【OBUコーチ】カットマンにおススメの戦術

OBUコーチ カット シングルス 技術


  • 攻撃
  • 変化
  • 守備

の3つの要素を組合わせて戦うのが、カットマンのスタイルです。

最近では、攻撃重視のカットマンが多いですが、それでもこの3つの要素の組合せが大事です。

カットマンの戦い方のイメージ

相手が攻撃してくるのを、受け止め・かわして・転じて、カットマンは勝つのです。

これは、合気道の動作に似ていると思います。

相手が拳で突いてくるのを、サッと身体をかわしながら同時に手で受け止めて、その体勢から転じて投げを打つのです。

そのためには、

  • 相手をよく観察すること
  • その事実から相手を洞察すること

が大切です。

プレーしながら作戦の軌道修正し、試合全体を組み立てていきます。

最初は相手にやられていても、徐々に自分のペースに持ち込んで、最終的に自分が勝つ戦い方をするのです。

卓球は相手のいるスポーツですので、思う通りに行くことは少ないです。

それでもこの考え方は、カットマンにとってとても大切です。

相手を力でねじ伏せるのではなく、冷静な頭脳と華麗な技術で弱点を突き、相手が勝手に崩れていく様に仕向けます。

「蝶のように舞い、蜂のように刺す」 - モハメッド・アリ(ボクシング元世界チャンピオン)

全体的なイメージは湧いたでしょうか?

それでは、以下に具体的な戦術のパーツを述べて行きます。

あなたのプレーにパーツを採り入れて、カット戦術に磨きをかけていってください。

相手を斜めに動かす

例えば、フォア前に短いサービスを出し、相手がこちらのバックにツッツいてくれれば、すかさずバック深くにツッツキを送ります。

※右利きカットマンと右利き攻撃型を想定しています(以下、同じ)

フットワークの悪い選手は、前に寄せられてから斜めに下がるという動きが苦手です。

戻ろうとして動きながら打ったりするので、ミスする確率が非常に高いです。

また、入ってもボールに威力がありません。

殆どは、こちらのバックサイドに返球されるので、余裕で待ってバックカットが出来ます。

持ち上げ気味に来た時は、前に出てバックハンドでストレートを狙うのも良い戦術です。

攻撃選手は横の動きは強い(ことが多い)が、斜めの動きに弱い(ことが多い)と、覚えておくと良いでしょう。

相手のラケット角度を狂わせる

カットを切る・切らないの変化を付けます。

出来るだけ、相手にとって違いが分からない様に工夫します。

こうすることで、相手は「切れてると思えば切れておらず、切れていないと思えば切れている」という状況に陥り、とても混乱します。(ラケット角度が狂った状態です)

裏ソフト面でのツッツキを例に挙げます。

  • 手首を固定する。
  • 肘から先のスイングで変化を付ける。
  • 切る時は腰も入れて行う。
  • スイングを意識的に似せる。
  • ラケットに当てる場所で変化を付ける。
  • コンパクトなスイングにまとめ、戻りを速くする。

こうすることで、相手に分かりづらい変化をつけることが出来ます。(是非、工夫してみてください)

