楽しい卓球指導 その1
昨年末から月に数回、卓球選手のDくんの卓球指導をしています。
1時間なら1時間という風に時間を決めて2人で卓球の練習をするのですが、楽しくてあっと言う間に時間が過ぎてしまいます。
指導を始めて5ヶ月目に入りました。
これまでの経緯を振り返り、私が学んだことをシェアしたいと思います。
【どんな指導をするのか】
実際に本格的に指導を始めたのは、昨年の12月末でした。
しかし、実はその前の1ヶ月半ほどの間、折を見てマンツーマンで練習をしました。
数回一緒に練習をすれば、Dくんのレベル、卓球の特徴、性格や癖などが分かります。
LINEを交換したのもこの頃で、まずは色々と話し合いをしました。
一番重きを置いたのは、私の指導を通じてDくんがどの様になりたいのかという彼自身の目標でした。
Dくんは、彼の属するクラスの全国大会でメダルを獲ることが目標だと言いました。
どうしてメダルを獲りたいの?と聞くと、彼はこう答えたのです。
「早逝した戦友、Kの墓前で報告したい」
泣かせるじゃあないですか!
それを聞いて私の気持ちは決まりました。
「よし、本当に出来るかどうかはやってみないと分からないが、それを目指して二人で頑張ろう!」と。
初心忘るべからず、です。
目標を電子ノートに書いて、それを持って記念撮影をしました。
挫けそうになったら、ここに戻ろう。という意味を込めて。
但し、私が指導したからといって、すぐに上達するわけではありません。
ましてや目標は全国大会です。
これはかなり計画的に行わなくてはならない、と私も覚悟を決めました。
まずはDくんの卓球の分析からです。
Dくんの技術的な長所は、
・フォアもバックも打点が早く、ショートスイングで打つことが出来る。
・ミスが少ない。
ところで、逆に短所は、
・大きく動くと体勢が崩れやすい。
・サーブの回転量が少ない。
というところです。
そして、最大の欠点は、
「せっかくある彼の特徴を活かしていない」
ことでした。
但し、性格的には素直で練習熱心です。
私がつけている卓球ノートを見せると、それを真似して彼もつける様になりました。
聞くと、私のレッスンが終わった後に、練習日誌を付けているそうです。
少しだけ見せてもらったら、図解入りで、びっしりとノートが埋まっていました。
彼の努力の跡がよく表れていました。
情報分析力・整理力は、卓球の上達に大切で必要な要素です。
Dくんはとても良いものを持っています。
私はどうすれば彼の特色を最大限に引き出せるかを考えました。
結論は、
「Dくんの長所を活かしつつ、効果的に結果に繋げるために卓球の再設計をする」
でした。
【Dくんの最大の特徴、左利き】
Dくんは、両面裏ソフトを使用した左シェークのドライブ型です。
せっかく左利きなのに、Dくんはその特徴を活かし切れていないのです。
今までで勝つことが出来た試合は、おそらく凡ミスが少なく早いタイミングで返球し、左利き独特のコースの分かりづらさが幸いしたのだろうと思います。
しかし、もう一段レベルアップするには、もっと意識的に左利きであることの有利さを活かさなくてはなりません。
彼が一番対戦する戦型は何でしょうか。
それは、右利きのシェークドライブ型です。
ですから、この戦型に対する対策をしっかりやれば、自然と勝率がよくなるはずです。
私はそう考えました。
右利きが左利きにやられて嫌なことは、やはりフォアの攻めでしょう。
フォアに大きく動かされた後、バックを攻められるのは嫌なものです。
両ハンドを意識したところで、ミドルを攻められるのも嫌だし、左利きに広角に打たれるのは嫌なはずです。
逆に左利きの選手が右利きの選手に同じことをやられると嫌なはずなのですが、左利きの選手とやり慣れていない選手は、そのことに気付きにくいものです。
特にDくんがサーブを出す時に、これらのパターンになる様に練習します。
またレシーブの番の時も、上手くレシーブを工夫して、これらのパターンに近づけます。
こういう戦い方の設計があって、1つ1つの必要な技術があります。
それらを高めていくことで、より精度の高い戦い方が出来る様になってくるのです。
私には1つ不安がありました。
それは、私が右利きであることです。
左利きの例を見せてあげることが出来ないのです。
しかし、それは無用な心配でした。
左利きの選手は、幼少の頃から右利きの選手を手本にして育ってきており、頭の中で変換することが出来る様です。
【卓球指導は楽しい】
冒頭で書いた通り、指導を始めるとあっという間に時間が経ってしまいます。
私自身、とても楽しいのです。(^^)
Dくんは私の言っていることを理解するのが早く、出来る様になるために一生懸命練習に取り組みます。彼は意識が高いです。
短い練習時間の中でも、上達が見られます。
定着するまでにはもっと繰り返し練習する必要があるのですが、それでも練習の中でもっと良いボールが出せる様になろうと言う気概がDくんから感じられるのです。
私は練習相手に徹しながら、時折、お手本を見せたりもします。
お手本を見せるのには、私自身もその技術が上手くなる必要があり、指導することは結局自分のためにもなるのです。
次回はどんな練習をしようか、どんなことを教えようかと考えると、とてもワクワクします。
次の練習が、待ち遠しく感じられるのです。