ご褒美と課題

OBUコーチ メンタル

全日本クラブチーム選手権年代別に参加して来ました。

私が所属するTクラブは、今年度は何とか予選を通過して、本戦に進むことが出来たのです。

石川県金沢市にある、いしかわ総合スポーツセンターという体育館でしたが、素晴らしい試合会場でした。

スタッフの皆様、準備・当日の運営・後片づけなど、ありがとうございました。

私にとってどんな大会だったかを、一言で表現すると、

「卓球の神様に、今まで頑張ったご褒美と、これまで気付かなかった新しい課題を同時に貰った様な大会でした」

となります。

今号では、今回の私の体験をシェアします。

【今まで頑張ったご褒美】

先ずは、今まで頑張ったご褒美のお話から。

予選リーグの初戦の相手は、全国的に有名な東京のチームでした。

私は負けて元々とは思っていましたが、もし出番が回ってきたら全力で戦う覚悟を決めていました。

そして、なんと、2-2のラストで私に回ってきたのです。

相手のY選手は私と同型のカットマン。
但しバックにアンチを貼っている異質カットマンでした。

このアンチが曲者で、非常に苦労しました。

Y選手のスイングと私が送るボールの組合せに起因するのでしょうが、完全のナックルだったり、少し下回転が切れていたり、少し上回転だったりするのです。

その微妙な変化がとても分かり辛いのです。

初対戦のカットマン同士の試合では、最初はツッツキ合戦になります。

自分がミスをしないようにガッチリ守り、相手のやって来る変化に対応して行きます。

最初はお互いに相手の変化にやられてミスが出ます。しかし、だんだん対処法が分かってきてラリーが続くようになります。

この段階で、次にやることは、相手がツッツキミスをし易いポイントと攻撃の糸口を探す作業です。

2-2のラストというプレッシャーがかかった試合の中で、この作業をするのは非常に神経が消耗します。1点が重いからです。

こちらの攻撃ミスも重要な情報です。
このボールは打ってはいけない、という大切な判断材料になります。

幸先よく第1ゲームは私が取り、第2ゲームが始まりました。

ここからが本当の勝負です。
もう、変化ツッツキで得点するのはお互いに難しくなってきます。

となると、攻撃力がポイントとなります。

1ゲーム目に攻撃の糸口を見つけておいたお陰で、思い切って攻撃を仕掛けることが出来ました。

これが功を奏し2ゲーム目も私が取り、勝利することが出来ました。(今大会は3ゲームマッチ)

3-2でTクラブの勝ち、大方の予想を裏切る、大番狂わせが起きました。

全国大会と言う大きな舞台で、練習してきた実力を発揮できたことは、卓球の神様がくれたご褒美だったと思っています。素直に嬉しかったです。

もう一つ、ご褒美がありました。

「OBUさんですよね?ブログ(メルマガ)を読んでいつも参考にさせて貰っています!」

と声を掛けてくれた方がいました。

なんと私のメルマガの読者さんにリアルでお会いしたのです。

恥ずかしいやら嬉しいやらで、何とも言えない温かい気持ちになりました。

私は習慣的にメルマガを書いて情報発信していますが、その先には実際に頑張っておられる卓球選手や指導者がおられるのだと改めて思いました。

お名前を伺うと、HクラブのDさんと言う方でした。

Hクラブ?あ、次に対戦するチームだ!

