将棋の3手詰とハメ手 その2
将棋には「ハメ手」と呼ばれる手筋もあります。
相手をまんまと罠に嵌めるから「ハメ手」と呼ばれます。
この将棋のハメ手も、卓球に似ています。
今号は将棋と卓球の話の第2弾です。
将棋のハメ手、石田流三間飛車
将棋には飛車を大きく左に展開する、振り飛車と呼ばれる型があります。
振った飛車を三筋(角のすぐ隣り)に持って行くのが三間飛車、四筋に持って行くのが四間飛車と呼ばれます。
私は振り飛車という戦い方が好きで、好んで指しました。
相手が攻めてくるところを逆手に取り、大きくさばいて攻めに転じるところに魅力を感じていました。
何となくカットマンの戦い方に似ている気がするのは私だけでしょうか。(^^;;
さて、その三間飛車に石田流と呼ばれる独特の指し方があるのです。
知らないと石田流三間飛車の罠にまんまとやられてしまいます。
通常、角道を空けるので歩を突きますが、飛車を三間に振った後にさらにその歩を突くのです。
相手は飛車先の歩を延ばし角頭に迫りますが、こちらは特に角頭を防御しません。
実はこれが石田流三間飛車の罠で、相手が知らずに歩交換をして飛車が飛び出した瞬間に、三間の歩(こちらの飛車先の歩)をさらに突きます。
相手がと金に成るのを嫌って歩を取ってきたら、角交換をして9筋に角を打ち、王手飛車取りが成立してしまうのです。
卓球における「ハメ手」
カットマンである私は、どうやって相手を罠に嵌めるかを研究して来ました。
特にここ最近では攻撃を仕掛ける様になり、その研究に拍車がかかりました。
試合の流れ中で相手の心理状態を読み、あるいは相手の技術的な特徴を掴んで、相手がついやってしまう一手を狙い、私の攻撃に結び付けるのです。
前号の3球目攻撃も「ハメ手」の一種ではありますが、相手にそれと気付かせない点が今回の方がより高度な「ハメ手」と言えるのではないでしょうか。
具体的にどんなケースか申し上げます。
ケース1:ダブルスのレシーブ
ダブルスでは、フォア前にストップレシーブされることが多いです。
レシーブ側としては3球目を打たれたくないと考えるから、3球目を打つ選手からみて一番遠い所、つまりフォア前を狙ってくるわけです。
仮に相手が1本目のレシーブで、ストップを狙ってネットミスしたとします。
次に相手はどう考えると思いますか?
次はミスをしたくない。
確実にレシーブを入れたい。
そんな気持ちが先に立って、こちらのバックサイドに長くツッツキで返してくることが多いです。
こちらがフォア側を警戒している素振りを見せておくと尚更です。
これを待ち伏せして、思い切って回り込んでフォアドライブで3球目を強打します。
ケース2:左利き攻撃マン
相手が左利きの攻撃マンの場合、こちらとしては相手のバック前やミドル前に短いサーブを出してラリーを展開します。
相手のバックサイド対こちらのオールというラリー展開に最初は持ち込みます。
相手のバックサイドにもフォアサイドにも私は左横下系のロングサーブを出す用意があるのですが、中盤以降に取っておきます。
いきなり大きなラリー展開に持ち込むのは、リスクもあることを心得ておくべきです。
しかしどこかでロングサーブを出して相手を大きく動かす展開をすべきです。
私は相手が短いサーブに意識が行った頃を見計らって、待ちを外して相手のフォアへロングサーブを出します。
初めて対戦する相手は、いきなり強振することは少なく、私のフォアサイドからフォアミドルにかけての範囲に、軽くドライブを掛けて入れてくることが多いです。
このドライブは私のフォアミドルに食い込む様に曲がってきますが、これを待ち伏せて、思い切って回り込んでフォアドライブで3球目を強打します。
仮にこの攻撃が成功し得点したとします。
すぐさま、今度は相手のバックサイドにロングサーブを出し、相手がバックハンドで私のフォア側へ軽く持ち上げてくるので、待ち伏せして攻撃します。
サーブを活かして波状攻撃をする時の一例です。
散々ショートサーブを見せておいて、いきなりロングサーブを右に左に送って相手を翻弄するわけです。
相手は少し驚きますが、何とかレシーブを入れてこようとするはずです。
この「何とか入れてくる」レシーブを待ち伏せして攻撃します。
ケース3:両ハンドを振る攻撃型
最近のシェーク攻撃型は皆両ハンドを振って攻撃してきますが、レシーブからバックハンドを強振してくる選手はあまりいません。
多くの場合は回転を掛けて入れてきます。
この習性を利用して軽く返球させて、カウンタードライブ(又はスマッシュ)で狙います。
バックミドル辺りに長短を交えながらサーブを集めると、相手としては思い切り振れないのでこの傾向が強まります。
つまり、こちらとしては狙い易くなります。
共通して言えること
これらのケースに共通して言えることは、全て待ち伏せして攻撃しているところです。
待ち伏せするためには、相手がついやってしまう技術的・心理的なクセを見つけることです。
自分が同じ立場だったら、一体どんな心理状況になるのだろう?と想像を働かすことも大切です。
試合を通じて経験を積み、試行錯誤しながら自分なりの方程式を作っていくことです。
上手く行かないことだって、逆に相手に付け込まれることだってあります。
しかしそれさえも楽しい作業のはずです。
最後に有名な孫子の兵法の言葉を載せます。
「敵を知り己を知れば、百戦危うからず」
また、頑張りましょう。(^^)v