【OBUコーチ】カットマンがフォアカットをする時に上手くいかないポイント

OBUコーチ カット フォア 練習メニュー

中学生の初心者カットマンを指導した時、フォアカットとバックカットを同時に教えるのですが、最初はフォアが上手く行きます。

しかし、数ヶ月から1年・2年と経つうちに、今度はバックカットはそれなりに上手いのにフォアが上手く行かなくなります。

そういう傾向があるようです。

カットがどうも安定しないのです。

これは、フォアカットの特性がそうさせているもので、ある意味誰でも陥る状態なのです。

今回は、フォアカットにフォーカスし、上手く行かないポイントと主に初心者向けの指導方法について述べます。

卓球経験者の方も上手く行かない時は、ここに立ち返るのが良いと思います。

フォアカットの特性

  • フォアカットは身体の利き手側でするので、ラケットを振れる空間が広いです。その分、自由度があります。
  • バックカットは身体が邪魔をして、ラケットを振れる空間は狭いです。フォアに比べて自由度は少ないです。

フォアカットの特性とは、この自由度です。

自由度があるから、かえって難しいのです。

カットには、最適な打球点があります。(カットに限らず卓球の打法には全て最適な打球点があります)

カットをマスターするには、まずは一定のボールを送ってもらい、この最適な打球点でスイングすることを覚えなくてはなりません。

ところが自由度がある分、最適な打球点とずれてしまっても、なんとかカットが出来てしまうのです。

カットが入っているものだから、なかなか自分では気が付きにくく、そのままにしてしまうケースが多いのです。

そのうちに、自分のカットの最適な打球点が曖昧になってしまい、カットが安定しなくなります。

オーバーミスやネットミスが頻発したり、たとえカットが入ったとしても、浅くなったり高くなったりしてしまうのです。

これは、カットマンがフォアカットをマスターしていく過程で誰もが通る道です。

フォアカットが上手く行かないポイント

カットは、フォア・バックに限らず、「最適な打球点で最適なスイングをする」ことが重要です。

フォアカットが上手く行かないポイントとは、フォアカットに自由度があるが故に、この一番大事なことが曖昧になることです。

  • フォアカットが安定して入らない
  • フォアカットが切れない
  • フォアカットに自信が持てない

これらの問題は、全てここに起因します。

ですから、これらの問題にぶち当たったら、この基本に戻ることです。

自分のカットの最適打球点を覚える

最適打球点とは、ボールの軌跡上のある一点を指すだけではありません。

その一点に対しての身体の体勢が大事です。

  • 右足の位置、左足の位置、スタンスの広さ
  • 両ひざの曲げ具合
  • 腰の捻り具合
  • 左肩の入れ具合(右利きの場合)
  • バックスイングの高さ(個人差あり)
  • 右ひじの曲げ具合
  • 脇は握りこぶし1つ分空けているか
  • フリーハンドの位置
  • 目線、顎など頭の位置
  • ラケットの角度、ヘッドの位置
  • 胸から腰の高さで捉えようとしているか

