初心者のグリップについて
グリップについて論じることは、実は非常に難しいと私は感じています。
野球やゴルフの様に
「このグリップが基本。一流選手も初心者もこれに倣いなさい」
という明確な基準が卓球にはないのではないかと、私は考えているのです。
とても個性的なグリップで世界チャンピオンになった一流選手が過去にいました。
では初心者もその選手のグリップを真似れば良いかというと、決してそうではありません。
グリップ一つとっても様々な意見があるのが卓球だと私は思っています。
そんなグリップ論は別の機会に譲るとして、今号では「初心者が押さえて置いた方が良いと思われるグリップの基本的なポイント」を述べます。
グリップの種類(シェークハンド)
シェークハンドのグリップには、以下の3種類があります。
1.標準的なグリップ
2.クローズドグリップ(ややフォア偏重)
3.オープングリップ(ややバック偏重)
ラケットを立てて持って、そのまま腕を前に伸ばした時に、一直線になるのが標準的なグリップ(以下、標準グリップ)です。
先端が内側を向いていればクローズド、先端が外側をむいていればオープンです。
クローズドはややフォアの技術に偏っている選手のグリップで、オープンはバックです。
ざっくりと「そういう傾向がある」と、大雑把に捉えてもらえれば良いです。
現代卓球はフォアもバックも振る必要があるので、お勧めは標準グリップです。
握り方は、小指・薬指・中指の3指で柄をしっかりと握ります。
この3指の腹で持つ様にし、力の入れ方は小指が一番強く続いて薬指・中指の順です。
親指と人差し指は軽く添える程度です。
この握りを基本とし、バックを振る時は親指を立て(サムアップと言います)、バック面の抑えが効くようにします。
フォアを振る時は、これとは逆に人差し指をやや立ててフォア面の抑えを効かせます。
親指と人差し指の間の部分は、ラケット面に深く密着し過ぎず、かと言って浅すぎもせず軽く触れる程度が良いでしょう。
これで手首を利かせやすくなります。
ペンホルダーのグリップ
まず表面ですが、親指は指の腹で押さえ、人差し指は第二関節が当たる様に引っ掛けます。
裏面は中指・薬指・小指を揃え、中指の腹の側面で押さえる様にします。
この3指を伸ばすグリップもありますが、フォア・バックの切り替えをスムーズにするためにやや曲げた形が良いでしょう。
力を入れずラケットを振り落とさない程度に軽く握るのがポイントです。
ラケットを取り去ると、優しく玉子を握っている様な形が良い形です。
やってはいけないのが、裏面の3指を開いて握ることです。
フォアを打つ時に非常に抑えが利くのですが、このグリップのままではバック系の角度が出ません。
極端なフォア偏重のグリップだと言えます。
バック系技術を使う時に切り替えるとしても、かなり大きく握り直さなくてはならず、ラリー中にどうしても無理が生じます。
万能なグリップはない
1種類のグリップで全ての技術をこなせるような、いわゆる「万能なグリップ」はありません。
ある技術がやり易いグリップがあったとしても、別の技術にはかえってやり難いということがよくあります。
特定の技術だけをピックアップして練習すると、知らず知らずのうちにグリップがその技術をやり易いものに固まってしまう危険性があります。
ですから、そうならないためにも、色々な技術をバランスよく練習するのが良いと思います。
グリップの考え方
私の考え方はこうです。
・まずオーソドックスなグリップを覚える
・サーブを除き、極端なグリップチェンジをせずに瞬時に切り替えられる程度にする
・グリップが固定しない様に、色々な技術をバランスよく練習する
サーブは自分の間合いで出せるので、比較的に時間の余裕があり、3球目までにグリップチェンジ出来ます。
フィンガーワークを使って、状況に応じてスムーズに切り替えられるのが理想のグリップと言えるでしょう。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)