。

打球点は、ボールの頂点をやや過ぎた辺りを狙います。

レベルが上がってくると、ボールの頂点や、頂点前を捉えるカット打ちが出来るようになる必要があります。

そのためにも、まずは基本のカット打ちを覚えるべきです。

基本のカット打ちについて、以下に述べます。

ボールの断面を時計の文字盤に見立てると、4時あたりを狙います。(3時がちょうど垂直になります)

下回転のカットのボールを、一度ラケットに乗せてからドライブをかけるイメージです。

  • スイング方向は下から上になります。
  • 当たる瞬間に力を入れ、擦り上げます。
  • カットの軌道を読み、溜めを作ります。

自分の打点に、カットを呼び込む感じです。

最初は腕だけ、上体だけの打球でも構わないと思います。

一球一球細かく正確に足を動かし、一定の打球点でカットを打つことが大切です。

まずは、ここまでで基本のカット打ちをマスターしていきます。

ナックルカットに対するカット打ち

次にナックルカットを送ってもらって、同様にカット打ちの練習をします。

先のカット打ちと同じ打ち方でナックルカットを打つと、まず間違いなくオーバーミスします。

その直後に通常の回転のカットを打つと、半分くらいの確率で今度はネットミスします。

オーバーミスすると「力を入れ過ぎたからミスをした。今度は軽くスイングしよう」と力の入れ具合を調整しようとします。

普通の人は、これを無意識に行います。

ですからスイングが弱くなり、カットの回転に負けてネットミスをするのです。

最初にミスの事を書いたのは、これがカットマンが一番狙っていることだからです。

カットマンは、巧妙にあなたがミスするのを誘ってきます。

これは、「回転の変化」というカットマンの手口です。

気を付けましょう。

ナックルカットに対するカット打ちのコツは、基本のカット打ちとほぼ同じです。

違う点は、当たる瞬間に力を入れず、擦り上げ過ぎないことです。

この技術も繰り返し練習して、自分の感覚を磨くしか方法はありません。

基本のカット打ちをマスターすれば、ナックルカットのカット打ちを覚えるのはそんなに難しくありません。

むしろ、通常の切れたカットとナックルを混ぜられた時に対応できるかどうかが難しい技術です。

ですので、

  1. 通常の切れたカットを何本か送ってもらう
  2. その中にナックルを混ぜてもらう
  3. また通常の切れたカットに戻る

を、繰り返し送ってもらう練習をすべきです。

この練習は体力と神経を両方使う練習で、かなり消耗しますが集中して行いましょう。

一球一球細かく足を動かして、ストライクにしてボールを打つようにします。

切れたカットなのかナックルなのか、回転を見極める練習にもなります。

すごく大切な技術ですので、じっくり時間をかけて練習してみて下さい。

10往復以上のラリーが頻繁に出来るようになれば、まずまずマスターしたと言っても良いでしょう。

カット打ちに威力をつける

1つ目は、「伸びるドライブ」です。

基本のカット打ちは、カットの回転の変化に負けない技術です。

それだけだと消極的ですので、勝ちに行く技術をプラスしていきます。

それが「伸びるドライブ」です。

これで、カットマンのカットをブチ抜きます。

基本のカット打ちが出来るようになったら、徐々に

  • 腰の回転
  • 膝の曲げ伸ばし
  • 腕のスイング
  • 手首のスナップ

の4点を、打球点に一致させていきます。

特に、右脚の蹴りが重要になってきます。

前述の溜を作った時に、右ひざを曲げて、身体を沈みこませます。

この蹴りが、ボールの威力に関連します。

体重移動も、後ろから前になります。

ボールの断面を時計の文字盤に見立てると、1時から2時くらいを捉えます。

ラケット角度を被せた状態になります。

カットの回転に負けないように、力を入れて強くスイングします。

押しを意識して相手コートに深く入れる様にすると、さらに良いです。

ナックルカットに対しては、さらにラケット角度を被せます。

時計の文字盤の1時を捉えます。

ナックルカットのボールは軽いので、上手く捉えればスピードドライブを打つチャンスであるとも言えます。

カット打ちのコツは、スイングに力を入れ過ぎないことです。

全力スイングを10とすれば、7~8くらいを心掛けます。

ただナックルカットをスピードドライブで打つ時は、9くらいの出力でも良いです。

2つ目は「ループドライブ」です。

身体の使い方は伸びるドライブの時とほぼ同じになりますが、スイング方向が違ってきます。

時計の文字盤の3時を捉え、下から上へスイングします。

右脚の蹴りも、前へではなく上へ蹴ります。

身体全体は伸び上がる感じです。

押しは意識せず、むしろ相手コートに浅く入れるように心掛けましょう。

ループドライブは、伸びるドライブと混ぜて使うとより効果的です。

伸びるドライブを警戒して、後ろに下がったカットマンの前に落ちるようにします。

カットマンを、前後に揺さぶるワケです。

カットが浮いてくる確率が高いので、スマッシュを打てる体勢で待ちます。

対カットのスマッシュ

