現代における理想のカットマンとは守備的?攻撃的?
卓球の歴史の中には、何回かルール改正がありました。
どのルール改正もカットマンにとっては今までのスタイルを見直さなければならず、難しい対応を迫られたものでした。
しかし、だからこそ「その変化に適応できたカットマンだけが生き残ってきた」とも言えます。
歴史的に見て、カットマンにとって対応が難しいルール改正があるたびに、理想のカットマン像が磨かれてきた。
私は、そのように感じているのです。
カットマンの昔と今
一昔前のカットマンは、
- 攻撃型カットマン
- 守備型カットマン
の2つに、大別されていたように思います。
いずれのスタイルも、まずカットのラリーを引いて、攻撃をミックスしていきます。
大雑把に言うと、その攻撃の割合の多いのが前者で、少ないのが後者という分類です。
私は、守備型カットマンは残念ながら激減していくと思います。
相手選手のドライブの連打をカットで何本も返球するといったラリーは、今後あまり見られなくなっていくでしょう。
カットマンの「見せ場」ともいうべきラリーであったので、とても残念です。
今後は、
- 攻撃型カットマン
- 超攻撃型カットマン
の2つの分類に、なると思います。
前者は、前述の「カット+攻撃」型です。
後者は、言うなれば「攻撃+カット」型です。
- カットのラリーを引いて、そこから攻撃するのが「カット+攻撃」型
- 基本的には攻撃をして、その中にカットを混ぜていくのが「攻撃+カット」型
です。
この様に、変わっていくだろうと予想される一番の理由は、プラスチックボールの使用です。
プラスチックボール時代の中では、カットは相手にとって打ちにくいボールではなくなりました。
球質に慣れてしまえば、むしろカットはゆっくりで強打しやすいボールに変わってしまったのです。
カットで粘るラリーは奥の手としてとっておき、相手にカットを打つことに慣れさせない様に、上手くカットを使うことがこれからのカットマンに求められるのです。
理想のカットマンとは
では、こんな時代の中で、理想のカットマンとはどういう姿を言うのでしょうか。
カットマンが「受け」の戦型であることは、今も変わりありません。
「受け」の戦型とは、相手の攻撃を一旦受け止めて跳ね返していく戦型を指します。
3球目攻撃を主体とし、効くのであればそのまま攻撃で得点を重ね、時には相手にわざと攻めさせてカウンターを狙う。
その中に、変化カットからの攻撃を混ぜる。
カットの変化で相手のミスを誘い、相手がそれを嫌って繋いで来たら、すかさず反撃する。
攻撃も変化も効かなければ、初めてカットで粘る戦術を採る。
そういう試合展開が出来るのが、理想のカットマンです。
要は、
- 自分の攻め
- 受け(相手の攻め)
を意識的にかつ効果的にミックスさせ、相手を翻弄していくのです。
相手としては、自分が打っているのか打たされているのかが曖昧になって来て、最後は自滅するのです。
大局的に見て、そんな試合展開に持って行けるのが理想です。
そのためには、
- ワンパターンにならない多彩な技術
- 試合の最後まで動き切る強靭な体力
- 相手の心理状態を読む観察力と洞察力
が必要です。
現代のカットマンには、バランスの取れた総合的な力が求められているのだと思います。
カットだけではない、よりオールラウンドなプレーが出来るカットマンが生き残っていく事でしょう。
守備的カットマンについて
守備的カットマンについて、補足します。
守備的カットマンは、今後は激減していくと前述しましたが、決して絶滅はしないと私は思います。
カットマンとして、相手の攻撃を拾い切ることが出来るステージで戦えば良いのです。
例えば中学生の大会で、カットマンとして勝ち上がろうと思えば、大学生や社会人の攻撃型のボールを普段から受けておけば良いのです。
中学生で大学生や大人並みの剛球を打つ選手はまずいませんので、充分中学生の大会でも勝ち上がって行けるはずです。
また、どんな選手でも30代、40代、50代と年齢を重ねるごとに、体力やパワーは衰えてきます。
攻撃の威力も落ちてきます。
もし、仮にあなたが実年齢-10歳の体力とパワーをキープ出来れば、その年代別の大会で勝ち上がれる可能性があります。
カットマンの有利な点は、
- 年齢を重ね経験を積むほど強くなれる。
- カットスイングが重力に逆らわないので、衰えることは攻撃型に比べて少ない。
の2点です。
年代別の県外の大会に出てみて私も初めて分かったのですが、カットマンの数が意外に多いのです。
そして数が多いだけでなく、みんな自分の戦い方を持っていて試合巧者なのです。
どちらの例も、並大抵の努力では成し遂げることが難しいのですが、カットマンの努力とはそういうものです。
これは守備的カットマンに限らず、全てのカットマンに言えることです。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)