全日本選手権を観戦して

OBUコーチ

令和五年度の全日本選手権が終わりました。

一般シングルスの優勝は、男子が張本智和選手、女子が早田ひな選手でした。

私はテレビで最終日の準決勝と決勝を観戦しましたが、大変感動しました!

毎年全日本選手権では色々なドラマがありますが、今年は特に見応えがありましたね!

感動した全日本選手権

あなたは今年の全日本選手権では、どこに感動しましたか?

私は3つあります。

1つ目は、平野美宇選手と伊藤美誠選手の五輪代表争いです。

結果的には伊藤選手が6回戦で敗れてベスト16止まりだったので、平野選手が五輪代表入りをしました。

両名共に静岡県出身で、地元の新聞には明暗を分けた二人が対比される形で掲載されていました。

こうなると、私はどうしても敗れてしまった伊藤選手に肩入れして見てしまいます。

東京五輪以降、選考レースでもなかなか勝てなかった伊藤選手。
明らかに体力的にオーバーワークでした。

何故に選考レースはここまで過酷なのか?と少し疑問に思います。

選考基準が国際大会でのポイント数よりも、国内での試合が重視されるようになりました。

今から思えば伊藤選手の側に「休む」という選択肢はなかったのだろうか。
ライバルにレースを先行されるが、最後の最後に大逆転を狙うシナリオは描けなかったか。

東京五輪での金メダル獲得が輝かしかっただけに、今回の落選が暗く重くのしかかります。

伊藤選手からすれば、天国を味わった後の地獄の苦しみだった様に思います。

天真爛漫な性格で、奇想天外で相手が予想もつかないショットを連発し、中国でさえ大魔王と恐れた伊藤選手のプレーです。
このまま終わってしまうのは惜しいです。

今度こそ身体を充分に休めて、次は完全に復活して欲しいと私は思います。

過酷な選考レース、勝負の厳しさがドラマ以上にドラマチックに感じられ、私はとても感動したのです。

2つ目は、男子シングルス準決勝の、戸上隼輔選手対吉村真晴選手の試合です。

ご存知の通り、二人は同じ野田学園高校出身で、先輩と後輩の間柄です。

戸上選手にとっては3連覇するために、どうしても越えなくてはならない関門です。

吉村選手は、優勝したければ俺を倒してから行けと言わんばかりに立ちはだかります。

そんな二人の覚悟がぶつかり合った様な試合でした。

戸上選手は攻めて攻めて攻めまくる卓球ですが、吉村選手は攻めと守りのバランスが良く強さと老獪さがミックスされた卓球です。

最終ゲームまでもつれ込むのですが、ゲーム終盤になるほど両者の集中力の高まりが画面越しに伝わってきました。

今大会の名勝負の1つだと思いました。

ファインプレーも沢山見られましたし、
どちらかと言えば吉村選手の方がプレーが充実している様に私には見えました。

ですから吉村選手が勝つのではないかと、私はずっと思っていました。

しかし最後は戸上選手が押し切りました。

全てを出し切り床に大の字になる吉村選手。
口を真一文字に結び大激戦を制した想いを噛み締める戸上選手。

そして、その後、肩を抱き合って健闘を称え合う二人の姿。

何か二言三言、吉村選手が戸上選手に耳元で囁いていました。

決勝戦へ向けての激励なのでしょうか、私には吉村選手の想いを戸上選手に託している姿の様に写りました。

負けて爽やかで、天晴で・・
吉村選手は男らしくカッコよかったです。

3つ目は、やはり男子シングルス決勝です。

この試合も球史に残る好試合と言っても良い試合内容でした。
ご覧になられた多くの方がこのことに賛同して頂けるのではないでしょうか。

出足は戸上選手の猛攻で張本選手が防戦一方となり、ゲームカウント3-1となります。

張本選手が攻めて得点したというシーンは殆ど見られず、戸上選手の攻撃ミスで得点をしたと言う風に私には見えました。

以前の決勝戦の様に、今回も戸上選手の圧倒的な攻撃力の前に張本選手は敗れてしまうのではないかと思いました。

しかし解説の水谷さんは違いました。

水谷さんは言います。
確かに以前の張本ならブロックだけで防戦一方になっていたが、カウンター気味に回転を掛けていて攻めの姿勢が見られる、と。

水谷さんの解説を聞くまでは、その微妙な違いに私は気付きませんでした。

果たしてその効果が出てゲームカウントで追い付き、どちらが勝ってもおかしくない展開に徐々になって行きました。

最終ゲームはさらに見応えがあり、第6ゲームと併せて8本の戸上選手のマッチポイントを張本選手は凌ぎ切りました。

手に汗を握る展開とは、このことを言うのでしょう。
どちらにも勝たせてあげたいと願うくらい素晴らしい内容でした。

最後のフォアドライブが決まった直後、張本選手は信じられないと言った表情で呟きました。

「マジかよ」

張本選手自身もこんな勝ちがあるなんてと、にわかに信じられなかったのでしょうね。

戸上選手と二人で高め合った国内最高峰の試合でした。
試合後に肩を抱き合って健闘を称え合う二人の姿に会場は大きな拍手に包まれました。

このシーンにはとても感動しました。

興奮気味の優勝インタビューでしたが、

「あの表彰台を降りたら五輪へ向けての準備を始めます」

と締めくくりました。

なんとも頼もしく、カッコいい一言でしょうか。

私もどこかで言ってみたいなと思いました。
(ま、言う機会などないけど。笑)

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