卓球の試合で見かけるエッジボールとは
台の角に当たって入るボールの事を、エッジボールと言います。
エッジボールは、入れられた方としてはほぼ返球することは出来ません。
エッジボールは大変取りにくいのですが、バウンドによってはそれさえも返球する一流選手もいます。
すごい反射神経ですね!
またエッジボールは、
- 入れた方はラッキー(幸運)
- 入れられた方はアンラッキー(不運)
と単純に捉えがちです、
しかし、エッジボールの世界は、単純に運・不運の問題だけではないようです。
卓球選手なら、誰もが経験するエッジボール。
今号では、エッジボールについて色々考えてみたいと思います。
エッジボールの見分け方
エッジボールとサイド(台の側面)に当たったボールは、見分けがつきにくいものです。
エッジボールは、得点として認められます。
サイドは認められません。
最終的には主審が判断するのですが、審判任せにするのではなく自分の目で見極めたいものです。
分かり易い方法は、ボールの軌道の変化を追うことです。
エッジでもサイドでも、ボールの軌道は変化します。
しかし、その変化が違います。
台に当たった瞬間、床に向かう方向とは違う方向に向かうのがエッジボールです。
床に向かって落ちて行く時に、少し軌道が変わっただけでそのまま床に向かうのがサイドのボールです。
見慣れてくると、
- 台の端に弾かれるのがエッジ
- 台に掠るのがサイド
と分かる様になります。
ただ、最終判断は主審に任せないといけません。
エッジボールのマナー
エッジボールを出してしまった方は、そのプレーの後にまず相手に謝ります。
世界的に行われているのは、「(I’m)Sorry(ソーリー)」と言って人差し指を立てることです。
故意ではないにせよ、卓球の技術ではなく相手にとって取りにくいボールを送ってしまったからです。
ネットインの場合も同様です。
エッジボールの対処の仕方
エッジボールでポイントした方としては、前述の様に相手に謝りつつ、内心では「今の1本は自分の方にツキがあった。たまたまラッキーだったのだ」と思い、次の1本に集中することです。
エッジボールでポイントされた方としては、「今の1本は相手にツキがあっただけだ。相手はある意味最高のプレーをしたのだ。気にしない、気にしない」と気持ちをサッと切り替え、次の1本に集中することです。
どちらの場合も、早く気持ちを切り替えて次の1本に向かうのは変わりません。
これは、エッジボールで終わったラリーに限らないことです。
普段のラリーでも同じ様に言えることです。
一番いけないのは、エッジボールにせよネットインにせよ、それに拘って以降のプレーに影響が出ることです。
冷静にならないといけないと頭では分かっているのですが、エッジボールにかっかと頭にくるベテラン選手は意外に多くいます。(笑)
エッジボールが出易いとき
1試合に、1・2本エッジボールやネットインが出ることは、誰もがよく経験することです。
しかし、稀に1ゲームに3、4本出ることもあります。
3本目や4本目ともなると、試合の終盤でこのポイントを獲った方が俄然有利という局面です。
さすがに、「おいおい、またかよ」という気持ちになるのが普通です。
エッジボールやネットインが沢山出る試合は、2つの特徴があると私は思っています。
1つ目は、一流選手同士の試合でも一般の選手同士の試合でも、お互いに相手の打球にイマイチ合っていない時です。
打ちに行ったボールが入るには入ったが、どうも自分のベストの感覚ではないと感じながらプレーしている時です。
首を傾げながらプレーしている状態で、こういう時はエッジボールが良く出るものです。
お互いに打球が合っている時には、エッジボールやネットインは出ません。
もう1つは、どちらかの選手がその試合に向けて猛練習を積んできた時です。
そんな選手がエッジボールを連発するのを見て、
- 執念でねじ込んできた
- 卓球の神様が味方した
などと表現する人もいるかと思います。
確かにそういう面もあるとは思いますが、しかし、私は違う観方をしています。
その選手は猛練習を積んできているので、「多少バランスが崩れていようが、少しポイントがズレていようが、ボディワークを使って入れてしまうのではないか」と。
それがギリギリのコースや高さを狙っているので、エッジボールやネットインとなって現れてくるのではないでしょうか。
エッジボールの印象的な試合
後者の例で記憶にあるのが、2018年の世界卓球女子団体戦準決勝の日本対南北合同コリアチームの第二試合、石川佳純選手対キム・ソンイ選手の試合です。
石川選手はリオ・オリンピックのシングルス1回戦でキム選手に敗れていますので、石川選手としてはリベンジマッチでした。
試合は、最終ゲームまでもつれ込みます。
最終ゲームの10-10からキム選手のロビングがエッジに入ったり、13-12で石川選手リードの場面では、キム選手のバッククロスのドライブがネットイン・エッジで入ったりと、並みの選手なら心が折れそうになる場面が何度も石川選手を襲いました。
他にも、石川選手が上手く対応したので得点にはならなかったのですが、ツッツキのネットインなどもよくありました。
私は何回かこの試合を動画で観ていますが、最初は何故キム選手ばかりツキがあるのか不思議で仕方ありませんでした。
少しは石川選手にツキが来ても良いのではないか。
少し不公平だ!と思っていました。
しかし、そうではないのです。
私が知らないだけで、キム選手は壮絶な修練を積んできたに違いありません。
- 深いカット
- 変化の激しいバックカット
- 広い守備範囲
- 素早いフットワーク
- 大きく回り込んでも崩れない体幹
- それを支える強い下半身
などは、ちょっとやそっとの練習で身に付くものではありません。
歴史的に北朝鮮のカットマンは、鍛え抜かれている印象が強いです。
男子選手ですが、
- リ・グンサン選手
- ジャン・ソンマン選手
も、鍛え抜かれたスーパーカットマンでした。
おそらく、そういう修練の賜物が、大舞台のここぞという試合でエッジボールやネットインという形で滲み出てくるのだと思います。
キム選手は、敵ながら天晴です。
しかし、石川選手だって負けていません。
リオの敗戦以来、どれだけ自分を追い込み修羅場をくぐり抜けてきたか。
最後は、16-14で石川選手が競り勝ちました。
エッジボールを連発されても、石川選手は気持ち的に挫けませんでした。
この姿勢を、私たちはもっと見習うべきだと私は思います。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)