カットに対してスマッシュが打てるようになると、より攻撃的になります。

切れないカットをスマッシュするのは、大変難しい技術ですのでお勧めしません。

むしろ、

  • 少し切れている、
  • ネットより10㎝ほど浮いている
  • やや浅く入った

カットが、スマッシュチャンスです。

通常のスマッシュと違うのはスイング方向で、斜め下から斜め上方向にスイングします。

時計盤の3時半から9時半をめがけて打ちます。

回転に負けないように、ミートを強くします。

スマッシュの他にも「ナックルドライブ」「曲がるドライブ」など、カット打ちにはまだ他にもバリエーションがあります。

カット攻略

今まで、カット打ちに関する技術的なことを述べてきました。

実際の試合ではこれらを駆使して、カットマンをやっつけなくてはなりません。

それが「カット攻略」です。

例えば、打つコース。

距離が長いのでクロスに打ちがちですが、距離の短いストレートやミドルにも打てる様になりたいところです。

卓球の試合で勝つコツは、「自分の得意技を相手の苦手にぶつける」ことです。

基本のカット打ちから始まり、自分の出来ることを拡げて技の選択肢を増やし、さらにその中から自分の得意技を磨きましょう。

では、カットマンの苦手(泣き所)はどこか。

一般的に、それはミドルです。(ミドルとは身体の中心部のことです)

  • フォアミドル
  • バックミドル

の2種類がありますが、いずれにしてもカットマンは身体を開いて空間を作らざるを得ません。

すると、フォアサイドかバックサイドにオープニングが出来ますので、次にこのサイドを突くわけです。

カットマンは苦しいミドル処理をした後に、今度は広く開いたサイドを攻撃されるので大きく動かねばなりません。

ですので、「ショートサービス+ミドルへ速攻+オープニングへ強打」という戦術が有効となります。

※ラリー中はショートサービスの箇所にストップが入ります。

カット対カット打ちのラリーになった時も、様々な種類のボールを送る事でカットマンを苦しめることが出来ます。

例えば、前述の、伸びるドライブの後にカットマンの前に落ちるループドライブを混ぜると、カットマンは大変苦しいです。

ループドライブの替わりに通常のカット打ち(軽打)でも、強弱には変わりないので、カットマンにとっては「変化」になります。

変化はカットマンの専売特許ではなく、カット攻略をする攻撃型にも使えるのです。

回転の変化を見極める

カット攻略を支えるポイントとして、「回転の変化を見極める」があります。

相手のカットが切れているのか、それともナックルなのか。

切れているのなら、どれくらいか。

それらを判断して分類します。

カットマン毎に、球種は3~4種類くらいです。

あまり細かく分類し過ぎない方が良いです。

後は、それぞれの球種に対して、「このボールはこう打つ」という対処法をしっかりと定めます。

カットの回転は、

  • カットマンのカットのフォーム
  • ボールの飛び方
  • ボールの回転

の順で見極めます。

カットのフォームで予想し、ボールの飛び方でそれを確認し、コートにバウンドする前のボールの回転で最後に確かめます。

後は力加減を間違わなければ、ミスなくカットが打てるはずです。

異質面の特徴を知る

異質ラバーの代表の粒高ラバーに絞って、話をしたいと思います。

粒高ラバーの回転は、攻撃型の回転の裏返しです。

つまり、こちらが回転を掛ければ掛けるほどカットが切れて返ってきます。

この特徴をよく理解しておくことです。

粒高ラバーの欠点は、自分から回転の変化を付けることが出来ない、ということです。

ドライブをナックルカットで返球出来ません。

またこちらがナックルを送っても、切ったカットで返球されることもありません。

こちらの回転次第なので、相手のカットの回転をコントロール出来ます。

つまり打つ前から、相手のカットの球質がある程度予測できるということです。

知ってしまえば、もう怖いものなし、です。

相手のカットの特徴を掴む

実は、カットマンをよくよく観察すると、粒高ラバーの攻略と同じことが言えます。

「人」というフィルターを介するので、粒高ラバーほど正直ではない(笑)ですが、打つ前からある程度の予測は出来ます。

カットマンがカットの練習をする時に、このボールにはこう返す、というクセが沁みついています。

それを逆に利用してやるのです。

長年カットマンをやっていて思うのですが、生真面目に練習を積み重ねている選手ほど、そういう規則性が身に付いている様です。

ですから、このカットマンに対してはこういうボールを送るとこう返球されるという、方程式の様なものが成り立つのです。

簡単に言うと、「相手カットのクセを見抜く」ということです。

クセが分かってしまえば、粒高ラバー同様、もう怖いものはありません。

冷静に対処するだけです。(^^)v

この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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