【OBUコーチ】カットマンが試合の時に意識するポイント

OBUコーチ

カットマンが、試合の時に意識するポイントはいくつかあります。

  • 試合直前
  • 試合中
  • 試合直後

のそれぞれについて意識するポイントをまとめました。

試合直前には覚悟を決める

カットマンと言う戦型に限った話ではないのですが、試合に向かう時は自分なりの覚悟を決めて臨むと良いです。

その試合に向けて練習を充分やり込んだ人は、「練習で培った成果を存分に出すのだ」と自分自身に言い聞かせましょう。

何らかの理由で練習が不充分だった人も、その現実を素直に受け入れた上で、

「練習は不充分かも知れないが、現時点の自分の実力で戦おう。やれるだけやってみよう」

と心を決めましょう。

もう試合直前なので、じたばたしても始まりません。

「現時点の自分の実力でどこまで出来るか。一球一球大切に自分のベストを尽くそう」

と覚悟を決めることです。

試合直前にやるルーティンとして、非常に大切なことだと私は思います。

試合になれば勝利を目指して頑張るのですが、「試合も練習の一部」だと考えることができます。

試合に勝利することは良いことです。

自分に自信が付きますので、それを糧にもっと前進すれば良いのです。

試合に負けても、どこが悪かったのかを学び賢くなれば、それは単なる「負け」ではなくなります。

試合を通じて、成長することを目指しましょう。

事前に対戦相手の情報を入手する

もし対戦相手が事前に分かるのであれば、その相手の特徴を頭にインプットしておくことをお勧めします。

対戦しそうな相手の今日の試合をよく観戦して、

  • 調子の良し悪し
  • 得意技
  • 試合でのクセ

をよく見ておきましょう。

出来れば、カットマンと対戦している試合が観れればベストです。

カットマンに対する攻め方が分かるからです。

相手の試合で見て欲しいのは、特にサービス・レシーブです。

  • どんなサービスを出して3球目攻撃をするのか
  • 縦回転系なのか、横回転系なのか
    (対攻撃マンと対カットマンではサービスを変えてくるかも知れません)

相手のサービスを見ながら、実際にそれを受けたときの自分のレシーブを想定します。

相手のレシーブを見る時は、ずばり、どこが下手(苦手)なのか、です。

どんな選手も、苦手なレシーブがあるはずです。

あるいは、苦手なレシーブの組合せがあるものです。(例えば、フォア前とバック深くとか)

  • やりにくそうにレシーブしているな
  • このコースは先ほどからミスが多いな

と見えるところが相手の弱点です。

そして、自分ならばどう攻めるかを考えます。

この様に事前に相手の情報を入手して、あらかじめ作戦を立てておくわけです。

戦型別攻め方のセオリー(定石)

相手の試合が事前に観れない場合は、戦型だけでも情報を仕入れておきます。

戦型に共通な「苦手なレシーブコース」というものがあり、そこを中心に攻めます。

例えば、

  • ペンドラなどフォアハンド偏重の攻撃型
     =>フォア前がレシーブ位置から一番遠く苦手な場合が多い。ただしフリックに気をつける。
  • 両ハンド攻撃型
     =>両ハンドで待つことが多いので、どちらか迷うミドル前がやや苦手であることが多い。
  • ペン表ソフト
     =>台上が上手いので、フォア深くなど長いサービスが苦手なことが多い。
  • 左利き
     =>フォアサイドを切って出す右横下回転サービス(左殺しサービス)が有効。
  • カットマン
     =>裏ソフト面を中心に変化サービスを出す。時折、異質面にスピードロングサービスで攻める。ナックルが有効。自分(カットマン)が嫌なことをやる。