カットの変化ですが、切る・切らないの2択ですと、相手はそのうち慣れてきてしまいます。

私OBUは、序盤は2択に見せかけておいて、試合の途中から第3のカットを送るという工夫をしています。

ちょっと切れているので、「ちょい切れカット」と私は呼んでいます。

選択肢が途中から3つに増えるので、対戦相手はやりにくいと思います。

これも、ラケット角度を狂わす工夫の一つです。

相手のフォアを突き攻撃に結び付ける

ツッツキにせよカットにせよ、下回転のボールを相手が打ち易いのはバックサイドです。

踏み込む足が台に邪魔されず、身体が上手く使えるからです。

フォア側で下回転のボールを打つのは、どうしても不安定になりがちですので、機を見て相手のフォア側を突くと良いです。

フォア前にショートサービスを出された時、思い切って相手のフォア側へガツンと切れたツッツキを送るとミスがでやすいです。

攻撃型が、フォアに飛びついて下回転のボールを打つのは難しい技術です。

入ってきたとしても、こちらのフォア側へ返球されることが多いので、これを待ってフォアカットで変化を付けて行きます。

又は、フォアハンドで攻撃します。

よくドライブ対ドライブのラリーで、「クロスに押せばクロスに返る。ストレートに押せばクロスに返る」と言われます。

実は、これはカット(ツッツキ)対ドライブのラリーにも当てはまることなのです。

鋭いツッツキで相手のフォアを突くことが出来れば、クロス(つまりこちらのフォア)に返ってくるので、フォアハンドで攻撃するチャンスが生まれます。

相手のドライブ返球の威力が強ければ、こちらはツッツキで前にいるので、そのまま前陣でカウンタードライブ(またはブロック)が理想的な攻撃です。

打ちあぐんだような返球であれば、フォアスマッシュをストレートに狙います。

このコースは、攻撃型にとっては嫌なコースで、ノータッチで抜ける可能性が高いです。

フォアストレートへの攻撃は、とても有効です。

是非、習得したい攻撃コースです。

相手のドライブの返球を、カーブロングで相手のフォアをさらに突く方法もあります。

しかし、この後にドライブ対ドライブのラリーになりやすく、引き合いで負けないくらいの攻撃力が必要になってきます。

相手を動かしながら変化をつける

バック面に異質ラバーを貼っている選手は、特にこの戦術を使うと良いです。

ミドル前にストップされたボールに対して、バックでやや回り込みながら相手のフォア側へ曲がるツッツキをします。

粒高ラバーならば、ここでプッシュする選択もあります。

相手を、フォアへ大きく動かすことが出来ます。

しかも、異質ラバーによって回転に変化がついていますので、相手を攪乱できます。

最近ではより攻撃的に、逆チキータとして返球している技術も出てきています。(女子のカット選手に見られます。今後はスタンダード技術になるでしょう)

チャンスを作って攻撃する

カットマンの攻撃は、成功率100%が目標です。

日本人は、「一か八か」が好きな国民性ですが、カットマンの攻撃はそれではいけません。

そのためには、

  • 攻撃チャンスを作る。
  • 作った上で攻撃する。

の2本立てで行かなくてはなりません。(車の両輪の様なものです。片一方だけでは車は走りません)

攻撃チャンスの作り方の1つに、切れたカットの後にナックルカットを送る方法があります。

ストップされたボールが少し浮くので、これを飛び込んでスマッシュします。

相手がストップする気配を感じたら、ナックルカットを送るのがコツです。(なので相手を察知する洞察力が必要です)

相手のクセを読むこともコツの1つです。

2本ドライブしたら3本目は必ずストップするクセがあるのなら、2本目のドライブに対してナックルカットを送ってやるのです。

また試合の前半でずっと横下回転サービスを使っておいて、試合の後半のヤマ場で同じモーションから横上回転サービスを出して、3球目攻撃をする方法もあります。

ですので、試合全体を俯瞰する力が必要です。

カットは相手コートに深く送る

カット(ツッツキ)の基本は、相手コートに深く送ることです。

こうすることで、相手は広角に打ちずらくなり、こちらの動く幅がより狭くなります。

つまり、守り易くなります。

深いボールを打つのが苦手の選手には、一球一球カットを打つのに負荷がかかります。

相手が、反り返りながら打つくらいの深いボールを送りましょう。

オーバーミスすると、相手が勘違いして見送りカットがノータッチで抜けることもあります。

いつも深いカットを送るのには相当の練習が必要ですが、これが繰り出せるようになるとカットマンとして非常に有利です。

安定して深いカットが出来るようになれば、カットマンとしてレベルが上がったと言えると思います。

台からの距離を狂わせる

安定して深いカットを送ることが出来るのが前提ですが、わざと浅い切れたカットを送る作戦があります。

このカットは、わざと少しだけ浮かせます。

相手にとってはチャンスボールに見えるので、前のめりになりながらスマッシュしてきます。

ところが切れているので、ネットミスします。

このラリーの後に深いナックルカットを送ると、相手はかなりの確率でオーバーミスします。

これは、相手のラケット角度を狂わせながら、台からの距離を狂わせる高等戦術です。

実は、カットでも相手を前後に動かすことが出来るのです。

台からの距離が狂った状態というのは、切れた(あるいはナックル)カットを以前と同じ力加減で打っているはずなのに、ミスをするという状態です。

本人は以前入っていた同じ状態で打っているのに前後に動かされたため、台からの距離が微妙にずれているのでミスするワケです。

卓球マシンをイメージすれば分かります。

エンドライン付近にボールを入れていた状態から、マシンを台に近づければオーバーミスすると思います。

これと同じです。

攻撃を混ぜる

古いカットマンにいるのですが、攻撃が極端に少ないタイプがいます。

これでは、勝つ確率が非常に低いです。(稀にカットと変化で守り切って勝つ試合もありますが、やはり稀です)

