【OBUコーチ】カットマンは絶対知っておきたい”切るカット”の切り方とは?

OBUコーチ カット

カットマンのカットは、回転のよく掛かった「切るカット」があってはじめて活きてきます。

切るカットがないと、対戦相手はそれほど怖さを感じません。

プラスチックボールになってカットが切りにくくなったとは言え、切るカットの重要性は変わりません。

カットを切るには、やはりコツがあります。

ここでは、私が経験して体得してきたことを中心に述べたいと思います。

なかなか切るカットが覚えられないという人は、他の色々な情報と併せて試行錯誤しながら、試してもらえると有難いです。

一番のコツ

それは、「力を抜く」ことです。

簡単に聞こえますが、実は実行するのには最も難しい技術です。

特に、

  • グリップ
  • 手首

の力を抜きます。

インパクトの瞬間だけ力を入れて、後は全て力を抜きます。(そのイメージを持つだけでも違います)

肩や腕の力も抜くのですが、バックスイング時にラケットを振り上げるので、ここは力が要ります。

理想は、ラケットの重みを感じながら、重力に任せてストンと振り切ることです。

この時のボールタッチですが、ラケットの先端を上に挙げて手首から床に向かって振り下ろします。

ガツンとラバーに食い込ますのではなく、優しく撫で切る様にインパクトします。

ラケットスイングは一直線ではなく、軽くSの字を描きます。

カットを切る時の打球点

大きく、以下の2通りがあります。

  1. 3番(バウンドの頂点)付近を捉えて、上から下へ抑え込む様にスイングする。
  2. 4番(下降前期~中期)以降を捉えて、相手コートへ飛ばす様にスイングする。
    どちらかと言うとすくうイメージです。

私は、1を採用することは殆どありません。(戦術の幅は広がるかも知れませんが)

この打球点の時は、ほぼ攻撃をしています。

従って、2が多いです。

ボールのどこを捉えるか

これも、2通りあります。

  1. ボールのやや外側を捉える。
  2. ボールのやや内側を捉える。

1の場合、クロスへカットを送るとフォアバック共に外側へ逃げていくので、相手を動かす効果が期待出来ます。

私は、2の方がイメージが湧いたので、内側を捉えて切っています。

どちらでも、やり易い方で良いと思います。

どちらも、相手コートで微妙に変化します。

いずれにせよ、相手の回転の軸をずらしてボールを捉えて回転の影響を受けないようにする狙いがあります。

切るカットの使い方、考え方

上記で紹介した「力を抜いて切るカット」は、私のキャリアの中ではベテランになってから覚えた技術でした。

実は、若い頃はもっと力任せにスイングし、自分から切りに行っていました。

当時はセルロイド製のボールでしたし、このやり方でも良かったのかも知れません。

当然、相手にはカットを切ったことを容易に悟られてしまうのですが、「持ち上げられるものなら、やってみろ」と挑戦状を叩きつける気持ちだったのです。

プラスチック製になった現在では、このやり方は得策ではないでしょう。

理由は、

  • セルロイド製に比べると切れ味が悪い。
  • 最初は効いても慣れられる可能性が高い。
  • 卓球は回転量を競う競技ではない。

からです。

話は少し逸れますが、コロナ禍になる前に、私は全日本選手権を大阪に観に行きました。

日本のトップのカットマンのプレーを観るのが目的でしたが、男子の場合ランク決定かその前の試合で全員が敗れていました。

特に異質ラバーを使っている選手が、そのカットを攻撃型に狙われて強打されていました。

以前は効いたであろう異質面のカットが、レベルが高い攻撃マンにはチャンスボールの様にいとも簡単に打ち抜かれていたのです。

私にとっては、とても衝撃的なシーンでした。

ここで学んだのは、「切るカット単体では得点に結びつかない」ということです。

ナックルからブチ切れまで、カットの回転の「変化の幅」と呼ぶことにします。

プラスチック製になって、変化の幅は狭くなりました。

その分、相手に対応されやすくなったと言えます。

相手の技量がこちらの変化の幅の中に収まるのであれば、相手の技量以上の回転を出せれば、相手は返球出来ません。

切れたカットをネットミスし、相乗効果でナックルカットをオーバーミスすることが期待出来ます。

しかし、自分よりレベルが上の選手と対戦すると、相手の技量の方がこちらの変化の幅を上回ることが多いです。

こうなると、なかなかミスしてくれません。

では、こちらとしてはどうするのか。

こちらの変化の幅の中に、相手の方を引きずり込むのです。

相手の予測を少しだけ上回る様に、回転の変化を付けるのです。

相手としては、

  • 思ったよりもカットが切れていなかった。(のでオーバーミスした、あるいは、ストップが浮いた)
  • 思ったよりもカットが切れていた。(のでネットミスした)

状態になります。

そのためには、こちらがカットの回転を自在に操れる技術を持つことです。

それと併せて、観察力と洞察力を高めて、刻々と変化する相手の心理状態を読む力をつけることです。

例えば、

  • ナックルカットをオーバーミスした。
  • 相手はオーバーミスをしないため、力加減をしながらスイングしてくるはず。
  • ナックルカットの振りをして、少し切れたカットを送る。
  • その結果、ネットミスした。
  • 切れたカットをスマッシュされた。
  • 相手は次球も同じ様な展開でスマッシュをするはず。
  • 今度同じ展開になった時に、切る振りをしてナックルカットを送る。
  • その結果、オーバーミスした。

等です。

ポイントは、切る切らないの変化をスイングで相手に悟られない様にすることです。

こちらの変化の幅が以前ほど大きくなくても、うまく相手を引きずり込めば以前と同じ効果を狙えるのです。

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この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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