交流を深めたい気持ちもあったのですが、それは我慢して試合に専念することにしました。次に戦う相手ですから。

実はHクラブとの対戦で、私は大失態をやらかしこれまで気付かなかった自分の課題に気付くことになるのです。

【これまで気付かなかった新しい課題】

第2試合にも勝った私達Tクラブは、ここまで2勝0敗です。

第3試合のHクラブに勝てば、予選1位で決勝トーナメントに進めるところまで来ました。

決勝トーナメントに進めれば、その時点で全国ベスト8です。

ここに来るまでは考えてもみなかったチャンスが目の前にあったのです。

「勝ちたい。何としても、勝ちたい」

私はこう思ってしまったのです。
上手く行っていた歯車が狂い始めたのは、この自分の気持ちがきっかけでした。

周囲も「勝てばベスト8だぞ」と要らない情報を耳に入れてくれます。

「こうなれば良いな」という希望的観測は勝負事では厳禁です。
油断に繋がるからです。

くれぐれも思っていても口に出さない様に、予め周囲の方たちに伝えておきましょう。

1番のダブルスがもつれた展開になり、競り負けてしまい、2番で私の出番が回ってきました。

「1番のダブルスが負けてしまった。ここで私が勝たなくてはなるまい」

「絶対に私が勝ってタイに持ち込むのだ」

「私が、私が、私が・・・」

と、我欲の塊の様な心境になりました。

こんな心境で臨んだ試合は、当然、内容が悪いですし良い結果に繋がりません。

対戦相手のH選手は、冷静に自分の卓球をやってきました。

繋ぎボールを主体に好球を逃さず打ち込む、まさに好球必打の卓球を貫いてきました。

一方の私は、打ち気・勝気にはやり、無理なボールも攻撃し、自滅しました。

第一試合の冷静さはどこへやら、私は自分を見失って、独りよがりのプレーをして、負けてしまいました。

H選手の事を全く見ていなかったし、ボールさえよく見ていなかったかも知れません。負けるべくして負けたのです。

試合はラストの5番までもつれたものの、最後は力尽き、2-3で私達Tクラブは、Hクラブに敗れてしまいました。

得失点差でリーグ戦2位となり、残念ながら、決勝トーナメント進出を逃してしまったのです。

「私さえ勝っていれば・・・」

と、非常に悔やみましたが仕方ありません。今となっては後の祭りです。

前述のDさんの試合も間近で観ました。

異質ラバーのカットマンでしたが、全体的にフットワークが軽く、打って良し、守って良しのプレーでした。

これと言った弱点は見当たらず、ある意味完成されたプレーに私には見えました。

特に異質ラバーを使ってのチャンスメークが大変上手く、強烈なフォアスマッシュに結び付けていました。

私のチームメイトが僅差でDさんに勝ったのですが、どちらが勝ってもおかしくない内容でした。

【そして、思うこと】

この大会で学んだ事は、以下の2つです。

1.卓球はメンタルのスポーツであること。
メンタルの土台の上に技術があるので、
まずは土台であるメンタルを整えること。
特に私の場合は如実にプレーに現れる。

2.私の特徴は責任感が強く真面目である。
責任感が強く真面目であることは、
良く作用すれば、第一試合の様に
プレッシャーのかかったラストでも
力が発揮できる。一方で悪く作用すれば、
第三試合の様に勝ちに拘り盲目的に陥る。

良くも悪くもこれが私の実力であり、我がTクラブの実力なのだと、そのままを真摯に受け止めるしかありません。

まだ全国ベスト8入りするには、実力が伴ってはいなかったということです。

真の実力をつけて、また挑戦します。

では、そのために私はどうすれば良いか。
私が思うのは以下の3つです。

1.メンタルを鍛える。
常日頃から節制し、どんな状況になっても
負けない強靭なメンタルを持つ。
今回の敗戦を思い出す(臥薪嘗胆)。

2.そんなものだと割り切る。
メンタルを鍛えると同時に、どんなに
鍛えたところでダメな時はダメと心得る。
そんな時でも勇気を奮い立たせるお守りや
おまじないを探して身に付ける。

3.技術力をつける。
最悪のメンタルの状況になっても、
勝ち抜けるだけの技術力をつける。
土台のメンタルが崩れても技術力があれば
何とか勝てる可能性がある。
これには練習あるのみである。

2.は、あるメンタルコーチに教わった事です。

どんなに練習しても、大事な局面で人は緊張します。
これは避けられないことだそうです。

一流のアスリートでも同じだそうです。

一昔前、高校野球のPL学園の各選手は、バッターボックスでユニフォームの下のお守りを必ず握りしめました。

マラソンのメダリストの有森裕子選手や高橋尚子選手は、絶大な信頼があり、最も敬愛する小出監督の私物を試合のユニフォームに縫い付けていました。

苦しくなるとそれを上から手で押さえ、「お前なら必ず出来る」と掛けてくれた小出監督の声を思い出し、勇気を奮い立たせたのだそうです。

優しくて厳しい恩師の言葉は、どれほど彼女たちを勇気付けたでしょうか。

私にも卓球で大変お世話になった方や、心から尊敬している先生がいます。

直接指導して頂けることはおそらくないと思われる(一人は故人、もう一方は雲の上の存在)ので、その方たちとの繋がりを連想させるものを身近に置くことにします。

そして心が乱れそうになったら、その方たちの事を思い出し、自分を奮い立たせたいと思っています。

今回、卓球の神様が今まで頑張ったご褒美とこれまで気付かなかった新しい課題を同時にくれたと書きました。

後者は「ご褒美」に対して「試練」の様な意味合い、つまり悪い意味で書き始めたのですが、ここまで書いて気付きました。

メンタルの弱さの克服と言う、新しい課題に気付かせてくれたことこそ、むしろ本当のご褒美だったのかも知れません。

何のことはない、両方ともご褒美だったのです。

卓球の神様、気付かせて頂き、どうもありがとうございます!
また一から、頑張ります。

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