改めて考えるサービスから繋がる3球目攻撃とは?
サービスからの3球目攻撃の重要性は、ずっと以前から言われてきたことです。
今はプラスチックボールを使用するようになり、回転の要素が減って11本制になり、短期決戦を余儀なくされるようになりました。
そのような事情から、サービスからの3球目攻撃がますます重要になってきたのです。
これは、全ての戦型において当てはまります。
何故なら、ここから試合が始まるからです。
どうすれば、3球目攻撃が上手く行くか。
今号では、私が最近気付いたことを含めて考えてみたいと思います。
サービスの重要性
3球目攻撃とは、
- サービスを出す。
- 相手がレシーブする。
- レシーブした球を攻撃する。
という流れの中の3.を言います。
- 自分のサービスを1球目。
- 相手のレシーブを2球目。
- 次に自分の打つ球を3球目。
この様に数えるから、「3球目攻撃」と言います。
この3球目攻撃の決定率を上げるには、どうすれば良いでしょうか。
それは、サービスでチャンスを作ることです。
攻撃準備打と言いますが、攻撃そのものの技術と相まって、とても重要なものなのです。
車の両輪の様なもので、片方だけでは走らないワケです。
攻撃をする時は、「攻撃の1球前」を特に磨きましょう。
3球目攻撃で言うと、攻撃の1球前とはサービスになるのです。
どんなサービスが良いか
では、どんなサービスが「良いサービス」なのでしょうか。
- よく回転の掛かったサービスでしょうか。
- とてもスピードのあるサービスでしょうか。
- 鋭いコースを突くサービスでしょうか。
答えはYESであり、NOでもあるのです。
あまり回転の掛かっていないサービスよりも、回転の掛かったサービスの方が良いです。
ゆっくりしたサービスよりも、スピードのあるサービスの方が相手はとりにくいはずです。
厳しいコースに出せれば、それに越したことはありません。
しかし、回転・スピード・コースにおいて、どんなに威力のあるサービスでも、相手に見切られて待たれていたら、より厳しいレシーブとなって返ってきます。
それよりも、相手が思い切り攻めたくても攻められない、相手を一瞬迷わせるようなサービスが良いサービスなのです。
中国の元卓球選手の馬琳選手は、とてもサービスが上手い選手でした。
オリンピックで
- 団体
- シングルス
- ダブルス
の3つの金メダルを獲った名選手です。
ただサービスの回転量に関しては、世界のトップクラスではなかったようです。
それでもあれだけの戦績を残せたのは、相手に読ませない工夫が世界一だったからでしょう。
- 回転
- スピード
- コース
のそれぞれの威力を高めつつ、相手に読ませない工夫をしていきましょう。
ここから始めよう
まず手始めに、「同じモーションから、2種類のサービスを出す」ことから始めましょう。
一口に「2種類」と言いましたが、色々あります。
- 横下回転と横上回転、下回転とナックルなどの組合せの「回転の2種類」
- ショートとロング、ハーフロングなどの「長さの3種類」
- フォア、バック、ミドルなどの「コースの3種類」
- 速く伸びるサービスと遅く曲がるサービスなどの「スピードの2種類」
- ハイトス、ミッドトス、ロートスなどの「トスの高さの3種類」
- バック、バックセンター、センター、フォアセンター、フォアなどサービスを出す「位置の5種類」
これらを掛け合わせると、2 × 3 × 3 × 2 × 3 × 5 = 540種類にもなります。
サービスの種類を増やすのは、実は簡単な事なのかも知れません。
まずは自分の得意なサービスを磨き、そのオプションとなるサービスを追加していくやり方が良いと思います。
好きな一流選手の真似をするのも、3球目攻撃をマスターしていく過程で良い方法と言えます。
「同じモーションから、2種類のサービスを出す」を意識して、サービスを磨きましょう。
伊藤美誠選手の3球目の戦術
サービスを磨いていく中で、
- フォアサービス中心で行くか、バックサービス中心で行くか。
- 順横回転系で行くか逆横回転系で行くか。
という選択もあります。
東京オリンピックメダリストの、伊藤美誠選手を例に挙げてみましょう。
伊藤選手はフォアサービスが中心で、逆横回転系の巻き込みサービスを主体としています。
サービスの構えとラケットを持つ手のモーションが独特なので、どうしてもそちらに眼が行きがちです。
しかし注目して欲しいのは、サービスを出す位置とコースです。
伊藤選手は、
- センターラインからセンターへ
- フォアセンターからセンターへ
- バックセンターからバックセンターへ
ハーフロングサービスを出します。
そして、流れを変えたい時や勝負所で、
- バックセンターからバックへ
スピードロングサービスを出します。
つまり、ほとんどが台の中央付近から相手の台の中央付近へサービスを出しているのです。
伊藤選手が台の中央やフォア側へ寄れば寄るほど、相手選手のレシーブは伊藤選手のバックへ返って来やすくなります。
これが伊藤選手の狙いなのです。
サービスを出す前にボールを注視したり、独特のモーションで相手を惑わせたりしていますが、全ての狙いは「伊藤選手のバックに返させるため」なのです。
こうやって、得意のバックハンドによる3球目攻撃に結び付けているのです。
おそらく8割以上、伊藤選手はバックにヤマを張っているはずです。
バックにスピードロングサービスを出す時も、バックに返球されることを読んでいて、回り込んでのフォアスマッシュ強打に結び付けています。
ハーフロングサービスの利点
今の時代は、ハーフロングサービスを使う選手が多いのが特徴の1つです。
2バウンドで台から出るか出ないかの長さに出すサービスを指すのですが、3球目攻撃をし易いという利点があります。
相手としては、
- レシーブから攻撃を仕掛けるには短く、
- ストップするには長い
サービスなのです。
どうしても、中途半端な長さのレシーブになってしまいがちなのです。
サービスの回転が分からない場合は、尚更そうなる傾向があります。
だから、3球目攻撃がやり易いのです。
同じ長さのサービスばかり出していると、次第に相手が慣れてきてしまうので、たまにロングサービスを混ぜていきます。
こうすることで、相手に的を絞らせないのです。
自分がどんなサービスを出し、どんな攻撃(展開)がしたいのか。
これを、常に考え磨いていく必要があります。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)