【OBUコーチ】対戦相手の攻撃型を研究する重要性とは?
孫子の兵法に、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉があります。
卓球でも、対戦相手の研究をすることは非常に大切です。
相手の特徴を知っておけば、やってくることが予め想定できるので、慌てないで対応が出来るはずです。
私の対戦相手
私は、両面裏ソフトのカットマンです。
私の対戦相手は、90%がドライブマンです。
残りの10%が、カットマンや表ソフト速攻型や粒高攻撃マンです。
90%のドライブマンのうち、20%、つまり5人に1人くらいが左利きです。
ほぼ全員が、シェークハンドグリップです。
ドライブマンのほとんどは、両面裏ソフトを使用しています。
たまに、バック面に表ソフトを使っている選手がいるくらいです。
ですので、対策を絞るとすれば、右利きの両面裏ソフトのドライブマン対策をやるのが良いと思っています。
70%以上の確率で、対戦する戦型だからです。
もし、練習している攻撃パターンが左利きにも有効となると、90%以上の確率で対戦する戦型に対する準備が出来ていることになり、とても効率的です。
実は、これを狙っています。(^^)d
フォアセンターとハーフロング
この2つが、攻撃型攻略の鍵だと私は思っています。
フォアセンターとは、センターラインと相手のフォア側のサイドラインのちょうど中間の位置を指します。
ハーフロングとは、台上で2バウンドするかしないかのギリギリの長さの事です。
私は現在、自領コートのセンターラインから右利きの対戦相手のフォアセンターに向け、ハーフロングのサービスを出す練習をしています。
回転は、フォアハンドの巻き込み系です。
右利きレシーバーの、フォア側へ曲がる回転となります。
- フォアの巻き込みサービス
- バックハンドサービス
の、両方を練習しています。
フォアの巻き込みサービスでは、
- グリップ
- ラケットハイド
- つま先の方向
- トスの位置
- トスの高さ
- 呼吸
- 体重移動
- 戻り
などを、意識しています。
このコースへこの回転で出す狙いは、
- 相手にチキータをさせない。
- 相手に私のバックに返球させる。
- 相手をフォア側へおびき寄せる。
です。
チキータを封じる狙いが、大きいです。
右利きドライブマンがチキータしようとすると、大きく回り込まなばなりません。
バックが、ガラ空きになります。
左利きがチキータしようとすると、回転が邪魔してやりにくいはずです。(順横下の方が左利きはチキータしやすい)
2021年1月の全日本選手権男子単決勝で、最終ゲームに及川選手が出したサービスは、まさにこの巻き込みサービスでしたね!
左利きの森薗選手は、このサービスに対してチキータがやりにくそうに見えました。
右利きがフォアでレシーブする時には、ラケット角度をかなり開かねばならず、やりにくいはずです。
ここに横下回転と横上回転を混ぜれば、ラケット角度の調整はさらに難しくなるはずです。
長さは、ハーフロングです。
ロングサービスでもショートサービスでもありません。
その狙いは、
- 相手にドライブさせない。
- 相手にストップをさせない。
です。
長いサービスは、レシーブからドライブで強打されてしまいます。
短いサービスはストップされて、こちらが3球目を攻撃できません。
ですから、ハーフロングを出すのです。
予測されるレシーブ
このサービスに対して、右利きドライブマンがフォアハンドでレシーブした場合、予測されるレシーブは次の5つです。
- (短めの横下サービスに対して)こちらのバック側へ流すようにやや横回転をかけたツッツキレシーブ
- (短めの横上サービスに対して)こちらのバック側へ押し込むようなフリックレシーブ
- (短めの横下・横上サービスに対して)こちらのフォア側へ強くはらうフリックレシーブ
- (短めの横上サービスに対して)こちらのセンターライン付近に少し浮いたツッツキレシーブ
- (2バウンド目が出たサービスに対して)こちらのフォアセンターよりに持ち上げる様なドライブレシーブ
3球目の待ち方
1.と2.に対しては、3番を捉えて、バックドライブをバックストレート又は相手のミドルに送ります。
3球目攻撃が成功した場合は、こちらのバックへ返球されるケースが多いので、5球目は回り込んでフォアハンドで相手のバックへドライブ強打を狙います。
3.に対しては、3番を捉えてフォアストレートに、フォアハンドブロックまたはミート打ちをします。
いずれにせよ、ボールの2番を捉えるつもりで打つと、ちょうど3番になります。
こちらは、バックサイドを空けてサービスを出しますので、1.や2.の様にバック側に返球されることが多いです。
ですから、8対2くらいの割合で、バックにヤマを張っておいて良いです。
相手もこちらのバック待ちを読んで、3.の様にフォアへフリックしてくることがあります。
ですから、2割くらいはフォアへの警戒もしておく必要があります。
相手のレシーブの入りが
- 速い時は、3.のフリックが来る可能性が高い
- 遅い時は、1.や2.の流し気味のレシーブが来る可能性が高い
4.は、相手が回転を見誤って横上を横下と勘違いした時に、ツッツキレシーブが浮いたケースです。
浮いていてもツッツキレシーブですので、下回転が掛かっています。
また、短く返ってくることが多いので、ネットミスに注意です。
しっかり踏み込んで、しっかり回転を掛けるつもりで、フォアドライブを相手のミドルに打ちます。
フォアへ持って行くと、カウンターをされるリスクがありますので、コースは短いですがミドルに打つのが有効です。
5.に対しては、フォアでカウンタードライブを狙います。
2番を捉えるつもりで、思い切り相手のフォアへ引っ張ると良いでしょう。
レシーバーの心理
レシーブする前とレシーブ直後、試合の前半と後半で、レシーバーの心理は一瞬一瞬で色々変化します。
こちらがバック側を空けてサービスを出すと、バック側へ返そうかという意識(無意識?)が働きます。
さらに、レシーブでフォアに寄せられたと感じた時は、その体勢で攻められると弱い所、つまりバック側を守ろうという心理になるはずです。
その心理を、上手に利用することです。
このサービスを活かすためのオプション
このサービスからの組み立てを成功させるためにも、オプションを加えて行かなくてはなりません。
相手の待ちを外すためです。
1つ目のオプションとして、バック深く送るスピードのある下回転サービスを混ぜます。
これは、見せ球の役割です。
これで、フォアへの出足を止めます。
但し、スピードが重要です。
速いサービスが咄嗟に来ると、ラケットを被せやすいのでネットミスが期待出来ます。
2つ目のオプションとして、サービスを出す位置を変えます。
センターラインから出す方法の他に、
- バックセンターから出す
- フォアセンターから出す
- フォアサイドから出す
方法があります。
狙うコースは、同じです。
距離が微妙に違うので、コントロールを良くする練習を積まなくてはなりません。
同じサービスでも、出す位置を変えることで相手に与える印象が全然違ってきます。
3つ目のオプションとして、投げ上げるトスの高さを変えます。
ロートスを中心に出しておいて、ここ一本でミドルトスにすることで、相手のタイミングが狂います。
まとめ
以上の様に、対戦相手である攻撃型の研究をしながら、有効と思われるサービスからの3球目の展開を考えていきます。
必要な技を1つ1つ精度を上げる意味で、練習を積み重ねていきます。
そして実践で試すことが重要で、それをまた練習にフィードバックしていくのです。
遠い道のりの様な気もしますが、コツを覚えれば一足飛びに理想のプレーに近づける可能性もあります。
一緒に頑張って参りましょう!(^^)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)