トップ選手も使っているサイドスピンブロックとは
サイドスピンブロックは、ブロックの応用技術で、相手のボールに対して横回転を掛けていくやり方です。
サイドスピンブロックの使い手と聞いて、あなたはどの選手を思い浮かべますか?
私は、
- 松平健太選手
- 丹羽孝希選手
です。
両選手の代表的な技術と言えるサイドスピンブロックについて、今号は解説していきます。
サイドスピンブロックの種類
サイドスピンブロックは、大きく分けて2通りあります。
1つは、左横回転系を掛けるやり方です。
上から見た時に、半時計回りの回転を掛けるやり方です。
松平健太選手のサイドスピンブロックが、これに相当します。
もう1つはその逆の右横回転系を掛けるやり方で、上から見た時に時計回りの回転を掛けます。
丹羽孝希選手のサイドスピンブロックがこれに相当するのですが、丹羽選手は左利きなので、左横回転系になります。
回転は逆になりますが、やり方やコツは右利き選手でも変わりません。
そして、それぞれのやり方に、
- 横上系
- 横下系
の、2種類の回転があるのです。
では、それぞれを見て行きましょう。
松平健太選手のサイドスピンブロック
松平健太選手も丹羽孝希選手も、通常のバックブロックがとても上手です。
その上手な通常のブロックの中に、このサイドスピンブロックを混ぜるので、相手のリズムを絶妙に狂わしています。
サイドスピンブロックは、回転重視で通常のブロックよりかなり遅く飛びます。
松平選手の場合は、ラケットヘッドを立てて、松平選手から見て左から右へラケットを移動させて行っています。
時計の針で言うと、12時から3時くらいです。
右利き同士のバッククロスのラリー中にこの技術を使ってストレートに送ると、相手のフォア側へ逃げていく感じです。
打点はバウンド直後で、頂点前(2番)です。
ドライブ回転方向を外して、ボールを薄く捉え、ラケットヘッドを立て左横回転を掛けていきます。
通常のブロックは身体の正面で捉えますが、サイドスピンブロックは、ややミドル寄りで捉えます。
松平選手もこの位置に来た時に、あるいは自分でその位置に来るように調整して、サイドスピンブロックをすると言ってます。
実は、この位置はシェークハンドの泣き所で、通常のブロックはやりにくい位置なのです。
自分にとって処理しにくいボールを、逆に相手にとってやりにくいボールにして返すという、なんとも味のある技術です。
通常の打ち方は、ラケットを左から右に動かし回転を掛けながらリリースするので、横上回転系になります。
さらにリリースを遅らせて、ボールをラバーに食い込ませたまま右斜め前方までラケットヘッドを回すと、横下回転系を出すことが出来ます。
高等技術ですが、松平選手はこの2種類を使い分けています。
なんというセンスの持ち主でしょうか!
この技術の効果は、
- 相手を大きく動かすことが出来る。
- 次に打たれるコースを限定出来る。
- 相手のリズムを狂わすことが出来る。
の3点です。
右利き同士でバックストレートに送ると、相手のフォアへ逃げていきますので、相手を大きく動かすことが出来るわけです。
その体勢からストレートはまず来ないので、フォア側半分のコースにヤマを張っておいて問題ないでしょう。
ドライブ系の速いラリーから一転、自分のフォアへ逃げるゆっくりとしたボールが来るので、打たれた方は慎重に持ち上げざるを得ません。
これで、大いに攻撃のリズムが狂います。
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丹羽孝希選手のサイドスピンブロック
丹羽孝希選手のサイドスピンブロックは、横下系の回転です。
それも、下回転の強い横下系が中心です。
丹羽選手の試合の解説者は、その切れ味からカットブロックと表現することが多いです。
相手選手は、持ち上げるのがやっとです。
それほど、下回転が強いのです。
しかし、ラケットの動きは丹羽選手から見て左から右に動くので、サイドスピンブロックの一種と言えます。
以下、丹羽選手は左利きですので、左右が逆の解説になります。
右利きの選手の人は、左と右を置き替えてお読みくださいね。
打点は松平健太選手の場合と同じく、バウンド直後で頂点前(2番)です。
通常のブロック時の様に、身体の正面でなく丹羽選手の右腰前でボールを捉えます。
相手の回転の影響を受けないように回転方向を外し(真後ろからやや右側を捉える)、ボールを薄く捉え、丹羽選手から見て左から右へラケットを動かします。
松平健太選手の時の様に、ラケットヘッドは立てません。
通常のブロックと同じです。
ボールにラケットが当たる瞬間には、ラケット角度は台に対してほぼ垂直で、回転を掛けながら右斜め前方に押し出すイメージです。
振り終わりのラケット角度は、やや上向きでニュートラルの高さから右下方向に押し込みます(横下回転を掛ける)。
丹羽選手の場合、その反動で振り終わりにラケットハンドが跳ね上がります。
サイドスピンブロックのコツ
どのボールに対して、サイドスピンブロックを仕掛けていくか。
これが、最大のコツになります。
やみくもにサイドスピンブロックをしても、うまく行きません。
使いどころがあるわけです。
松平健太選手の場合は、
- 左利きのフォアドライブ系のボール
- 右利きのバックドライブ系のボール
を狙って行くそうです。
これらのボールの共通した特徴は、松平健太選手のバック側に曲がって行くことが多いことです。
ボールの回転に逆らう形ですが、松平健太選手にとってはこのボールの方がかえってやり易いということです。
丹羽選手の場合は、相手に飛びつかせるか詰まらせるなどして、無理な体勢でドライブを打たせた後のボールを狙っている様に見えます。
高速ラリーで相手を動かし、無理な体勢で繋いできたところにサイドスピンブロックを仕掛けます。
成功すれば、かなり相手の態勢が崩れます。
両選手とも技術が上手いのはもちろんなのですが、使いどころが上手いので効果が高いのです。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)