など、チェックポイントが何点かあります。

ボールの軌跡での、打球点について述べます。

卓球台を横から見て、ボールの軌跡をイメージしてみてください。

時計の文字盤に例えます。

  • 自領コートに着いた点を12時
  • バウンドの頂点を3時

とします(時計を横にして)。

カットの打球点は、4時か4時半です。

遅くとも5時を狙います。

6時では遅い(落とし過ぎ)です。

遅刻です。

わざと打球点を落とすこともありますが、それは次の段階の話です。

今は、自分のカットの最適打球点を掴むことに専念してください。

理想の練習スタッフとしては、

  • 選手の他に球出しをするトレーナー
  • 選手の横で指導するコーチの2名

がいることです。

トレーナーは一定のボールが出せる人、コーチはカット経験者が良いでしょう。

最初はラケットを持たず、トレーナーに球出しをしてもらい、最適打球点でボールを掴む練習をします。

球を出してもらった瞬間に、サッとこの態勢になることが大事です。

音をよく聞き、リズミカルに行います。

コーチが手本を見せるのが良いでしょう。

カットのインパクト時の体勢を作って、選手にイメージを持たせます。

その上で選手にもやらせます。

体勢のポイントは前述の通りですが、手本を見せて真似させる方が早いです。

次の段階として、基本姿勢からインパクトまでを繰り返して行います。

大切な感覚練習

カットのスイングを覚える練習の前に、感覚練習をやり込む必要があります。

感覚練習は、初心者から上級者まで、卓球選手である限りやり続けるものと心得てください。

誰でも手軽に出来ます。

感覚練習とは、ボール突きや壁打ちです。

ボール突きとは、ボールをラケットの上で弾ませる練習です。

フォアとバックの両方でやります。

スイートスポットに当たった時とそうでない時は、ラケットを持つ手への響き方が違います。

この違いを感覚的に覚えること、そしてこの感度を永続的に磨くことです。

  • 突くボールの高さを変える
  • ラケットの端で突く
  • フォアとバックを交互に
  • ボールを受け止める
  • 回転をかける

など、バリエーションを加えます。

壁打ちは、弾みの一定な垂直の壁に向かい、ダイレクトにボールを打つ練習です。

これも、フォアとバックの両方やります。

100回連続を目安にし、クリアしたらボールの高さを低くしていきます。

最初は頭の高さで行い、最終的には胸の高さで行います。

ボールは、直線的でより速くなります。

動体視力とラケット感覚を、同時に磨く練習になります。

こうして感覚練習をやることで、ラケットに血を通わせます。

ラケットが身体の一部になるのを感じると思いますが、その感覚をさらに研ぎ澄ますためにも永続的に行います。

自分のカットのスイングを覚える

感覚練習をやり込んだ上、カットの最適打球点を身体で覚えたら、いよいよカットスイングの練習に入ります。

まずはコーチが手本を見せて、打球時の全体のイメージを掴ませます。

最初は、しっかりしたカットの体勢で上から下にスイングし、最適打球点でラケットをボールに当てるところから始めます。

飛来方向に対してボールの真後ろを捉えるつもりで打球し、相手コートへ飛ばす感じを覚えます。

繰り返し打球しながら、ちょうど良い角度を体得します。

ラケットの重みを感じるくらい肩と腕の力を抜き、しなやかなスイングを心掛けます。

最初は、腕だけのスイングになると思います。

ある程度カットボールを飛ばす感覚を掴めたら、身体全体で打球するようにします。

特に

  1. 身体全体でリズムを取り
  2. 体重移動をしながら打球し
  3. 打球後は基本姿勢に戻る

ところまでを覚え込ませます。

トレーナーは、辛抱強く一定のボールを送ることに専念してください。

コーチは自身が手本を見せては選手にやらせ、1つ1つ丁寧にポイントをクリアしていくよう指導してください。

根気が要ります。

細かく足を動かしてリズムを取り、体重移動しながら打球することを覚えると、全体的なイメージが出来上がってきます。

この全体的なイメージの事を、私は独自に「全体感」と呼んでいます。

まずは、この全体感を掴むことが重要です。

「カットは足でする」のだということを、この段階から身体に染み込ませてください。

ボールの引き付けと右足のつま先の位置

カットを覚える上で一番難しいのが、ボールの引き付け(ため)です。

相手に打たれてもすぐに手を出さないで、我慢してボールをグッと引き付けるのです。

これを覚えるのが、初心者には難しいです。

どうしても早く手が出て、ボールを迎えに行ってしまうのが普通です。

これは繰り返し練習し覚えるしかないので、コーチは根気よく選手にやらせてください。

もう1つ。

繰り返し練習をする中で、どうしてもフォアカットは打球点が乱れやすいのです。

先述の通り自由度が高いからです。

そんな時は、「右足のつま先でピントを合わせる」よう心掛けることです。

飛んでくるボールのコース上に、右足のつま先を持って行くのです。

こうすると、次第に打球点が合ってきます。

実はここからが本当の練習

長くなりましたが、今まで述べてきた事は、「最適な打球点で最適なスイングをする」ことを掴むための練習です。

フォアカットにおける、自分のポイントを掴むためのものだったのです。

まずは、「どんなボールでも常にこのポイントでカットするのだ」と心掛けてください。

しかし、実際は色々なボールが飛んで来ます。

これを一球一球足を動かして、自分のポイントでカットするわけです。

ここからが本当の練習になります。

フットワークを使って、カットする練習です。

カットは「足でする」のです。(重要!)

トレーナーの方は、先程までは一定のボールを送っていましたが、わざと少しコースを散らしたボールを送るようにしてください。

選手はこれを足を動かして、自分のポイントでカットする練習をします。

その次に、いよいよカット打ちとカットのラリーに挑戦します。

練習の目的は2つあります。

  1. どんなボールが来ても足を動かして自分のポイントでカットする。(ストライクにする練習)
  2. 間に合わない場合などポイントを外れたときに、ボディワークでカットする。(ストライクゾーンを拡げる練習)

1.があって初めて2.があることを、肝に銘じておいてください。

最初から2.だけですと、横着する癖がつき、カットマンとして大成するのは難しいです。

カットを本当にマスターするのは、長い修練が必要です。

選手の方、またコーチの方、是非、頑張ってください。

この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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