自分の試合を観る その3
最近の私は、出来るだけ自分の試合を動画で記録を取る様にしています。
どんな試合だった?と後から人に聞かれてどう答えるかというと、多くの人は、自分が印象に残ったことを話すと思います。
それが普通ですし、実は私もそうでした。しかし、それはとても主観的な見方です。
動画で記録を残すようにしようとしているのは、主観的な自分の印象では気付かない、客観的事実が分かるかも知れないと思ったからです。
試合の時には気付かなかった相手の弱点も見つかるかも知れません。
先日も大切な試合で、格上の相手に負けてしまいました。その時も動画で記録を残しました。
今号では、この体験をお話します。
【私のやり方】
以前のメルマガ「自分の試合を観る」の、その1とその2で、少し紹介しましたが、新たに付け加わった事もあるので、もう一度、私のやり方をご紹介します。
- 全体的なことは覚えていますが、もう一度試合全体を流して観ます。
- 次に卓球ノートに記録を付けます。ゲーム毎に、相手の得点なのか、自分の得点なのか表形式に○を付けます。その時にラリーの概要も記します。
例)相手 自分 〇 ロングSV+3球目 カットRV 〇 長いラリー ツッツキミス SVエース 〇 〇 ラリー カットミス : : - 試合の流れに影響を与えた事実も記載します。
例)隣からボールが来てレットになった。
タオルタイムが長かった。 - 最終的な得点も書きます。
- 相手のサーブ番と自分のサーブ番の間に赤線を入れ、どちらのサーブかを分かる様にします。
- これらの記録を見ながら、動画を見直します。
実は、おそらくこの方法は、プロのコーチがトップ選手に対して行っていることに近いものだと思われます。
得点・失点がどういう順番で重ねられて行くのか。(これは試合中継でもよくあります)
選手は、その局面でより良い手を打っているつもりで試合をしているが、本当に有効な手だったのか。
そういったことが分かります。
私がプロのコーチをつけることは、将来において、まずないと思います。今のところ私自身が私のコーチなのです。
【作業はなるべく早く済ませる】
試合が終わった直後は、負けた悔しさや、自分の未熟さを不甲斐なく思う気持ちなど、負の感情が心を占める割合が高いものです。
自分の負けた試合を動画で見直すことは、その感情を想起させますので、作業はさっさとなるべく早く済ませます。
負けた悔しさを持続することは、モチベーションアップに繋がりますので、ある意味大切なことではありますが、そのたびに気持ちが落ち込むのであれば、逆効果と言えるでしょう。
この作業を早く済ませると、意外にも負の気持ちが落ち着くことが分かりました。
それにも増して、自分の良い所にも目が行くようになりました。
【分析&振り返りをする】
さて、今回の試合は、格上の相手に対する挑戦でした。
過去に2回対戦しているのですが、いずれも良いところなく敗れている相手です。
結果は、-3、-10、-9のストレート負けでしたが、これまでで一番善戦しました。
得点比率は、34:22です。
相手が34本取る間に、私は22本取った、という結果です。
点数による実力差は約1.5倍です。
以前は半分も取れなかったので、実力差は2倍以上あったわけです。
そういう意味では少し近づいたと言えるところです。
残念なのは1ゲーム目は仕方ないとしても、2ゲーム目と3ゲーム目は取れるチャンスがあったのに落とした、ということです。
どちらかを取っていれば、点数による実力差はもっと縮まります。
ですので、次回の対戦の目標は「少なくとも1ゲームを取ること」となります。
さて、私の全得点の内訳はどうだったかを見てみますと、以下となります。
全22得点中、
攻撃で得点:8(35%)
カットで得点:12(55%)
サービスエースで得点:2(10%)
このデータから言えることがあります。
まず、攻撃面ですが、比率は以前より上がって来ているものの、目標としている
得点の50%に至っていません。(その理由については後で考察します)
次に、意外にもカットが得点に繋がって、相手に効いているということ。
私の切れた深いカットは、入れば相手のミスを誘い、また速攻を防ぐ効果もあったのではないだろうか。
今までの私は攻撃を重視するあまり、カットを過小評価していたのではないか。
そう言えば、練習時間のうちカットに割り当てる比率が下がっていました。
カットはカットで練習しなくては、と反省しました。
最後にサービスエースですが、実はこれは2本とも同じサービスでした。
ということは、相手はここが弱点ということです。
サービスエースは、よほどのパワーサーブでない限り、単体ではエースは取れません。
必ず「見せ球」の存在があります。
他のサーブが見せ球になっていたのかも知れませんが、次回はこのサーブをもう少し活かす配球をしたいです。
攻撃に比率が低いことを前述しましたが、この8本という数字は、あくまで攻撃で得点した本数なのです。
果敢に攻撃を仕掛けたがミスをした、あるいは相手に上手く対処されてしまった、という本数が入っていないのです。
これらの本数は以下の通りです。
攻撃ミス:5
攻撃を返された:3
合計8本が攻撃失敗の本数です。
攻撃成功の8本と合わせ、16本が攻撃を仕掛けた本数です。
攻撃成功率はちょうど50%です。
格上の相手にはリスクを負って攻撃を仕掛けなくてはいけないものなので、ある程度は仕方がありません。
絶対に決まるボールだけを選んで攻撃したとしても、格上の相手にはそのチャンスは少ないはずですから、それでは勝つことは出来ません。
しかしながら、攻撃成功率をもう少し上げたいところです。半分では低過ぎるので、せめて70~80%は欲しいです。
そのためには、
- チャンスメークする技術
- 攻撃そのものの技術
の2つを強化しなくてはなりません。
前者はサーブの威力を高めると同時に、相手の心理を読んだ配球、予測されるレシーブに対する攻撃パターンを磨くことです。
後者は、一口に技術で言ってしまうとカウンタードライブになります。
私はある程度の回転までなら、相手の攻撃を打ち返すことが出来る様になりました。
しかし、私の予測を超える回転量のドライブに対しては、打ち負けてしまいオーバーミスしてしまうのです。
さて、ここまでデータによる分析と、振り返りをしてきましたが、私が最も反省(改善)すべき点は別のところにあります。
それは、私の精神面です。
格上の相手を「格上だ」と思っているうちは、私は格上の相手に勝つことは一生かかっても出来ないでしょう。
自分で作り上げた心の壁(相手の虚像)を打ち壊し、純粋な心で一球入魂出来れば、その時に初めて勝利を掴むことが出来るのだと思います。
逆に、相手には自分の虚像を見せるという工夫をしなくてはなりませんね。
最後に、最近、特に頻繁に、自分に言い聞かせている言葉をご紹介します。
- これからの人生の中で今が一番若い。
- 自分の卓球は「伸びしろ」だらけだ。
- 自分は失うものは何もない「挑戦者」だ。
試合に負けて、落ち込んでいる場合ではありません。
限られた資源(時間、体力)を充分に活かして一緒に挑戦して参りましょう。