【OBUコーチ】カットマンがカットを打つ時に覚えておきたいコツ

OBUコーチ カット

カットマンがカットを打つ時(以下、カットする時)に、覚えておきたいコツ、つまり意識しておくポイントについてお話しします。

  • 初心者カットマンがカットを覚える段階で気を付けること
  • カットマンの経験者が久しぶりの練習でカットをする時、見落としやすいこと
  • 練習を継続しているカットマンがカットのレベルを上げるために気を付けること

実はこれらの3つは共通しています。

通常、卓球技術のレベルが上がれば、気を付けるポイントも違うのではないか、と考えるものですが、実は同じものです。

レベルが違うだけで意識するポイントは同じというのが、面白いところです。

是非これらのポイントを意識して、カットの精度を上げて行きましょう。

手打ちになっていないか

初心者カットマンに最もありがちなのが、この「手打ち」です。

手打ちとは、腕だけでカットすることです。

手打ちになると、カットが安定しません。

つまり、たまに良いカットが入る反面、

  • 切れたり切れなかったり
  • 深く入ったり浅く入ったり
  • オーバーミスやネットミス

を繰り返します。

理想は、一定の

  • 深さ
  • 高さ
  • 切れ

カットを安定して送球できることです。

そのためには、身体全体を使うことです。

しかし、この「身体全体」を使うのは、言うは易し、行うは難しなのです。

言葉通り身体全体を使うと、フォームが大袈裟で大きくなり、とても間に合いません。

コンパクトに身体を使い、インパクトに力を集中する様に心掛けましょう。

インパクトの瞬間にカットの全てが決まる

この前提を忘れないようにしましょう。

手打ちになっている初心者カットマンは、まずは膝とスイングを連動させることから始めると良いと思います。

膝を軽く曲げて身体を沈みこませると同時に、スイングするのです。

それが出来たら、その動作に体重移動を加えます。

インパクトに体重が乗る様にしていきます。

上手なカットマンの真似をして、どうせやるなら綺麗なフォームでカットするようにしましょう。

体重移動が出来ているか

ポイントの2つ目は、「体重移動」です。

右利きカットマンであることを前提に、

  • フォアカットは右脚から左脚へ
  • バックカットは左脚から右脚へ

打球時に体重移動をします。

こうすることでボールに体重が乗り、深いカットを送ることが出来ます。

打球後は、すぐにニュートラルに戻ります。

カットの時間的に余裕がある時には、必ずこれをやるようにします。

もちろんフォアにスマッシュを打たれて飛びついてカットする時や、不意にミドルを突かれて身体を開いてカットする時などは、この限りではありません。

ボールをよく引き付けて、打球時に体重移動しながらカットします。

身体全体でカットを送るイメージです。

カットが低く入っているか

切れた良いカットが出来ても、ネットの上を高く飛んで入ったらスマッシュされます。

ネットの白線より10㎝以内を目標に、低いカットを目指しましょう。

ネットの白線をめがけてカットすると、ちょうど良い高さでボールが飛びます。

カットが深く入っているか

カットマン経験者が自分のカットを点検する時に、一番見落としがちなのが、この「カットが深く入っているか」なのです。

軽視されがちなポイントでもあるのですが、実はとても重要です。

浅いカットは、相手に踏み込んで打たれるので、威力のあるドライブを受けやすいのです。

また、左右に打ち分けられた時に、カットする側の動く範囲が広くなります。

逆にカットを深く送れば、左右に打ち分ける角度が狭まり、カットする側の動く範囲は狭くなるので、カットマンはそれだけ有利です。

また、カットを深く送れば、カットで相手を押すことが出来ます。

相手が反り返って打つ(後退しながら打つ)様になれば、深く入っている証拠です。

反り返って打つボールは、威力がありません。

そうなると、カットマンとしては怖くないわけです。

但し、カットという打法はそれだけでは得点能力が低く、いくらカットを深く入れても得点には繋がりにくいことも肝に銘じておくべきです。

「深くて威力のあるカットを何本でも相手に送るのだ」という強い意志が大切です。

カットのスイングを振り切っているか

カットのスイングを途中で止めて、自分の打球を目で追っていないでしょうか。

これも、カットマンによくありがちな落とし穴です。

腕だけでカットをコントロールしようとしている時に、このようになります。

相手の威力あるドライブの勢いを吸収するためには、腕だけでは限界があります。

ラケットを上から下に抉る(えぐる)様なスイングを心掛けると、自然にラケットが振り切れる様になります。

また、このスイングが出来るようになると、身体全体でボールを抑えられ、良いカットが出来ます。

ニュートラルに戻り易く、カットにリズムが出て、次の球に備えやすくなります。

カットに良い循環が生まれて、良い事尽くめなのです。

女子のカットマンに、こういうスイングをしているタイプが多いので、参考にしてください。

橋本帆乃香選手や小塩遥菜選手のカットが、よく振り切れていると思います。

相手の打球の力を利用しているか

相手の打球の力を利用してカットするには、まず自分の力を抜くことが大切です。

特に、肩の力を抜くことが重要です。

「ボールとケンカしないでカットする」

とは、羽佳純子コーチの名言ですが、私もこの言葉を常に意識しています。

カットする時に、ボールに対してラケットを強く当て過ぎないということです。

「撫でる様に切る」と良いカットが出ます。

ボールを「飛ばす」感覚を磨きカットのコントロールを良くする

カットのコントロールをつけるためには、カットしてボールを「飛ばす」感覚を磨く必要があります。

フォアハンドがやり易いので、フォアハンドを使って次のことを行います。

  1. 3~4mくらい先の相手に対して、相手の胸をめがけて下回転を掛けながらボールを飛ばします。
  2. ちょうど、カットサービスを出すようにラケットを振ります。
  3. 相手がキャッチしやすい胸の高さ辺りに、ボールが行くようにコントロールします。

これが「下回転を掛けてボールを飛ばす」感覚です。

この時、ボールの飛び方をよく観察すると、ボールがスーッとホップして飛び、最後にストンと落ちるのが分かります。

これが、カットボールの軌道です。

自分の狙った場所にカットが送れるようになるためにも、この感じを掴みましょう。

球拾いなどで遠くの相手にボールを渡す時、この方法をやって感覚を磨きましょう。(球拾いの返球も、練習の1つなのです)

戻り、リズム、全体感

  • カットを振り切ると「戻り」が良くなります。
  • プレー全体に「リズム感」が出ます。
  • カットの「全体感」が良くなります。

それを支えているものは、フットワークです。

「全体感」というのは私OBUの造語ですが、個々の技術の未熟さを補うものがあります。

ですので初心者のうちから、フットワークを使った技の連携を練習してカットプレーの「全体感」を覚えるべきです。

カットプレーというのは、実はすべてが連動しているもので、

「リズムよくフットワークを使ってカットする」

ことを心掛けていると、不思議と全体的に良くなってくるものです。

この状態を意識的に作り、この良いリズムの中で課題(「カットを低く入れる」とか「カットを深く送る」など)に取り組むと、簡単にクリア出来る様です。

この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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