練習の事を思い出せ、のウソホント
試合の最中、ゲーム間のアドバイスなどで、
「練習でやってきたことを思い出せ!」
と言われることがあります。
試合の最中、練習でやってきたことを思い出すことって、そう簡単に出来ることではないのでは?と私は思います。
また、ある選手は、試合の最中、
「練習で頑張ってきた自分の姿が走馬灯のように頭によみがえった」
という経験があるそうです。
私はもう40年以上、卓球を続けていますが、一度もそんな体験はありません。
お前が真剣に練習に取り組んでいないからだと、お叱りを受けるかも知れません。
でも、正直なところ、「何か違うんだよなー」と思うのです。
別に否定するわけではないのですが。(^^;
今号では、そんな私のモヤモヤした気持ちを整理するつもりで書いてみます。
そもそも、試合って
そもそも試合をしている選手の心理状態は、通常ではありません。
緊張して委縮してしまっていたり、わくわくドキドキして高揚したり、気持ちが上がったり下がったりしています。
そういう葛藤がある中で、なんとか平常心を保とうとしている選手が殆どではないかと思うのです。
また、頭の中は、自分の技術的な事、相手の出方やその対処法などの作戦面、などで一杯になっているはずです。
そんな余裕のない状態で、
「練習の事を思い出せ!」
と言われても、言われた選手は、頭のエネルギーを思い出すことに使うことは、まず出来ません。
アドバイスをする側から言えば、
・練習してきた技術を試合で使って欲しい。
・不利な状況を打開して乗り越えて欲しい。
・試合を通じて選手に成長して欲しい。
という願いから発した一言だと思います。
だとすれば、もっと違う伝え方、タイミングがあるはずです。
試合前のミーティング
それを言うタイミングは、試合前のミーティングだと私は思います。
何のために試合をするのか。
それは、練習の成果を試すためです。
どんな卓球を目指し、どんな練習をしてきたのか。
試合で勝つことは大事。
しかし、勝利を目指すと同時に、今までの自分を超えることがもっと大事。
今一度、自分は、自分たちは、どんな練習をしてきたかを思い起こし、この試合で全てを出し切ろう。
失うものは何もないはずだ。俺たちは挑戦者(チャレンジャー)だ。
そういう話を試合の直前のミーティングで熱を込めて話すべきです。
選手の自主性に任せて、自分で考えさせるべきですが、中には自力で出来ない選手もいます。
そんな選手には、個別に、少し優しく、お前はこんな練習をしてきたはずじゃないのか。結果を怖れず、勇気をもって実行しろ。そう言ってやれば良いです。
試合が始まれば、もうそれは本番。
目の前の相手の事を考えなくてはなりません。
練習の事など思い出している時間などないと思われます。
練習の時にこそ
私は逆だと思うのです。
試合の時に練習の事を思い出すのではなく、練習の時にこそ試合の事を思い出すべきではないでしょうか。
練習の時であれば、過去の試合を振り返る余裕もあります。
なぜ、あの場面であの選択をしたのか。
なぜ消極的な選択しか出来なかったのか。
そういう不甲斐ない過去の自分を反省し、悔しい気持ちを思い出すと良いでしょう。
試合の緊張感を練習の時にこそ思い出して、集中力をぶつけるべきなのです。
練習時間の全てを高い集中力で、というのは無理があります。
ですから、練習時間の中にそういう高い集中力の時間帯を持ちましょうという話です。
再び、練習の事を思い出せ、について
今まで「試合中に練習の事を思い返す」には否定的な考えを述べてきました。
しかし、逆に、練習の事を思い出しても良いというか、思い出すべきシーンも試合ではあります。
それは、ここぞという場面です。
自分を奮い立たせなくてはなりません。
何のために今まで努力してきたのか。
全てはこの1本を獲るためだ!
強い決意をもって、臨まなくてはならない時に、自分は練習を積んできたという自信がとても大切な鍵となるのです。
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昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)