最高のパフォーマンス発揮方法
人間の心と身体は、密接に関連しているそうです。
身体に問題があると、心まで委縮してしまうことがあります。
逆に、心が身体を凌駕(りょうが)して、一時的に病気を克服することもあります。
卓球の試合はどうでしょうか。
卓球の試合で、自分の実力を存分に出して、試合に勝ちたいと思わない選手はいません。
では、試合で自分が最高のパフォーマンスをするためには、どうすれば良いでしょうか。
【前号の最後で】
前号の最後の方で、次の様に書きました。
試合は相手と自分とで作り上げる作品の様なものだ、
だから試合後は作品作りに協力してくれた相手に感謝の意を伝えるのだ、と。
私としては、相手は競争相手でありながら協力者でもある、試合を作品作りと見れば相手も自分もない、と言いたかったのです。
この様にメルマガを書いた直後に、引き寄せの法則とでも言うのでしょうか。
居酒屋てっぺんの代表である大嶋啓介さんの講話を聴くチャンスに私は恵まれたのです。
【大嶋啓介さんの講話】
大嶋啓介さんをご存知でしょうか。
明るく元気な朝礼が有名で、居酒屋から日本を元気にすることを目的に全国で講演会を行っています。
大嶋さんの講話の中で興味深かったのは、彼が学んでいる潜在意識の操作法でした。
運動選手のメンタルトレーナーもやられている大嶋さんは、如何に選手の能力を引き出すかを追求していて、潜在意識に辿り着いたそうです。
潜在意識は、主語を認識しないそうです。
例えば、ゴルフで相手選手がパットの時、普通ならば「(相手選手が)外せば良いのになあ」と思いますよね。
ところが潜在意識の世界では、主語が無いので、「外せば良いのになあ」が自分に跳ね返ってくるのだそうです。
そして自分の番が回ってきた時に、潜在意識が働いてパットを外してしまうと。
では、どうすれば、自分の番の時にパットを外さないか。
それは、相手選手がパットの時も、「絶対に入ると良いのになあ」と思うことだそうです。
結果的に自分もそうなるので良いそうです。
そんなバカな・・って、それを聞いて私は思いました。
だって競争相手の成功を願うワケですから。
競争相手の成功=自分の失敗、ですよね。
しかし大嶋さんは言います。
自分が最高のプレーをしたければ、相手にもそれを望め、と。
【思い出したこと】
釈然としないまま講演を聴き終えた私は、頭の中で講話内容を反芻していました。
そうしているうちに、2つの事をはたと思い出しました。
1つ目は、高校生の時に私がバイブルとしてよく読んだ故長谷川信彦氏の「卓球」という指導書に書いてあった1節でした。
技術指導書なのですが、試合に臨む心の姿勢についても書かれてあったのです。
「相手を尊敬して戦え」
というものでした。
2つ目は、学生時代に絶対に勝てなかったベテランのS選手に、10年後に初めて勝った時の私の心境でした。
Sさんが体力的に衰えを見せ始めていた頃でカットマンの弱点を知り尽くしたSさんの攻撃を、私はカットで拾い切ったのです。
その時はラリー中に、Sさんの意図をはっきりと感じ取ることが出来ました。
なので先回りして、しっかりと対処することが出来たのです。
Sさんはしつこく何度でも弱点を突いて来ましたが、その都度、完璧な体勢をとったカットで返球しました。
長いラリーになることもしばしば。
お互いにネットインやエッジボールが出てもそれさえもお互いがカバー出来ました。
試合もかなり長丁場になって来ました。
私は頭の片隅で「今日はSさんに勝てるかも知れない」とチラリと思いましたが、すぐに打ち消しました。
そう思った途端に、凡ミスが出たからです。
そんなことよりも、今まで何度挑戦しても絶対に勝てなかったあのSさんと互角の勝負をしている喜びを感じる様にしました。
「このまま試合が終わらなければ良いのに。
なんなら明日の朝までやっても構わない」
そう思っていました。
そして最後はSさんが根負けする形で、私に勝利が転がり込んだのです。
【最高のパフォーマンス発揮方法】
さて、最高のパフォーマンス発揮方法とは何なのでしょうか。
どうすれば、自分の最高のプレーが出来るでしょうか。
それは、一生懸命にプレーする中で、今まで書いてきた様に、相手も自分も無い心境になること、ではないでしょうか。
見えない次元で相手と自分は繋がっている、という「彼我一体」の境地に立った時に、自ずと最高のプレーをしている自分に気付くはずです。
やろうとしているうちは、まだ出来ません。
まずは試合に没頭し、自分の欲を無くすことから始めていくことだと私は思います。