「やった」と「身に付いた」の違い

スキルアップ

ある技術の練習を「やった」、しかし、試合で全く使えなかったという経験はありますか?

私はあります。

最近のことですが、あれだけ練習したのに試合で殆ど(全く)使えなかったなぁと思う事がありました。

そんな体験を思い返しているうちに、昔読んだ本に似たようなことが書いてあることを思い出しました。

今号はそれらを皆さんとシェアしたいと思います。

山中教子先生の著書から

山中教子先生をご存知でしょうか。

左ペン表ソフト、全日本チャンピオンにもなられた元日本代表選手です。

山中先生は昔の卓球レポートに、「私のメモ」という連載を寄稿していました。

卓球の技術的な事から精神的な事、ご自身が影響を受けた卓球選手の事など、多岐に渡る内容でした。

その連載記事を抜粋して一冊にまとめた本が発刊されました。

「You Can」という題名の本です。

今は絶版となっていますが、間違いなく名著だと私は思います。(是非、復刻して欲しい本です)

山中教子という一人の卓球選手が、現役時代から引退するまで、如何に真摯に卓球に向き合ったかがよく分かります。

その本の中に同じ題名「やったと身に付いたの違い」という章がありました。

その章の概要は、次の通りです。

山中先生はある目標としていた大会の前にかなり綿密な計画を立てて練習しました。

対戦するシード選手は分かっていましたので〇〇選手対策、△△選手対策と、選手ごとに対策練習を時間を決めて行ったそうです。

スケジュール通りに「完璧な」練習をこなし、いざ本番の試合に臨むにあたって山中選手は不安に襲われます。

いや自分は○○選手対策をしっかりやったから大丈夫だと自分に言い聞かせ、試合が始まれば不安も消えるはずだと思っていたそうです。

ところが試合が始まっても不安は募る一方。それどころか○○選手対策としてやってきたことも試合で充分に発揮出来ませんでした。

優勝を目標にしていたにも関わらず、決勝戦にすら進めずに負けてしまいました。

私の場合

私はコロナ禍で複数人で練習出来ない間、先輩のAさんとマンツーマンで、サーブの強化に取り組んで来ました。

今までのサーブに加えて新しいサーブとしてYGサーブを覚えようと取り組んだのです。

ボールを沢山使い、練習時間の半分くらいはサーブの練習に充てました。

数ヶ月が経ちました。

Aさんの指導のお陰もあり、良い切れ具合、良い曲がり具合のYGサーブが出せる様になって来ました。

よし、これだけ練習したのだ、試合で使えるぞ、と思いました。

ところが、実際にチーム内のゲーム練習でやってみると、サーブミスは連発するわ、甘く入って簡単に取られるわで散々な結果でした。

本番の試合でも勇気をもって出すのですが、Aさんとの練習で出せたサーブの切れはどこへやら、ボテボテのサーブになってしまうのです。

数をこなす、そして…

これを克服するには、数をこなすしかないと考えています。

例えば、〇回とか数を決めて行うやり方だとその数をクリアすることが目的となってしまいがちです。

ですから、数を数えるのを忘れるくらい、途方もない数字を設定するのが良いと思います。2万回とか。

それだけやれば、そのうちの2、3球は、本当の意味で納得のいく1球になるはずです。後はその出現頻度を徐々に上げて行けば良いのです。

そして試合の中で思い切って使うことです。失敗しても、またチャレンジすれば良いのです。

私はチキン(小心者)ですから、その分、人一倍練習しなくてはと思っています。

前述の山中先生は、著書の中で、

「やったと身に付いたは違います」

と言っています。

先生は納得いくまで練習し、翌年の全日本で優勝したのです。

 

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この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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