自己分析力を磨く
私は自分の試合を動画で撮影しています。
最初は単に記録を残そうと思っていました。
しかし途中から、自分の目指すプレースタイルが明確になり、それが試合でどの程度出来ているかを動画で確認する様になりました。
この辺りから自分の卓球を分析する、自己分析力が付いてきたように思います。
今号では、私がどんな分析をしているかをご紹介すると同時に、そこから何を学んで次に何を企んでいるか(笑)をお話します。
【私がやっている分析】
ちょうど1ヶ月ほど前の12月の初旬に、2022年最後の試合がありました。
予選リーグで2位になり、2位トーナメントで準優勝しました。
その時に行なった分析を紹介します。
まず、動画を観ながら、写真1の様に、各ゲーム毎の得失点の経緯を付けます。
(写真1)
まず、そのラリーは、どんな1本だったのかを記載します。
「サービスエース」「カットのミス」等、その1本を端的に表す一言で表現します。
そのラリーが私の得点であれば、私の方に○、相手の得点であれば相手の方に○を付けます。
2本毎に赤線で区切り、サーブを出す方に「S」と印をつけます。
こうすることで、1ゲームの中の得点の経緯が追えて、試合の流れが分かります。
ゲームで起きたこと等もメモしておきます。
例えば、隣のコートからボールが来てレットになった、等です。
ゲーム途中で考えたこと等も、もし覚えていればメモすると良いでしょう。
これをゲーム毎に行ないます。
写真1は、準決勝3ゲーム目の例です。
11-6で私が獲りましたが、序盤にリードし、最後に少し追い上げられたものの、最後は逃げ切った展開が分かります。また、4本連続得点しているのが2回もありました。
各ゲーム毎の得失点の経緯を作成したら、次に、試合全体のサマリー(合計)を作成します。
写真2の様な表になります。
(写真2)
縦軸には自分の得点内訳と失点内訳を、横軸には何ゲーム目かと合計欄を設けます。
私の得点内訳は以下の8項目です。
1.サービスエース
2.3、5球目攻撃
3.カットからの反撃
4.切るカットorツッツキ
5.ナックルカットorツッツキ
6.ネットイン・エッジ
7.相手の凡ミス
8.その他
私の失点内訳は以下の7項目です。
1.レシーブミス
2.カットミス
3.ツッツキミス
4.攻撃ミス
5.相手の攻撃
6.ネットイン・エッジ
7.カウンター
この項目は、その人の戦型やレベルによって変わって来ると思います。
各ゲーム毎の得失点の経緯から、自分の試合の得点と失点を割り出します。
意外にも、自分の主な得点は相手のミスで、逆に相手の主な得点は自分のミスであったりするものです。
この試合は最終第5ゲームまで行きましたので、横軸に1~5の数字と合計欄を記載しました。
例えば、私の得点の1.サービスエースを見ると、1ゲーム目で4本、2ゲーム目と3ゲーム目でそれぞれ1本、4ゲーム目は0本、5ゲーム目は3本あり、試合全体で9本のサービスエースを獲ったことが分かります。
この様にして、
・各ゲーム毎の得失点の経緯(写真1)
・試合全体のサマリー(写真2)
の2つを作成します。
【分析を行って気付いたこと】
準決勝は5ゲーム目までもつれ込みましたが各ゲームは点差が開き一方的な展開でした。
得点は11-6,3-11,11-6,4-11,11-1で、3-2で私が勝ちました。
落とすゲームを割とあっさりと落としていたのは、それまでの試合で体力的に消耗していたことが原因かも知れません。
試合全体をサマリーして数値化してみると、以下のことに気付きました。
1.総得点は、40-35でしたので、実力的に大差はなかった。
2.サービスエースが40本中9本で、約25%であった。
3.相手の得点の約25%が、私の攻撃ミスだった(ミスが多過ぎた)。
4.カットの変化と相手の凡ミスで勝った。40本中24本。全体の60%。
5.得点の中での攻撃の割合が低い。40本中4本。全体の10%。
6.攻撃の成功率が低い。14本攻撃を仕掛けて得点したのは4本。成功率は30%弱。
これらを総括すると、私の課題は、
「カットの質を維持・向上した上で、攻撃の成功率と得点率を上げる」
ことになります。
【分析する上で大切なこと】
分析で大事なことは、「分析自体をあっさりと簡単に行うこと」です。
あまり根詰めて緻密にやり過ぎないことです。
分析自体にエネルギーを注ぎ過ぎてしまうと、かえって大切なことが見えなくなる危険性がある様に思うのです。
全体感と言うか、大局観を見失わないことです。
自分にはこんなクセがあるのだなぁと、まずは全体の傾向を大まかに観るのです。
その上で、だんだんとポイントを絞って見ていくのが良いと思いました。
同じ試合は二度とないわけで、この時にこうした方が良かったとあれこれ思い悩んでも仕方ありません。
その時はそれがベストだと自分で信じて選択したのですから、それで良いのです。
むしろ、この分析で大切なことは、自分の傾向を知る、ということです。
私の例で行くと、攻撃のミスが多過ぎるということです。
カットの変化は効いているので、後は攻撃をどうやって上手く組み込むか、が課題なのです。
ミスが多いのは、まず余裕がないことと、難しいボールまで強打しているからです。
チームメイトからも指摘されていることでした。(^^;;
難しいボールは回転を掛けて入れるとか、攻撃に柔軟性を持たせたいところです。
攻撃の成功率は、1、2回戦では高かったのですが、実力が同等の相手になってくると下がって来る傾向が掴めました。
やはり簡単には攻撃させてくれないのです。
【次に企んでいること】
今回は、私が実際に行なっている分析方法とそこから気付いたことをご紹介しました。
実は、私が次に企んでいることがあります。
それは、この分析の対象を自分だけではなくチームメイトやライバルや、目標としている選手に対してまで広げてみることです。
きっと何かが分かるはずです。