シェークハンドのグリップワーク
先輩のAさんの卓球場にお邪魔して、また多球練習をやるようになりました。
徹底したサーブ練習から始まり、右足荷重のフォアハンドや、バックハンドのバリエーション、台上処理などを行います。
一定したボールを何球も打つので、打球感覚を磨くのには最適です。
しかも間を置かずに、どんどん打つのでイメージが残っているのです。
Aさんとの練習の中で、グリップワークが話題に上りましたので、今号では皆さんとシェアしたいと思います。
【グリップの種類】
最初に、グリップの種類についておさらいします。
大きく以下の4つがあります。
1.ニュートラルグリップ
2.フォアハンドグリップ
3.バックハンドグリップ
4.その他(サーブを出す時など)
まず、1.ニュートラルグリップです。これは基本のグリップとなります。
シェークハンドの場合、ラケットを持って握手する様に相手に差し出した時にラケット面が真直ぐになっている事が大事です。
ブレード面の端が、ちょうど親指と人差し指の間にくるのが基本です。
次に、2.フォアハンドグリップです。
ニュートラルグリップと比べて、フォア面を被せた形になります。
ブレード面の端が、親指の第一関節と第二関節の間にきます。人差し指を立てしっかり押さえて面を安定させます。
フォアハンドはもちろんのこと、フォア前レシーブや咄嗟にフォアミドルに来たボールに対して上手く角度が出ます。
次に、3.バックハンドグリップです。
ニュートラルグリップと比べて、バック面を被せた形になります。
ブレード面の端が、人差し指の付け根の辺りにきます。親指を立て、親指の腹でしっかり押さえて面を安定させます。
バックハンドをはじめ、バック系技術全般、すなわちチキータやバックドライブ、バックプッシュ(ミート打ち)がやりやすいグリップとなります。
最後に、4.その他(サーブを出す時など)です。
シェークハンドでフォアハンドサービスを出す時は、グリップチェンジをして、手首を利きやすくします。
人差し指と親指だけでラケットを挟む様に持ち、他の3指は曲げてたたむのが一般的です。
最近は、中指も使う持ち方をする選手が目立ちます。
ブレード面に人差し指と中指の2本が出て見えるので「二本差し」とも呼ばれます。
丹羽孝希選手が巻き込みサービスを出す時はこの二本差しグリップです。
【グリップの考え方】
1つのグリップで全ての技術がカバーできる、というような万能なグリップはなく、何か1つ得意があると、必ず何か1つ不得意が派生する、と考えるのが良いでしょう。
自分はこのグリップが持ち易いから、このグリップだけで行くのだ、と考えるのは危険です。
現代卓球ではフォアもバックも使います。
また前陣でも中陣でも戦えなくてはなりません。
グリップも固定的に考えるのではなく、状況に応じて柔軟に変化させることが重要なのです。
【グリップワーク(切り替え)】
フォアハンドにはフォアハンドグリップが、バックハンドにはバックハンドグリップが向いています。
先日、Aさんのところで、久しぶりにチキータの練習をしました。
バックハンドグリップを意識的に行い、出来るだけリラックスして、インパクトの時だけ力を入れるように心掛けました。
これだけで全てが上手く行ったというのではないのですが、自分でも納得のいく、かなり良いボールのチキータが出来ました。
それもフォアハンドの順横下回転に対してです。順横下回転とはレシーバーのバック側へ出すと身体の外側へ逃げて行く回転です。
これをチキータするには、曲がりを予想し、少しタイミングを遅らせて、それでいてボールを薄く捉えるのがコツです。
チキータを練習し始めた頃は、この回転のサーブに対してはタイミングを掴めずに上手く行きませんでした。
それが上手く行くようになったのは、しっかりとバックハンドグリップで握ることがはじめの一歩でした。
Aさんとの練習では、
・台上のボールに対してはチキータ
・台から出れば、バックドライブ
・上回転系に対してはバックプッシュ
と進んで行きました。
いずれもバックハンドグリップで行う技術ですが、手首のスイング方向と肩甲骨の開閉が違います。
多球練習でどんどん打っていくわけですが、Aさんの球出しの合間にフォアハンドの素振りを入れるという練習もしました。
これは瞬時にバックハンドのグリップとフォアハンドのグリップを切り替えるための練習です。
バック系技術の多球練習を続けているとグリップがバックハンドグリップに固まってしまいがちです。
これを防ぐ狙いがあります。
実際の試合ではフォアとバックのどちらに来るか分かりませんので、こういう練習をやっておく必要があるのです。
次にフォア前レシーブの練習をしました。
この時は、意識的に(少し大袈裟に)、フォアハンドグリップに変えてみました。
以前は、どちらかと言うとニュートラルに近いグリップでフォア前を処理していたので横上系のショートサーブに対して返球が甘くなることがありました。
これがグリップを変えることで、かなりやり易くなりました。もっと早く取り組んでおけば良かったと思うくらいでした。(笑)
フォアハンドグリップはまだ発展途上で、これからもっと練習して馴染んで行かないといけませんが、良い感じのスタートです。
【まとめ】
では、今号のまとめです。
1.卓球の全ての技術を網羅できる万能型のグリップはない。
2.打法には、それがやり易いグリップがある。フォアハンドにはフォアハンドグリップがやり易い、と言う様に。
3.グリップを固定化するのではなく、打法によって切り替えられるのが理想。
ほぼ無意識に切り替えられるレベルに到達出来るように練習して行こう。