です。

以上が、戦型別戦い方のセオリー(定石)です。

「~を中心に攻める」というのがポイントで、そこを攻めるぞと見せかけて、手薄になった別のコースを攻めるのです。

そうして、相手の意識を散らしておいて、また弱点を攻めるのです。

戦型別の攻め方のセオリーを覚えておき、対戦相手の試合を観ることが出来ない時に、これを使って試してみるのです。

相手も自分の弱点は分かっていて、練習で強化しているかも知れません。

試合の中で試しながら、何が効いているのかを洞察し、自分が立てた作戦を修正して行きましょう。

自分のレシーブを意識する

試合が始まったら、カットマンが最初に意識するポイントは「(自分の)レシーブ」です。

相手に、サービスエースを取られ続けるのが一番苦しい展開です。

その最悪の試合展開を避けるのが、目的です。

ツッツキ(カット)レシーブが中心になりますので、足を使ってリズムを取ります。

レシーブでは、フットワークが非常に重要です。

細かく足を動かして行きましょう。

サービスの

  • モーション
  • バックスイング
  • トスの高さ

などから相手のクセを読み取り、回転を見極めます。

余裕を持ってレシーブ出来れば、相手の3球目攻撃にもしっかり対応でき、万全の態勢で迎え撃つことが出来ます。

慣れてくれば、ここに回転・コース・長短の変化を加えて相手を翻弄します。

ポイントリードの時は、サービスを読んでレシーブから積極的に攻撃するのも良いです。

台からの距離

試合も進み、お互いの球質に慣れてくる中盤戦からが本当の試合です。

カット対ドライブのラリーも、何回か出てくる頃です。

ここで意識すべきポイントは、「台からの距離」です。

相手の強打を警戒して、後ろに下がり過ぎないことです。

実際は、それほど飛んで来ない相手のドライブに対して、カットの打球点はどうしても低くなるし、体勢も前のめりになりがちです。

カットも、掬う様なスイングになりがちで、その結果カットが浮いてしまいます。

相手の強打を恐れず、最適の位置まで前へ出て、打球点の高いカットを心掛けたいところです。

前陣でカットすることが出来れば、カットでチャンスを作り、積極的に攻撃していきましょう。

台からの距離が合っているかどうかは、自分ではよく分からない場合があります。

ベンチと協力して、自分を客観視しましょう。

カットの深さ

台からの距離と併せて意識すべきポイントは、「カットの深さ」です。

気持ちに焦りがあると肩に力が入り、身体全体でカットしている様に見えて、実は腕だけでカットしている場合が多くあります。

カットが浅く入っているのは、こういう時です。

この点も、自分では分からないことが多いです。

だからこそ、意識しなくてはならないのです。

この打ち方だと深く入る場合もありますが、戻りも遅く、ぎこちなく見えて、カットプレー全体のリズムが良くなりません。

カットが浅く入る時は、一球は返せても2本、3本と続くうちに、だんだんラリーが速くなってくるものです。

カットマンとしては、リズム的にだんだん苦しくなって来てしまいます。

ですので、こちらのリズムにするためにも、身体を上手く使ってカットを深く送るべきなのです。

カットを深く送るポイントは、

  • フットワークをよく使い、ベストポジションまで身体を運ぶ。
  • 肩の力を抜き、ラケットの重さを感じながら、カットのスイングを振り切る。この時「押し」を意識し、遠くへ飛ばすことを心掛ける。
  • インパクトの時はソフトタッチを心掛け、インパクトの瞬間だけ力を入れる。
  • 上半身をリラックスさせる。(特に肩、手首、グリップ)
  • コンパクトでも良いので、体重移動はしっかり行う様にする。

です。

普段の練習でも常々心掛けておき、試合でも普通に出来るようになることを目指しましょう。

相手の心理状態を読む

試合の最中にずっと意識すべきポイントは、「相手の心理状態を読む」ことです。

インサイドワークの1つで、洞察力が必要になってきます。

  • 相手の目
  • 表情
  • 仕草

から、相手が今どんな心理状態なのかを読みます。

序盤・中盤・終盤と試合は進みますが、刻々と状況が変わると共に自分の心理状態が変化します。

それは相手も同じなのです。

  • 慎重に様子を見に来ているのか
  • 強気に攻めようとしているのか
  • ミスをして「しまった」と思っているのか
  • 何か作戦を変えようとしているのか
  • 最後の勝負に出ようとしているのか

等々。

ラリー直後の相手の様子を観ながら、

「君は今こんな気持ちになっているのではないか?」

と心の中で問い掛けてみるのです。

これが出来るようになるためには、自分の心を空にすることが出来なくてはなりません。

自分の心がざわついている時には、相手の心理状態を観ることは難しいです。

己を虚しくする心境は、試合会場でいきなり作れるものではありません。

日常生活の中で鍛えておく必要があります。

相手の心理状態を読めると、だんだん相手のやろうとしていることが分かってきます。

そうなれば、もう怖いものなしです。

やってくることに対して、きっちり対処すれば良いのです。

逆に、相手にこちらの心理を読ませてはいけません。

どんな時でも涼しい顔をしておきましょう。

試合直後には自己反省会をする

試合が終わりました。

何らかの勝敗がつきます。

試合は勝つ時もあれば敗ける時もあります。

まず、あなたがすることは、

「相手を称えること」

です。

ラグビーで言う、ノーサイド。

試合は終わったので、敵も味方もないです。

良い試合が出来た時は、こちらも相手も精一杯戦った時です。

勝敗は単なる結果に過ぎません。

あなたが良いパフォーマンスが出来たのは、好敵手の相手がいたからではありませんか?

今はコロナ禍で握手は出来ませんが、心を込めて「ありがとうございました」と言うことは出来ますよね。

まずはあなたの方から、感謝の意を相手に伝えましょう。

最初に述べましたが、試合を通じて成長することが試合の目的です。

それを忘れてはいけません。

ベンチに戻ったら、もう1つ、すぐにやるべきことがあります。

それは「自己反省会」です。

  • この試合で何が良かったのかを3点
  • この試合で何が悪かったのかを3点

1分以内に自分の中でまとめます。(箇条書きで、かつ短文で)

勝てば嬉しいし、敗ければ悔しいです。

それは自然な感情ですので、素直に感じれば良いと思います。

ただ、喜び過ぎたり悲しみ過ぎて、落ち込んだりしないことです。

勝った時は少しだけ微笑んで喜び、負けて落ち込んだ時もそんな様子は見せず、静かに次の一歩を踏み出すのが、真のアスリートの姿ではないでしょうか。

卓球ニッポンの偉大な選手の一人である木村興治選手は、全日本選手権で優勝した翌日に何事もなかったかのように淡々と普通に練習していたそうです。

そういう姿勢を私は見習いたいと思います。

この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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