【卓球ルール】サーブのトスについて
卓球のルールで一番細かく言われるのが「サーブ」に関するルールです。
攻撃の第一球と位置付けられるサーブは、歴史的に見て中国が一番研究が進んでいました。おそらく今も世界のトップです。
今号では、サーブのルールを復習し、特にトスについて掘り下げ、選手として気を付けたいことを述べていきます。
サーブに関するルール
最初に、卓球のサーブに関するルールについて、ざっとおさらいしましょう。
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サーブを行う選手(サーバー)は、フリーハンド(ラケットを持っている腕[ラケットハンド]とは逆側の腕)の手のひらを開き、平らにする。
手のひらの棚どころ(中央のくぼみ)にボールを乗せ、静止させる。この状態からサーブは開始される。
サーバーは、ボールに回転を与えることなく、フリーハンドの手のひらからボールを16センチ以上、ほぼ垂直に投げ上げなければならない。
また、ボールはラケットによって打たれる(打球)されるまで、何にも触れてはいけない。
ボールは、必ず落下する途中で打球する。
サーブが開始されてから、ボールが打たれるまでの間、ボールは常にプレーイングサーフェイス(卓球台の上面)よりも高い位置、なおかつサーバー側のエンドライン(卓球台の長方形における、短い方の辺)より後方になければならない。
サーブ開始から打球までの間、サーバーまたはダブルスのパートナーの体全体や体の一部、あるいは着用しているユニフォームなどで、ボールをレシーバー(相手競技者)から隠してはならない。
(以下、省略)
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トスのスタート地点
テニス・バドミントン・バレーボールなどネットを挟んで行うスポーツはありますが、卓球には特徴があります。
それは、卓球台を使うということです。
他のスポーツはおそらく無いと思われますが、卓球にはトスのスタート地点に関するルールがあるのです。
先のルールで挙げた通りですが、トスの位置は、卓球台より上でかつエンドラインよりも後方にしなくてはなりません。
そして、サーブの構えに入ってからインパクトするまで、常にこの位置にボールが無くてはいけません。
また、レシーバーにボールが見えていなくてはなりません。
よくあることは、ボールを投げ上げる時に反動を付けようとして台の下に手が行ってしまうことです。気を付けたい点です。
トスの投げ上げる方向
ルールでは「ほぼ垂直」とありますが、これがとても曖昧な印象を受けます。
以前のルールでは垂直方向に対して、45度以内というものがありましたが、廃止になりました。
考えてみれば、審判は目視で判断しますので、それをどうやって計測するのかという問題があります。
そう考えると所詮無理があるルールだったのでしょう。
我らが日本のエースの伊藤美誠選手のサーブをビデオでよく見てみました。
構えた時のボールの位置はセンターラインにあったのですが、頭の上まで投げ上げた後、打球する時は伊藤選手のややバック寄り(バックサイドとセンターの中間)でした。
色々なサーブのうちの一部がそうでした。つまり「真上」ではないということです。彼女のトスは放物線を描いているのです。
もし仮に伊藤選手が同じサーブのトスをもっと高く投げ上げていれば、打球点はますますバック寄りになるということです。
こうなると、ほぼ垂直と言えるのか?という疑問が湧きますが、答えは「言える」です。その理由は後で述べます。
サーブを構えた位置と実際の打球点がずれても、その差異を咎める様なルールは現行のルールにはありません。
将来的に、規定するルールが出来るかも知れませんが、その可能性は低いと思います。
何故なら、そのことでレシーバーが極端に不利になることは考えにくいからです。
ですから、今のところ、打球点の位置の事は気にせずにサーブを出していて良いのです。
トスのどこで打球するか
ルールでは「必ず落下する途中で打球される」とあります。
これも、とても曖昧な表現です。
投げ上げたボールは頂点を過ぎて、落下を開始します。
もし落下開始直後を打球した場合、どうなるでしょうか。
本当に落下開始直後ならば、ルール上はセーフですが、それが放物線の頂点や頂点前でないと言い切れるでしょうか。
よほど目の肥えた審判でない限り、見極めるのは非常に難しいでしょう。
実際の国際試合で、この点を廻って大問題にまで発展したケースもあるのです。
フェアプレーを目指すのであれば、落下開始直後など狙わず、誰の目にも明らかに落下している所を打球するのが良いでしょう。
ただ対戦相手にやられるケースもあるので、こういう事もあると知っておくことは大切だと思います。
何故この様なルールが制定されたか
ほぼ垂直に投げ上げるルールも、落下する途中で打球するルールも、全ては「ぶっつけサーブ」を阻止するために作られたものです。
「ぶっつけサーブ」とは、ボールをラケットにぶつける様にして出すサーブの事で、ラバーのスポンジに食い込ませるので回転が強烈に掛かるのです。
これはルールで禁止されました。
おそらく競技としての卓球の発展を阻害するものと判断されたからでしょう。
先の伊藤選手のサーブの例の様に、「ほぼ垂直」かどうかは問題ではなく、「ぶっつけサーブ」の温床になっていないかが問題なのです。
伊藤選手の投げ上げサーブは、「ぶっつけサーブ」とはほど遠いものなので全く問題ないのです。
選手として気を付けたい点
以上、述べてきました通り、サーブには細かい規定があることが分かって頂けたと思います。
サーブを出す時に卓球選手として特に気を付けたい点は、以下の3点です。
1.サーブの構えからインパクトまでは、台よりも上でかつエンドラインより後方になくてはならない。
2.サーブの構えからインパクトまでは、常にレシーバーにボールが見えていなくてはならない。隠してはならない。
3.トスはほぼ垂直に投げ上げ、ボールが落下しているところを打球する。
勝つために反則すれすれを追求するのも良いですが、フェアプレーの精神で正々堂々と戦いたいものです。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)