生涯現役の秘訣
私が卓球というスポーツを選ぶ時に、歳をとってからもずっと続けられるものが良いなと思いました。
卓球を始めたのは中学1年生でしたが、その時点でぼんやりとそんなことを考えていました。
今も卓球を続けているので、今のところその思いは実現化しています。
私よりも数倍の人知れない努力をして、生涯現役を貫いている選手もいるはずです。
生涯現役を貫く秘訣は何だろうと考えてみました。
【生涯現役を貫いた偉人】
ある本で読みました。
「マネージメント」で有名なピーター・ドラッカーは、2005年に95歳で亡くなるまで生涯現役だったそうです。
彼は若い頃に出会ったある人物の生き方に触れ、いくつになっても挑戦し続けることを人生の目標の一つとしたのです。
その人物とは音楽家のヴェルディでした。
ヴェルディは80歳の時に、オペラの大作である「ファルスタッフ」を書きます。
ウィーン出身で幼少から音楽に親しんだドラッカーは18歳の時に「ファルスタッフ」を観て感動すると共に、ヴェルディの年齢に驚いたそうです。
「80歳でこんな素晴らしい作品を世に生み出す人がいるとは!」
ドラッカーの周囲には、80歳になっても元気に活躍している人は皆無だったのです。
ヴェルディは、高齢を理由に引退を勧める周囲に対し「決して努力をやめない」と断りました。
さらには、「どれが最高の作品か?」と問われると「それは次の作品」と答えていたそうです。
【私の周囲にいる生涯現役プレーヤー】
私の周囲にも生涯現役という言葉がピッタリの卓球選手がいます。
静岡では超有名な方で、Sさんと言います。
昨年の全日本マスターズのハイシックスティの部で見事優勝しています。
今の戦型は両面裏ソフトのドライブマンですが、昔はペン表ソフトだったとか。
一番練習量の多い学生時代の戦型を捨て、別の戦型で全日本のタイトルを獲った選手は、Sさんくらいではないでしょうか。
長く選手をやっていると、当然怪我をすることがあります。私は左アキレス腱を切って難儀した経験がありますが、Sさんは両方のアキレス腱を切っています。
それでも逆境を乗り越えて、今も卓球の試合に出続けています。
何度も練習や試合をやらせて頂いたことがありますが、卓球に取り組む姿勢が全く変わらない様に思えます。
Sさんの他にも、生涯現役を体現している諸先輩がいます。
1人はA先輩です。年齢は70代です。
このメルマガでも何回がご紹介してますが、私設卓球場で毎日練習しています。
仕事は引退されていますので時間は自由になるみたいですが、一人でサービス練習を3時間くらいは平気でやる様な人です。
トライアスロンの選手でもあるAさんは、毎日トレーニングもしているそうです。
んもう、びっくりです。
戦型は両面裏ソフトのペンドライブマンですが、60代から裏面サーブに独学で取り組み、遂に自分のものにしてしまいました。
2022年の全日本マスターズ静岡県予選では、そのサーブ力を活かして見事優勝して本戦に出場しました。
もう一人はM先輩です。年齢は60代です。
この方も本メルマガに何回か登場していますが、オーソドックスな日本式ペン裏ソフトのドライブマンで、私が一番練習させて頂いている方です。
初めてお会いしたのは、私が20代の頃です。
ですので、もう30年以上のお付き合いになりますが、その頃から卓球に取り組む姿勢が全く変わらないのです。
試合に出ても、相手が自分より格上だろうが格下だろうがそんなことは関係なく、自分の卓球を貫きます。その一貫性は見事としか言い様がありません。
他にも紹介したい人は、まだ沢山います。
私が現役選手として頑張ろうと思えるのは、こういう諸先輩方がいるお陰なのです。
【生涯現役の秘訣】
ピーター・ドラッカーの名前や、彼がマネージメントで有名なことは知っていましたが、生涯現役の逸話については、本を読むまで私は知りませんでした。
ヴェルディに関しては、え?それってサッカーチーム?というくらい、名前さえ知りませんでした。(^^;;
全くお恥ずかしい話です。
それはさておき、あなたは「今までで最高の試合は?」と聞かれ、「それは次の試合」と答えられますか?
私は、正直なところ難しいです。
卓球の試合は頻度が多く、その都度にピークを合わせるのは難しいからです。
試合は多い時で月に3、4試合あります。
しかし、もう少し長いスパンで考えると、当てはめられるかも知れません。例えば、年に一度の大会などです。
去年より今年。今年より来年。
自分はこの大会で最高の試合をする。
最高の試合をして望む結果を得るのだ。
そう心に決めることだと思います。
年末年始は、時期的に、誓いを立てるのにはちょうど良いです。
命の寿命と健康の寿命の2つがあることは、最近よく耳にすることですが、私達にはもう一つ運動選手としての寿命があります。
いつ、何時、思う様に卓球が出来なくなるか誰にも分かりません。
だからこそ、毎年毎年、毎回毎回の試合、毎日毎日の練習の過ごし方が大切なのです。
生涯現役の秘訣は、目標を持ち続け、一日一日を精一杯過ごすことだと思います。