時代の流れと強化のポイント
現代ほど、卓球ルールの変更、用具の進化が激しい時代はありません。
そんな中で私たちは、自分の卓球をどう強化して行けば良いのでしょうか。
今号では「私OBUはこう思います」という1つの見方を提示します。
指導者の方も選手の方もご自身で必要な部分を取捨選択をして、採り入れて頂けたら幸いに思います。
時代の流れを知る
最初にやるべきことは、「今」という時代の流れを知ることです。
11本制という短期決戦は、変わりません。
よりスピーディに勝負を決めるという流れは、今後も変わらないでしょう。
団体戦でさえ、Tリーグで採用されているルールの様に、試合のスピード化が求められるでしょう。
また2024年には、プラスチックボールから抗菌ボールに完全に移行するそうです。
そこで早速、私はNittakuの抗菌ボールを試打しました。
VICTASのスリースターに打球感が似ていると私は感じました。
これは、従来のNittakuのスリースターよりも柔らかい打球感です。
つまり、ラージボールの柔らかさにまた一歩近づいたということです。
回転とスピードの減衰が、今よりもまた少し顕著になります。
こうなると用具は、現状の威力を保とうとして、「より回転が掛かり、かつ弾むもの」に進化することでしょう。
プレースタイルは速攻の要素が、より重要になる傾向は変わりません。
前陣での速い動きとコンパクトなスイング、中陣での身体全体を使った動きと力強いスイングの使い分けが必要になります。
それらに伴い、用具の特徴を知らなくてはなりません。
回転を掛けるのに適しているのか、スピードを出すのに適しているのか。あるいはその中間か。
用具の特徴を知れば、一流選手ほどではないにせよ、使いこなすことが出来ます。
私たちのレベルでは、同じ用具を使ったとしても一流選手の半分以下程度でしか、用具の特徴を活かし切れていません。
しかし、用具の特徴を知り、その性能を活かす努力をすれば、少しずつですが一流選手に近づくことも可能なはずだと私は思います。
強化のポイント
では、そんな時代の流れの中で、自分の卓球の何を強化すれば良いのでしょうか。
11本制という短期決戦、速攻全盛の中で「いかに1点を早く取るか」ということを突き詰めて考えました。
私の結論は、以下の3つです。
1.徹底したサーブの強化と3球目
2.徹底したレシーブの強化と4球目
3.主戦技術のシステム練習
こうして挙げてみると、昔から言われている一般的な事なので、なんだか申し訳ない気持ちです。(^^;;
これは、どの戦型にも、どのレベルの選手にも該当しますね。
ただ私が注釈として付け加えたいのが、「但し、プラスチックボール仕様で」ということです。
打球点を中心に話をすると、自ら攻撃を仕掛ける時は頂点前(2番)で打つ様にします。
カウンターを狙う時は相手に下降前期(4番)で持ち上げさせて、頂点(3番)で打ちます。
打点を落としての攻撃は、相手のカウンターの餌食になり易いので、プラスチックボール仕様とは言えません。
徹底したサーブの強化と3球目
あなたが試合で使っているサーブをもう一度見直して磨いて欲しいのです。
もう工夫の余地はないと、あなた自身で思っているかも知れません。
そこを、もう一歩踏み込んで、徹底的に見直すのです。
・より回転を掛けるにはどうすれば良いか。
・よりスピードを出すにはどうすれば良いか。
・どのコースに出すと効果的か。
・どうすれば回転が相手に分かり難くなるか。
・トスを投げ上げる高さはどうか。
・サーブを出す位置はどこか。
・レシーブを強制させるための工夫は何か。
・どんなレシーブを返させたいか。
・また、3球目をどう攻めたいのか。
など、沢山のチェック項目があります。(足りない分は追加してくださいね)
今一度、チェック項目に照らし合わせて、サーブの強化をやると良いと思います。
もう一段階強くなるためには、必ずと言っていいほどサーブの威力を磨き直さなくてはなりません。
サーブの練習は地味ですが、時間を取って徹底的にサーブ練習をするのです。
そして、サーブでチャンスを作り、3球目に繋げる練習をします。
憧れの現役一流選手のサーブを真似して3球目の攻め方を研究してみると良いです。
私は両面裏ソフトのカットマンですので、英田理志選手のプレーを参考にしています。
私には私のプレーがあり、英田選手には英田選手だからこそできるプレーがあるのでそっくり真似するわけには行きません。
そもそも、レベルが高過ぎて私には出来ません。(笑)
しかし、動画を観ていて英田選手の作戦とかプレーの要素を採り入れることは出来ます。
最初はこれで良いのだと思っています。
英田選手の作戦は非常に考えられていて、上手くハマると相手選手は気の毒なくらい打ち負かされてしまいます。
英田選手の技術があってこその作戦ですが、プレーの要素を採り入れて、英田選手に少しでも近づきたいと思っています。
徹底したレシーブの強化と4球目
まず台上のレシーブを強化しなくてはなりません。
フォア前とバック前に下回転の短いサーブを出してもらい、次の5つを磨きます。
1.バウンド直後(1番)を捉えてストップ
2.バウンド直後(1番)を捉えてツッツキ
3.頂点(3番)を捉えてフリック
