ラージボールで新たな気付き
先日、清水ラージボールリーグ戦の最終日がありました。
これで今年度のリーグ戦の全日程が終了です。
最終日は実力が上位のチームとの対戦が3試合続けてありました。
1試合は相手チームのメンバーが規定の人数を満たさず練習試合となり、私たちのチームの勝利という扱いになりました。
残りの2試合は、チームとしては完敗の内容でした。
私はシングルスとダブルスの計4試合に出ましたが、トータルで1勝3敗でした。
尊敬するお二人
シングルスの2試合で対戦した相手はよく存じ上げていましたし、お二人の試合を何度も拝見しておりました。
ラージボールの全国大会にも行かれていて、お二人の実力は折り紙付きです。
しかし、今まで何故か1度も対戦したことがなかったのです。
長く卓球をやっていると、ある時期に、この選手とはよく対戦するという選手と、不思議と全然対戦しないという選手がいるものです。
お二人は後者のタイプでした。
ですから私は、お二人と対戦すると分かった時にこの幸運に感謝しました。
実は、お二人とは以前からラージボールのシングルスで是非対戦したいと思っていたからです。
もう二度と対戦しないかも知れないし、今の自分の実力がどこまで通用するかやれるだけやってみようと思いました。
強い相手に対して、
「リスペクトする気持ちと挑戦する覚悟」
を持って、試合に臨みました。
自分で言うのもおかしいですが、こういう精神状態の時の私は、非常にプレーが充実していて強いです。
もちろん勝利に向けて最大限努力するのですが、勝ち負けにこだわりはなく、その1本に集中しているのです。そして楽しいです。
試合をしていて「ずっとこの人と試合をしていたい。終わってしまうのが惜しい」と思っているのです(ヘンでしょうか?笑)。
よくプレーを拝見していて憧れるくらいに強い選手と対戦すると、こうした精神状態になることがあります。
いつもこうありたいと思うのですが・・(^^;
対戦して最初に感じたことは、お二人ともボールの質が今まで私が対戦してきた選手と全く違う、ということでした。
ボールに威力がありました。
回転が掛かっている上に、深く鋭いのです。
とは言えラージボールですから、何とか返球することは出来ます。
しかしながら最初は押されっぱなしでした。
またサーブ・レシーブの体勢に入った時に、対戦相手の佇まいから何かしら感じるものがありますが、お二人の圧力は独特でした。
先ずは、これに負けない様にするのが大変でした。
Aさんとの対戦
Aさんは左利きのドライブマンで、硬式では何度か試合をさせて頂いたことがあります。
今まで何度も挑戦しましたが、一度も勝たせて貰えたことがありません。
サーブの変化が分かりづらいので、レシーブにまず苦労します。
やっと返したレシーブも、回転の掛かったドライブで攻められます。
スピードはそれほどでもありませんが、とにかく回転量が多くて、こちらがよほどしっかりとした体勢でカットしなくては回転に負けてしまってミスが出ます。
左利き独特の少し曲がるボールで、何本も何本もノーミスで打ち込まれるのです。
Aさんの土俵で戦っては勝ち目がないことも分かってはいるのですが、結局引きずり込まれてしまうのです。
ラージボールですから、硬式に比べて少しは回転量が落ちますが、基本的なこの構図は変わりませんでした。
ならばAさんの土俵に飛び込み、必死にボールに喰らい付きながら、僅かな隙を見つけて反撃する作戦を取らざるを得ません。
こちらが最も恐ろしく感じるのは、Aさんの感情の乱れがほとんど見られないというところです。
Aさんも人間ですから感情の起伏はあるはずなのですが、こちらにはその気配すら全く感じられません。
例えば圧倒的にリードしたとしても、雑になることなど少しもなく、Aさんはサーブを出す間隔も、投げ上げる高さも、雰囲気も全く変わらないのです。
こちらは何とか状況を打開しようと焦りが生じてミスを繰り返してしまうのです。
こうなるとますますAさんのペースです。
今回は過去の失敗を繰り返すまいと、こちらも「乱れない心」で対抗しました。
お陰様で私の方のレシーブミスはなく、過去の対戦の中では一番「試合にはなった」内容でした。
ここで得た気付きは、いつもAさん独特の雰囲気に飲まれて自滅するパターンは、自分次第で回避出来るということです。
また、私がAさんと対峙した時に「嫌だな、やりにくいな」と感じたことを他の選手にやれば良いということです。
苦労してやっとカット対ドライブのラリーについて行けたとしても、Aさんがギアを上げてきます。
今までと同じ様なフォームから、少し踏み込みを多くして伸びるドライブを打ってくるのです。
このボールをバックカットで受けた時に、ボールがラバーに食い込むのを感じました。
そしてカットミスをしました。
自分のバックカットのスイングがボールに対して正確ではないことを強く意識しました。
今までいい加減なスイングでもカット出来ていたのですが、このスイングでは全く太刀打ち出来ないことを感じました。
良い気付きを頂きました。
今まで何とかなっていたスイングを、もうワンランク上のレベルにしなくてはならないのです。
そのためには、ボールを正確に判断し、もっとしっかりとした下半身の体勢を作らなくてはなりません。
結局、スイングをするための土台、つまり足腰が大切だということです。
Bさんとの対戦
Bさんは右利きの女性カットマンです。
カットやツッツキのインパクトの瞬間のラケットスピードが速いのが特徴です。
よくボールを溜めてスパッと切る感じのスイングをします。
シングルスでは初対戦で、私もカットマンなのでツッツキ合いの展開に最初はなるのですが、対応に苦労しました。
一言で言うと押されるのです。
回転が掛かっており、深くて鋭いのです。
さらにフォアのカットやツッツキは、ナチュラルに軽くカーブしてくるのです。
これはクセ球でした。
Bさんにも独特のオーラが感じられ、このオーラに何となく気圧されてしまい、私はツッツキミスを連発しました。
Bさんのリズムでツッツキに付き合うと、かなり分が悪いと分かった私は、わざとボールを引き付けて球足の長いゆっくりとしたツッツキを送ることで対抗しました。
これでやっと五分に持ち込めた気がします。
Bさんのクセに慣れてきた辺りから、だんだんと私も変化を付けられようになり、ツッツキで攻められるようになりました。
一進一退の攻防で根競べになってきました。
こうなるとあとは攻撃力の勝負になります。
私はBさんをツッツキで前に寄せておいて、ドライブで速攻を掛ける方法を採りました。
Bさんのツッツキが良いので、そう簡単には決めることが出来ず、攻撃ミスも出ました。
そこで難しいと感じたツッツキをドライブする時は、ゆっくり目に確実に入れる様にしました。
このゆっくりと繋いだ攻撃ボールに対して、Bさんは必ずと言っていいほど反撃をしてきました。
ただその反撃のパターンが一定であることに私は気付きましたので、余裕を持って対処することが出来たのです。
自分の渾身の攻撃が跳ね返されて、今度はBさんの方に焦りが出たようです。
反撃の後のカットに凡ミスが生じました。
こうやって私は強いBさんに、運良く勝つことが出来ました。
Bさんとの対戦で学んだ事は、
1.ツッツキ合いで五分以上に持ち込む。
2.攻撃の手数で上回る。
3.相手の攻撃を跳ね返す。
の3つを実行出来るとカットマン同士の戦いに有利に戦える、と言う事です。
AさんとBさんに試合をして頂き、多くの気付きを得ることが出来ました。
自分を磨いてまたお二人と対戦したいです。