今出来ることをやる
先日のITTFワールドカップ2024マカオで、張本兄妹がベスト4入りを果たしました。
兄妹で銅メダルって凄くないでしょうか?
表彰台に上がる他の3名は全て中国人。
その中に入れるだけでも凄いことなのに、二人は実の兄妹である所がまた凄いです。
特に妹の張本美和選手は、準決勝で2-4で惜しくも敗れたものの、王曼昱選手と互角のラリーを展開しました。
彼女の試合ぶりを観たり、最近の自分を省みたりすることで、新たに気付いたことをシェア致します。
張本美和選手の試合ぶり
兄・智和選手が13歳でデビューした時にも薄々感じていたことですが、試合に徹している印象がとてもあります。
「初出場だから」
「相手が(強い)中国人選手だから」
「出場選手の中で最年少だから」
そういう雑念が当然あった(メディアが煽る一面もありますが)と思います。
しかしながらプレーを観る限り、全く周囲に振り回されることなく自分のプレーを淡々と精一杯やっていた、と私には映りました。
世界選手権の団体戦が終わってから少しの間に、自らの課題の克服に取り組んで、もう一段強くなっていました。
技術的には、レシーブ力だと思います。
レシーブの順番になった時にも、相手に簡単には点を取られなくなりました。
実力が上位の選手に対しても、気後れすることもなく立ち向かって行く感じがしました。
その姿は「今私が出来ることを全てやる」と固く決心しているように見えました。
私たちが見習うべき姿勢
目標を持って結果を追い求めること。これは大切なことです。
張本智和選手も美和選手も、オリンピックでメダルを獲るという大きな目標があるはずです。
しかしそのためには多くの壁をクリアして行かなくてはなりません。
目の前の壁をクリアしなくては、その先にある大きな目標に到達することはとても無理でしょう。
あまりに先を見過ぎたり、目標への到達を熱望し過ぎると、焦りが出て苦しくなる一方です。
何を隠そう、私自身がこの状態に陥って苦しんでおりました。
目標とする大会があり、どうしてもその大会で勝ちたかったのです。
私が勝てばチームが勝ち、次のステージに進むことが出来るからです。
そして私は無理なスケジュールを組み、練習や試合に取り組んだために疲労から身体を痛めてしまったのです。
その時の私の成すべきことは、体力的にキツイ練習をすることではなく、身体ケアをしっかりやることだったのです。
私は判断を誤りました。
張本兄妹には、私が陥った様な「焦り」が感じられません。
もちろん彼らだって、自分の思う様に事が運ばず、イライラするシーンも当然あるはずです(試合中などきっとそうだと思うのです)。
でもそれほど大きな心のブレの様なものを彼らから感じられません。
サッと頭を切り替えて、次の一球に集中しているのだと思われます。
私たちが見習うべき姿勢は、ここだと思うのです。
試合中に少し不利な状況になっただけで、途端に諦めた様な雑なプレーになったりしていませんか。
相手にマッチポイントを握られたら、もう試合に負けた心理状態になっていたりしていませんか。
負けのシナリオを勝手に自分で作って、その通りに演じたりしていませんか。
逆に、試合で少しリードしたらすぐに勝った気になり、相手のミス待ちのプレーをしていませんか。
違うのです。
たとえ相手にゲームを先行されて、今このゲームも取られると負けという状況で相手にマッチポイントを握られたとしても、これから迎える次の一本は、今までの何十本とは全く無関係なのです。
次の一本だって、その次の一本だって同じ。
心の底からそう思えたら、そこから大逆転が始まるはずです。
「いや、試合の流れから言って・・」
「どう見ても不利な状況だし・・」
こう自分に言っているうちは、負けのシナリオを演じてしまっています。
「一球入魂」とか、「常にラブオールの気持ちで」などと昔からよく言われます。
使い古された言葉ですが、私はその通りだと思います。
まだ、間に合います
私は判断を誤り、身体を痛めました。
しかし練習の出来ない今だからこそ出来ることだってあるのです。
気付けたことで、怪我に感謝です。
対戦相手やそのチームの研究をすることだって出来ます。全ての対戦選手と言うわけ
ではないですが、過去の試合を写した動画も残っていたりします。
改めて見返すと、サービスの球質や、攻撃を仕掛けてくるタイミングなどがよく分かったりします。
身体を痛めたところをよく観察すると、何故その部分を痛めたのかも分かります。
負荷がかかったからです。
負荷が過剰にかからないように工夫する、たとえ負荷がかかったとしても早めにケアして戻してやる、これが今の私に出来ることです。
今までよく頑張ってくれた身体に感謝です。
試合はもうすぐです。
理想的な仕上がりではないかも知れないけど、だからと言って調子は悪くはありません。
「今出来ることを精一杯やるのだ」
そう自分に言い聞かせて試合に臨みます。
諦めるのにはまだ早い。まだ間に合います!