【アマチュア卓球上達塾】他のスポーツ体験談から卓球が上手くなる?

OBUコーチ

私の友人に、Yという男がいます。

Yはスポーツ万能で、大学はスポーツ専門のコースに進みました。

陸上競技部に所属していましたが、ふとしたきっかけで剣道の試合に出場することになりました。

この時の話は大変興味深く、卓球の試合にも活かせるのではないかと思いました。

今号では、その話をご紹介します。

Yの抜擢

どうやらそれは、「出場メンバーが足りない」ということがきっかけの様でした。

剣道部の部員たちも、たとえ剣道の素人でもYならば少し基本を仕込めば、試合になるのではないかと考えたのでした。

最初は断ったYも、あまりに友人たちが頼み込むので、渋々代打を引き受けたのでした。

剣道の試合まで、あまり時間はありません。

「しかし、出るからには勝ちたい」

元来、負けず嫌いの性格のYは、密かにそう思いました。

秘策を練るY

Yは、剣道部の友人たちからひととおり基本を学んでいきました。

友人たちの見込み通り、Yの吸収力は素晴らしく、どんどん剣道の基本技を覚えて上達していきました。

しかし、Yは別の事を考えていました。

「確かに俺は剣道が上手くなった。しかし試合で勝つための…そうだ、1本を獲るための何かが足りないのだ」

練習の中で色々試しているうちに、

「これは行けるかも知れない・・・いや、俺が勝つとすればこれしかない!」

という方法を、ついにYは見つけたのでした。

試合まで、残りあと1週間でした。

試合当日

「Yよ、今までありがとうな。試合は思い切りやってくれればいいから」

と声をかける友人たちがいました。

もうじきYの出番が回ってきます。

「確かに俺は失うものは何もない。しかし俺はこの試合に賭ける。見てろよ、俺の全てをぶつけてやる!」

密かに、Yは闘志を燃やしていました。

そして、ついにYの出番が回ってきました。

相手と対峙します。

「落ち着け。やってきたことをやるのだ。チャンスは1度きりだ。やれるはずだ。心は熱く、頭は冷静に、だ」

はじめっの合図。

と同時に、Yは猛然と打って出たのでした。

「こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇぇーん!」

息もつかせず、連続攻撃を仕掛けます。

「こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇぇーん!」

機先を制された相手は、Yの気迫に押され防戦一方となりました。

「まだ、まだぁ!」

内心でそう叫んだYは、さらに気力を振り絞り、攻撃をし続けます。

「こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇぇーん!」

しかし、相手は剣道の経験者。

Yのワンパターンの攻撃にだんだん慣れて来て、さばき方に少し余裕が出てきました。

「こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇぇーん!」

「まだだ。もう少しだ、頑張れ!」

さすがにYも打ち疲れが出てきましたが、自分を鼓舞し、しつこく攻撃を仕掛けます。

「こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇぇーん!」

今や完全に相手はYの攻撃を読み、簡単にさばくようになってきました。

「こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!めぇん!こてぇ!・・・」

「籠手」の次に来る「面」を受けるために、相手の脇が甘くなった一瞬でした。

閃光・・・のように、

「どぅおおおぉぉぉぉぉーっっ!」

相手の右に大きく踏み込み、Yの竹刀が相手の右胴をはらったのです。

「1本!!」

審判の旗が上がり、Yの勝利が決まったのでした。

胴一本。

剣道の素人Yが秘策を実行し、経験者に一本勝ちを収めたのです。

Yとの回想

「まるでマンガみたいな話やなー」

Yの話を聞いて、開口一番私は言いました。

「いや、全く。でも上手く行ったわー。自分でもびっくりや。ま、一回しか通用しない手やねんけど」

笑いながらYも答えます。

Yの活躍のお陰で剣道部はその試合に勝利し、打ち上げも大変盛り上がったそうです。

錯虚効果

あるパターンでずっと来られると、このパターンがずっと続くのではないか。

そう人間は学習し、予測します。

これを逆手に取ると、Yの剣道の試合のような事が起ります。

「錯虚効果」というそうです。
(ある漫画で読みました。←漫画かよ!)

私も、試合で似た体験があります。

カットマンのKという選手に、最終ゲームで8-5のリードから8-8まで追い上げられました。

彼のループドライブからのスマッシュで、3本連続して獲られたのです。

ループドライブに対して、カットを切ろうとしてやや浮いていたところを、スマッシュされたのでした。

8-8となるところまでは我慢していて、ここで初めて切らないカットで返しました。

もちろん、何食わぬ顔をして、です。

K選手はスマッシュをオーバーミスし、これがきっかけで彼のプレーが崩れ、私は勝利することが出来ました。

色々なスポーツの体験談は、直接は関係無くても、後で何かの役に立つことがあります。

ですから、色々なスポーツを観戦し、その競技を経験した選手の話を聞くと良いと思います。

自分の肥やしになります。

この記事を書いた人OBUコーチ(小吹 真司)OBUコーチ(小吹 真司)
昭和40年12月31日生まれ。血液型O型。兵庫県西宮市出身。現在は静岡市在住。
中学1年より卓球を始め、卓球歴は40年以上。中学高校時代は鳴かず飛ばずの成績。高校時代は県大会前の地区予選3回戦ボーイであった。インハイなど全国大会出場経験無し。大学時代飛躍的に卓球技術が向上。東海学生卓球リーグ2部で全勝しチームの優勝に貢献し敢闘賞を受賞。3人の元インハイ出場の選手に勝つ。30代の時に東海選手権(年代別個人戦)で、ベスト8に入る。高島規郎選手、古川敏明を選手を師と仰ぐ。現在も現役選手として試合に参加している。静岡市卓球協会の常任理事として静岡市の一般の試合の大会運営や広報活動を行う。また中高生の指導に当たる事もある。2005年から卓球のメールマガジンを発行中。現在も続いている。著書「OBUさんの初心者卓球上達法~卓球が上手くなりたい人へ」(文芸社)
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