4.頂点(3番)を捉えてチキータ
5.下降前期(4番)を捉えて流しレシーブ
下回転に対して色々な返し方があることを身体で覚える様にします。
1.から5.のそれぞれに技術的なポイントがありますが、ここでは触れません。
別の機会に触れることにします。
出来る、出来ない、得意、不得意が出ると思いますが、1つ1つを丁寧に工夫しながら練習して行きます。
自分の中に基準を作るつもりで練習します。
ある程度出来るようになったら、これを実際のゲーム練習で試します。
実際には、短くて純粋の下回転サーブが来ることは稀で、横下回転だったり、ナックルであったりするわけです。
これに対して、自分の中に作った基準を元に調整(アジャスト)するのです。
最初はなかなか上手く行きませんが、上手く行かないのが当たり前と思って冷静に角度や振りを調整して行きます。
必ず最適な返球方法が見つかります。
この調整力が本当のレシーブの練習になります。
試合では、初めて対戦する場合など、初めて受けるサーブもありますので、この調整力が問われるのです。
そして、また基準作りに返ります。
この繰り返しがレシーブの強化です。
長さも台上で2バウンド以上する短いものとは限りません。ギリギリで出るもの、明らかなロングサーブと多彩です。
台から出るサーブは積極的にドライブで攻撃します。
この台から出るか出ないかの見極めも、レシーブ強化の大切なポイントです。
「基準作り => 実際に試す」というサイクルを何度も繰り返すことで、レシーブ力が向上して行きます。
ローマは一日にして成らず、という諺があります。
サーブ練習もレシーブ練習も地味にコツコツと積み上げるしか上達の道はありません。
しかし、これをやれば必ず卓球が上手くなります。
何故なら卓球の試合はサーブとレシーブから始まるからです。
一番使う技が上手くなるのですから、当り前と言えば当たり前ですよね。(^^)v
さて、レシーブ練習を徹底的にやると、気付くことがあります。どんなレシーブであっても共通して言えることです。
それは「スタートを早くする」ことです。
スタートが早ければ余裕をもって、身体を打球する位置に移動することが出来ます。
もう待っている所にサーブが来る感じと言えば、想像がつくと思います。
そこで基準作りの5種類のレシーブが初めて活かされてきて、あなたは「レシーブを選ぶ」状態になります。
こうなればレシーバーが断然有利です。
「実際に試す」の時に本当に調子が良いとサーバーがサーブを出す前から、サーブが読めてしまうことがあります。
所謂「サーブを見切った」状態ですが、これも「早いスタート」の一種です。
レシーブが上手く行けば、「次に来る3球目を強制する」ことが出来ます。
それを待って4球目攻撃に繋げて行きます。
主戦技術のシステム練習
「サーブ+3球目」「レシーブ+4球目」で自分が攻撃してラリーが終わることが理想ですが、終わらなかった場合の想定です。
この場合は、主戦技術を使ってのラリーになります。
私はカットマンですので、主戦技術はツッツキとカットです。
従って、
1.ツッツキからの攻撃
2.カットからの攻撃
の2つがシステム練習となります。
2つとも技術的なポイントがあるのですが、共通して言えるのは、ラリー設計です。
具体的には、
・切れたツッツキの後に、切らないツッツキを送り、次球を浮かせてスマッシュする
・切れたカットの後に、切らないカットを送り、軽く繋いできた球を攻撃する
・猛烈に切るカットを送り、相手にストップをさせて両ハンドで攻撃する
など回転の変化の他に、
・バック対バックのラリーから、いきなりフォア深くに送り、フォアに返させて攻撃する
・バックサイドからわざと打たせてガラ空きのフォアを狙う
などコースの変化もあります。
要するにチャンスを作って攻撃する、ということです。
攻撃そのものの技術レベルも上げる必要があります。
まずは攻撃のバリエーションとして、
・前陣でも中陣でも攻撃できる。
・両ハンドで攻撃できる。
・ドライブもスマッシュも打てる。
・対上回転、対下回転の両方打てる。
ことが理想です。
中陣でカットのラリーからの攻撃の場合、半歩前に出て頂点(3番)を狙うのですが、この高さならスマッシュ(が打てる)、それより低ければドライブで攻める、という判断力も必要です。
最後に
以上、長文になりましたが、時代の流れを踏まえた上で、自分の卓球のどこを強化して行けば良いのかについて、私見を述べました。
主戦技術のシステム練習の項で述べたカットからの攻撃などは、セルロイドボール時代では、守備的カットマンが試合の流れを引き寄せるために、試合の後半に奥の手として使っていた技術でした。
しかし現代の超攻撃的カットマンは、それらを攻撃の補助的技術として、試合の最初から使っていきます。
それくらい時代が違うのです。
是非、あなたも今号を参考に自分の卓球を現代版に再構築して、11本制という短期決戦を勝ち抜いて欲しいと願っています。
試合は、偶発的に勝つこともありますが、理想を言えば
「勝つべくして勝つ」
ことを目指したいものです。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)