【OBUコーチ】初心者カットマンは何から始めればいいのか?
カットマン(特に初心者カットマン)が、試合で勝てるようになるために何から始めたら良いのか。
現代はカットマンの転換期に来ていて、従来の考え方では勝てなくなりました。
従来の考え方、教え方を見直し、
- 従来のやり方から変えてはならないもの
- 従来のやり方を捨て思い切って変えるもの
を取捨選択し、さらに
- 従来のやり方に新たに付け加えるもの
を採り入れ、再構築しなくてはなりません。
初心者カットマンの練習も例外ではなく、これに沿ったやり方に変えて行かなくてはならないでしょう。
むしろ、初心者だからこそ新しい考え方でスタートすべきだと言えるかも知れません。
大変な時代になってきました。
まだ明確な答えが確立されているわけではありませんが、現時点でこうではないかと思われることを述べようと思います。
カットマンは覚えることが多い
私が卓球を始めた40年ほど前から、カットマンがずっと言われていることに、「カットマンは人の3倍練習しないと決して上手くなれないし、ましてや試合で勝つことは難しい」という言葉があります。
いきなり重たい言葉なのですが(笑)、これは事実です。
カットマンは、覚えることが多いのです。
そして、それらの1つ1つの技術を習得するのに、時間がかかるのです。
なので、最低、普通の人の3倍練習しないと勝てないです。
少なくとも3倍です。
初心者だろうが中級者だろうが、はたまた全国レベルの上級者だろうが関係ありません。
1にも2にも、練習量です。
カットマンと言う戦型を選んだ以上、この茨の道は避けて通れません。
脅かすわけではないのですが、それくらいの覚悟を持つことが必要です。
しかし、技術がある程度のレベルを超えると、試合で負けることの方が少なくなります。
ここまで到達すると、「カットマンほど素晴らしい戦型はない」と言えると思います。
負けにくい戦型なので、団体戦のラストに起用されたりするのもカットマンです。
監督やチームメイトのほか、応援してくれる全ての人の期待を背負い、最後に勝つことが出来る戦型なのです。
何より、相手の攻撃をカットで凌ぐ、そのプレーぶりが観客を魅了します。
あなたのファンが、出来るかも知れません。
または、団体戦で先陣を切って、トップで起用されることもあるでしょう。
これからも希少な戦型となることは間違いないので、団体戦における秘密兵器の様な存在になるでしょう。
そんなレベルに達するまで、是非自分を高めていきたいところですね。
カットマンが勝つには
カットマンが試合で勝つときの勝ちパターンをここでおさらいしましょう。
- サービスが効いている。
相手がレシーブから攻められない。 - レシーブミスがない。
相手の3球目攻撃に対処出来ている。 - カットの変化が効いている。
相手が強気で打ち込めないでいる。 - 意表を突いた攻撃が出来ている。
3球目攻撃、カットからの攻撃。
これらが平均して上手く行っている時に、じわじわとカットマンのペースになり、結果的に試合で勝っています。
そのために必要な事とは
まず、徹底した守備力です。
特に、レシーブ時の展開における守備力です。
守備力とは、「受ける技術」です。
相手は、サービスからの3球目攻撃で得点することを狙っています。
レシーブミスをしたり、簡単に攻撃できる甘いレシーブをしていては、相手の思うツボです。
どんなサービスにも対応が出来て、低く深いツッツキレシーブが基本になります。
それでも、相手は強打して来ます。
それを、如何にカットで返球出来るか、です。
この様に、4球目のカットが出来て初めてラリースピードが鈍化し、カットマンの戦う土俵になります。
ここまで来てやっと、カットマンが攻撃マンと対等の立場になったと言えるのです。
レシーブからの展開の次は、カットのラリーにおける守備力です。
せっかくカットのラリーに持ち込んでも、カットマンがカットを簡単にミスしている様では本も子もありません。
普段の練習でも、最低10本以上ラリーを続けられるように訓練しましょう。
カットを打つことをカット打ちと言いますが、実に様々なカット打ちがあります。
相手のラバーによって、球質が違います。
相手が右利きか左利きかによって、違います。
さらには、相手のクセによっても、違うのです。
ドライブでも、
- 伸びる
- 曲がる
- ナックル
- 回転が掛かって前に落ちる
など、数種類があります。
こういう様々なボールに対して、全てカットで返球できなくてはなりません。
自信をもってカットで返球出来るという前提があって、初めてカットに変化を付ける余裕が生まれます
同じ球に対して、2種類以上の返球の仕方を覚えます。
カットを切る・切らないの変化を、相手に分かりづらくつける技術です。
変化を付けたら、攻撃に結びつけます。
カットの変化だけでは得点に結びつきにくいので、点を取りにいくワケです。
- 変化
- 攻撃
が、カットマンに必要なものの2番目です。
3番目に必要な物として、威力あるサービスを持つことです。
サービスエースが取れるサービスであることが、望ましいです。
- 回転
- スピード
- コース
の質を上げることが大切なのですが、それよりも大切なことは自分が思ったところに思ったサービスが出せることです。
また、サービスが活きるのは、強烈な3球目攻撃があってこそです。
相手は「3球目を強く攻撃される」というプレッシャーがあって、レシーブミスしたり甘くなったりするのです。
サービス及び3球目攻撃は、「こちらから仕掛ける技術」です。
自分主導で行える技術ということで、守備力とは一線を画します。
では何から始めるか
何から始めるかと問われると、優先順位をつけてその高い方から始めるという考えに陥りやすいです。
実は、ここに1つ落とし穴があります。
昔の指導の方法で、「1つの技術を習得し磨き抜いてから次の技術の習得に入る」という考え方がありました。
1つの技術に偏ると、その技術がやり易いグリップや身体の使い方に固まってしまう欠点があります。
例えば、フォアハンドばかりやっているとフォアハンドがやり易いグリップに慣れてしまい、バックハンドが振れなくなるとか。
また、カットの練習ばかりやっていると、腰をやや落とした態勢が身に付いてしまい、攻撃に転じる腰の使い方を覚えるのに苦労するとか。
ですから、優先順位は付けるにしても、試合で使う技術(将来目指しているスタイルで使う技術も含む)は満遍なく練習すべきなのです。
その前提を忘れずに、何から始めるかですがまずは「守備力の強化」になります。
これが、習得に一番時間がかかるからです。
練習時間の8割方は、守備の鍛錬に充てます。
と同時に、残りの時間でサービスと攻撃です。
サービスに関しては、「カットマンが覚えておきたいサービスとは?」を参照して頂きたいです。
守備の鍛錬に関しては段階がありますので、別の機会に述べさせて頂けたら幸いです。
少しだけお話させて頂くと、カットマンを育成する初期の段階では、
- 多球練習による基本打法の習得
- フットワーク練習を取り込んだ全体感を掴む練習
が良いです。
その後の展開
ここまで述べてきたことは、言ってみれば従来のやり方の延長線上に過ぎません。
守備力だけでも戦える実力が付いた後には、練習の比率を攻撃中心に切り替えます。
攻撃のレベルが上がった段階で、今度は攻撃から守備へ、守備から攻撃へ転ずる練習を積みます。
言葉(文字)にするのは簡単ですが、問題は切り替えのタイミングの見極めです。
どこのレベルを目指すのかにより、変わって来るものと思われます。
ここに関しては詳しく述べるだけの知識と経験値が現在のところ不足しておりますのでこれという考えがまとまった時点で、お伝えしたいと思っています。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)