  • 11本制という短期決戦
  • より弾む方向で進化する用具
  • 回転の掛かりにくいプラスチックボール

カットマンに不利な状況はどんどん進みます。

隙あらば打つぞという姿勢が大事です。

攻撃を見せておくだけでも効果があります。

相手の攻撃パターンを頭と身体で覚える

どんな攻撃マンも、「自分の得意なカットの攻め方」というものがあります。

ここでは、攻撃パターンと呼ぶことにします。

2,3パターン持っているのが普通です。

これを第一ゲームの間に学習します。

出来れば、その選手が違うカットマンと対戦しているのを観戦して、事前に情報を収集しておくのが理想です。

しかし、カットマンが少ない昨今では難しく、この方法を取らざるを得ないのが現状です。

最初は、まんまとその攻撃パターンを喰らっている様に見せかけます。

そうです、見せかけるのです。(笑)

そうすると、相手は喜んで自分の手の内をさらけ出してくれるわけです。

ここがポイントです。

これを、試合の早い段階で頭と身体で覚えます。

  • 試合の一番最初に使う
  • 第一ゲーム中に最もよく使う

これが、彼の最も得意な攻撃パターンです。

それ以外はオプション(おまけ)となります。

彼は最も得意な攻撃パターンを主軸に、オプションを交えながらあなたのカットを攻略しようとしているのです。

攻撃マンの心理を読む

  • 強気で攻めてこようとしているのか
  • 慎重になって繋いでこようとしているのか

カットマンとしては、攻撃マンの心理を敏感に察知しなくてはなりません。

強気で攻めてきている時にはがっちり守り、慎重になって繋いできている時には変化と攻撃で相手を攪乱します。

試合の点数としては、2本差以上離れない様に相手について行きます。

いつ逆転されてもおかしくない点差の状態にしておくのです。

そうやって、心理的プレッシャーを相手に与え続けるのです。

すると相手はどうなるか。試合の後半(8-8以降)で、必ず焦れます。

つまり、勝負を仕掛けてきます。

何をしてくるか。(もう、お分かりですね!)

サービスを持った時に、「最も得意な攻撃パターン」を出して来ます。(相手のサービスも3球目のコースもあなたは第一ゲームで学習済みですよね!)

ここがあなたにとっても勝負となります。

それまで使っていたレシーブと異なったレシーブをします。(例えば、いつもより少し切るとか)

それで相手がミスしてくれれば幸運です。

しかし、そんなに甘くはありません。

得意な攻撃パターンだけに、相手はアジャストして必ず入れてくるはずです。

しかし、あなたは3球目のコースも学習済み。

万全の体勢でカットで返球します。

ちょっとフライングして動いても良いです。

相手は「打つコースも読まれている」と思うからです。

ここでは、ナックルカットがオススメです。

相手は勝負所で力んでいる場合が多く、打ってくればオーバーミスが期待出来ます。

あるいは、弱気になって軽く繋いでくるかも知れません。

ストップされても、浮いてくる可能性大です。

飛び込んで、スマッシュでトドメを刺します。

そのラリーをもしあなたが得点できれば、相手の精神的ダメージは大きいです。

人間の心理として、最もすがるものが崩れた時です。

がらがらと連鎖的に崩れていくものなのです。

もう何をやってもダメだという心境になり、以後のラリーが凡ミスで終わる事が多いです。

これは実際に体験したこともありますし、他の人の試合で観たこともあります。

カットマンとしては、当然の結果です。

何故なら第一ゲームの1本目から、こうなることを狙っているからです。

以上のように、カットマンの戦術は、壮大な計画を緻密に進めていくものと心得たいところです。

仮に、そこまでやってその試合に敗れたとしても、対戦相手に与える影響は大きいです。

  • この選手に勝つのは大変だ
  • 出来ればもう対戦は避けたい

と思わすことが出来るからです。

それは大収穫です。

縁がある対戦相手とはいるもので、再び巡り合うものなのです。

その時までにあなたはさらに実力をつけて、喜んで迎え入れてあげましょう。

「ようこそ、カット地獄へ」と。(笑)

この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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