【戦術】卓球の「攻撃準備打」について
先日、今年最初の試合がありました。
年代別のシングルスに出場しましたが、私は課題を持って臨みました。
それは、サーブを活かしエースを取る事と積極的に攻撃する事でした。
全体を通して、まずまず課題は試せたかと自分では思っています。
しかし、新たな課題が見つかりました。
Fさんの躍進
年代別の私のクラスでは、私と同じクラブのメンバーがベスト4を占めました。
優勝したKさん、準優勝のFさん、3位のTさんと私です。
Tさん以外はみんなカットマンです。
チーム内でも1つ実力が抜きん出ているKさんが優勝したのですが、今回最も躍進したのはFさんでした。
今大会のFさんの戦術は徹底していました。
変化サーブ、変化ツッツキからの攻撃とカットの粘りでした。
準決勝のTさんとの対戦は、ゲームオールにもつれ込む大接戦でしたが、結局この2つの戦術を徹底したFさんが押し切ったのです。
決勝でもFさんの攻撃は冴え渡り、実力では格上のKさんを、あと一歩のところまで追い詰めました。
Fさんの躍進の原動力
同じチームメイトですから、試合後は試合内容について会話をします。
「今日のFさんは攻撃がよく入ったよ」
「攻撃が良かったね」
賞賛の言葉が多く聞かれましたが、私は少し違うなと感じていました。
攻撃が良かったのではなく、Fさんは攻撃の1本前、つまり攻撃準備打が良かったのです。
きちんとチャンスメークして、自分が打ち易いボールを返させてから、Fさんは決定球を打っていたのです。
準決勝の途中から決勝までのゲームを私はずっと観ていたのですが、打ちミスは1球か2球で、あとは全部入っていました。
チャンスを作って、それを待って攻撃するわけですから、確率がとても良いワケです。
お互いがやり慣れている者同士ですから、攻撃が1本で決まらないこともあります。
すると、Fさんは一度カットに戻り、もう一度チャンスを作り直して、また攻撃を仕掛けるのでした。
ある意味、ワンパターンの攻撃です。
しかしFさんは徹底的にやり続けたのです。
KさんもTさんも、チーム内でやり慣れているはずなのに、この攻撃を浴びていました。
恐らく二人とも、「分かっていても浴びてしまった」のだと思われます。
何故か。
それは試合だからです。
試合の時は練習の時とは違う意識が働くものなのです。
余談ですが、一方のFさんは、私の知る限り、試合で緊張する姿を見ることはありません。
いつも平常心で試合に臨む様に見えます。
精神力が強いとか、心の修養をしているとかそういう類では無いのです。
敢えて悪い言い方をすれば、彼は試合をなめているからです。
試合をなめている方が平常心で実力を発揮し、コツコツと真面目に取り組んできた方が緊張で本来の力が出せないなんて、なんと皮肉なことでしょうか。
しかし人生では、そういう一見不公平な事が往々にして起り得るのだと私は思います。
Fさんに学ぶ攻撃準備打
Fさんの攻撃準備打は、バック面に貼った粒高ラバーによるツッツキでした。
対戦相手は、Fさんのツッツキの変化が分かり辛く、少し浮かしてしまうのです。
Fさんは相手のツッツキが浮いてくるのを狙ってフォアハンドで回り込んでクロスにスマッシュをします。
私は準決勝でKさんに敗れたのですが、今から思うとどんなボールも打ちに行ってました。狙い球を絞って無かったのです。
狙い球を絞らずに攻撃が全て入るほど、私は攻撃が上手ではありません。
たまたま入れば良いのですが、このやり方では得点率が低くなります。
攻撃のパンチ力だけ見れば、弾む用具に変えたこともあり、私の攻撃はFさんのそれに勝ります。
しかしどんなに威力あるボールでも、入らなければ、相手は怖くありません。
私の課題は、Fさんの様にしっかりとした攻撃準備打を用意する事なのです。
刺激と気付きの多い、新春の大会となりました。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)